※この記事はASCII.jpからの転載です(文中リンクはASCII.jpの記事に飛ぶことがあります)
Infinity Cacheを96MB搭載
もっとも誤算もあった。発表記事に細かい諸元が掲載されているが、一番予想外だったのはInfinity Cacheが半分の64MBではなく、3/4となる96MB搭載されたことだ。64MBでは予想外にHit Rateが低くなると判断されたのかもしれない。またメモリー搭載量が12GBということは、必然的にメモリーバスは192bitということになる。
これも筆者は(記事には書かなかったが)128bit化されると思っていただけに、ややびっくりである。もっともこちらは、バス幅が問題というよりもメモリー搭載量が問題だった可能性がある。というのは発表記事にも出てくるが、Radeon RX 6700 XTは1440pゲーミングをメインに置いた製品になっているが、この1440pで最高画質設定にすると、一部のアプリケーションではすでに8GBでは不足するというのがAMDの主張である。
GDDR6の場合、容量としては8Gbit/16Gbit(1GB/2GB)しか選べないから、10GBなら2GB×5か1GB×10、12GBなら2GB×6か1GB×12の構成になるのは必然で、この時点で128bitバスはあり得ない(2GB×8の16GBという選択肢はなくはないのだが)とわかる。
逆に言えば性能的には、InfinityCacheのお陰でメモリーバスそのものは128bit幅でもそこそこに行けるとは思うのだが、このあたりは不明である。
なお説明会ではリファレンスボードの内部構造の解説もあったのだが、ここからすると1GB×12ではなく2GB×6構成になっているものと思われる。
これは必然的な話ではある。かつては基板の両面にGDDRを配することが可能であり、実際そうしたビデオカードも存在していたのだが、昨今ではGDDRチップそのものの冷却も必要であり、基板の裏面側にGDDRチップを配すると、これの放熱が難しい(背面までヒートパイプを回すとビデオカードそのものが大型化し、かつ厚みも増えてしまう。
だからといって背面側をバックプレートだけで放熱しようとすると放熱能力が足りない)という問題があり、最近は基板の表面だけでGDDRの配置を完結させるのが一般的である。
となると、×8は可能でも×10や×12はかなり苦しいことになる(不可能ではないが、上の画像で言えばGPUの左に位置するVRMをさらに左に追いやって、空いたスペースに搭載する必要があるので、カードそのものが大型化する)わけで、その意味では以前に比べると構成の自由度が減っているのが昨今の状況である。
実際384bit Busを持つGeForce RTX 3080やGeForce RTX 3090のボードサイズが巨大なのは基板の表側の、それもGPUのダイの周辺に12個ものメモリチップを集積する必要があり、VRMなどがかなり離れた場所に置かれることになるからというのが最大の理由である。まぁ今はHBM2やHBM2Eという飛び道具もあるので、このあたりは価格と帯域のバランスを睨みながらの判断になる。
話がそれたので元に戻す。気になったのは6GBの派生型はあり得るか? ということだが、確認したところOEMであってもそうしたカスタマイズはできないという話で、Radeon RX 6700 XTはリファレンスと異なるボードであっても容量は一律12GBということになるそうだ。
これは、Radeon RX 6700 XTを1440Pゲーミングで十分な性能を出すために必要、という製品の位置づけから来るものとなる。実際説明では、GeForce GTX 1070 TiやGeForce RTX 2080 Superからの乗り換えにも最適としており、また1440Pに関して言えばGeForce RTX 3060 TiはもとよりGeForce RTX 3070と比較しても遜色ない性能、というのがAMDの主張である。
8つの比較的最新のゲームを1440pで実行した平均フレームレート(いずれも画質は最高設定)を比較した結果7つで最速であり、一番遅いWatch Dogs Legionですら62fpsを確保しているとのことだ。
もっともこれ、ここまで最高画質に設定しないとどうなるか? というのは興味があるところであって、このあたりはいずれKTU氏がベンチマークレポートを公開してくれると思うので、それを待ちたい。