※この記事はASCII.jpからの転載です(文中リンクはASCII.jpの記事に飛ぶことがあります)
PBO2を実際に使ってみる
では実際にPBO2のPer Core Curve Optimizerを使ったOCの手順を紹介しよう。まず前置きとして、PBO2を利用するには「Ryzen 5000シリーズ」「AMD 400/500シリーズチップセット」そして「AGESA 1.1.8.0以降のBIOS」の3点が必要だ。そこで今回は以下のような構成で検証している。
検証環境 | |
---|---|
CPU | AMD「Ryzen 5 5600X」 (6コア/12スレッド、3.7~4.6GHz) |
CPUクーラー | Corsair「iCUE H115i RGB PRO XT」 (簡易水冷、280mmラジエーター) |
マザーボード | GIGABYTE「X570 AORUS MASTER」 (AMD X570、BIOS F33c) |
メモリー | G.Skill「Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX」 (DDR4-3200、16GB×2)×2 |
ビデオカード | AMD「Radeon RX 6800 XT」リファレンスカード |
ストレージ | GIGABYTE「AORUS GP-ASM2NE6200TTTD」 (NVMe M.2 SSD、2TB)、 Western Digital「WDS100T2X0C」 (NVMe M.2 SSD、1TB) |
電源ユニット | Super Flower「LEADEX Platinum 2000W」 (80PLUS PLATINUM、2000W) |
OS | Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」 (October 2020 Update) |
とはいえ、いきなりPBO2を使えと言われても何から手を付けていいか分からないはずだ。だが、今回AMDはPBO2を使う際のスタートラインとして、以下のような資料を出している。まずはここからスタートし、徐々に詰めていこう。
実際にGIGABYTE製X570マザーボード「X570 AORUS MASTER」を利用して、PBO2の設定をしてみる。最後に解説するCurve Optimizerの設定値はCPUの個体や検証環境ごとに異なるので、自分で試行錯誤しつつ見つけ出すしかない。
また、言うまでもないがPBO2の利用はBIOS画面で警告が出るとおり、動作保証外の行為となるため、これが原因で故障しても保証は受けられない。全て自己責任の下で実施しよう。
Curve Optimizerの設定はPBO2によるチューニングの核心部分であるが、CPUの個体差や冷却環境などの要素が入り込むため、この設定なら通ると断言できる情報はない。いきなりPer Core設定に挑むと心が折れるかもしれないので、まずはAll Cores設定で感覚を掴んでみるとよいだろう。Negativeの設定値を5あたりから小さくしていって、OSが起動しなくなる限界値を探ってみると良いかもしれない。
Curve OptimizerのPer Core設定での勘所は、Ryzenの“優秀なコア”に対しNegativeで一番小さなカウント(0に近い値)を与え、逆に性能の良くないコアはNegative方向にカウントを増やすことにある。普通のコアに無駄な電力を費やして働かせるよりも、優秀なコアをキッチリ回す方がシングルスレッド性能が伸び、結果的に体感性能の向上に結びつきやすいからだ。
この優秀なコアは「Ryzen Master」や「HWiNFO」のようなユーティリティーを使えば一発で判別できる。ざっくりと全コア同じカウントからスタートし、OSの起動やベンチマークなどで不具合が出たら優秀なコアのNegativeカウントを減らす(0に近づける)ような感じで最適な設定を探すとよいだろう。「OCCT」のような高負荷をかけるツールを使って、高負荷をかけた時にエラーが出やすいコアをチェックするのも良い手だ。