CPU負荷はかなり高め
描き込みの濃いゲームはCPU負荷も高い。この点はCyberpunk 2077も同じだ。そこで今回ベンチマークとして使用した移動シーンにおけるCPU負荷はいかほどかチェックしてみよう。以下のタスクマネージャのキャプチャーは、全てRX 6800 XT、解像度フルHD+画質“ウルトラ”設定でのものである。比較的車や通行人の少ないシーンでの計測なので、CPU占有率はさらに1~2割高くなる可能性もある。
Cyberpunk 2077のCPU負荷は非常に高く、6コア(C)/12スレッド(T)のRyzen 5 5600Xだとほぼフルロードに近い状態まで使われる。ゲームだけを遊ぶならこれでも問題ない感じだが、裏で何か別の処理(配信やDiscordなど)をさせるには厳しすぎる。何か並列で処理させたいならRyzen 7 5800Xより上のCPUが必要になるだろう。
また、8C/16Tより上のRyzen環境では、CPUの負荷に偏りがあることもわかる。タスクマネージャで確認すると、基本的に負荷が高いコア(グラフ)と低いコアが隣接していることから、Cyberpunk 2077の負荷は物理コア部分に集中し、SMTで増えた論理コアを避けているようだ。
ただ、いくつかの論理コアに関してはすぐ隣の物理コアと同程度の負荷がかかっているものもある。さらに言えば、2CCD構成のRyzen 9 5900Xと5950Xに関しては、タスクマネージャの上にあるコアの方が負荷が高い。
これはCPU負荷がRyzenの“Preferred Core”あるいは“Elite Core”と呼ばれるもの(平たくいえば“優秀なコア”)にかかると、論理コアも使われることと、CCDがCCD0とCCD1に分かれている場合は、CCD0が優先して使われるからである。
Cyberpunk 2077は発売当初Ryzen環境におけるパフォーマンスチューニングの甘さが指摘され、Patch 1.05で挙動の改善が実装された。これによると6C/12Tでは顕著なパフォーマンス向上が確認されたようだ。ただ、8C/16T以上では効果がみられないようだが、Ryzen 7/9ではCPU側にかなりの余裕がみられるので、Ryzen 7/9で改善されなかったのは当然といえるだろう。
Cyberpunk 2077を遊ぶならRyzen 3000シリーズよりも5000シリーズ
まずはGPUを同じもの(RX 6800 XT)に固定した場合、CPUを変更することでフレームレートにどの程度の影響が出るかを試してみたい。画質は“ウルトラ”、解像度はフルHDである。特定のルートを車で移動した時のフレームレートを「CapFrameX」で測定しているが、手動計測であり、かつ通行人や車の出方がその都度違うので誤差は大きめなことはご容赦戴きたい。
Cyberpunk 2077のウルトラ設定ではフルHD環境においてもGPUバウンド(GPU側が圧倒的に律速)な状況になりやすいらしく、平均fpsで見るとCPUの違いはさほど大きくない。平均fpsトップのRyzen 5 5600Xと最下位のRyzen 5 3600 XTとRyzen 5 3600Xでは8%も差が付いていない。そしてRyzen 9 5950Xを筆頭としたRyzen 5000シリーズ内の性能差はほとんどなく、誤差と言い切れない部分もある。
しかし、最低fpsに目を向けてみると、CPUの世代差が実に大きいことがよく分かる。Ryzen 5 3600Xから見てRyzen 5 5600Xの最低fpsは17%も伸びており、大幅にIPCやレイテンシーを改善したRyzen 5000シリーズの長所が遺憾なく発揮された結果となった。6C/12TのRyzen 5 5600Xよりも12C/24TのRyzen 9 5900Xや16C/32TのRyzen 9 5950Xの方がさらに最低fpsが伸びているが、これはほぼ体感できないレベルといって良い。
ただ、Cyberpunk 2077を快適に遊ぶためには、前述のCPU占有率と合わせて考えるとRyzen 5000シリーズのうち、Ryzen 7以上が好ましいといえるだろう。