インターフェースは必要十分
さらに上が必要なら拡張すればよいという思想
オンボード機能もコスト抑制傾向にある。バックパネルのUSB端子は、4ポートがUSB 2.0になっている。とはいえ、10GbpsのUSB 3.2 Gen 2 Type-AおよびType-Cポートも備えているので、外付けSSDの高速モデルなどを使う際にも十分性能は発揮できる。
そのほかにコストを抑えているポイントとしては、無線LANが非搭載なことと有線LANが1GbEであるところだろう。ただし、無線LANはノートPCと比べて持ち運びの少ないデスクトップPCなら重要度は下がる。有線LANについては、2.5GbE対応モデルも増えているが、現状主流は1GbE。現在の環境で利用できれば大丈夫という方ならスペックダウンととらえる必要もない。
フロントUSBはUSB 3.2 Gen 1 Type-CおよびType-A×2。より高速のUSB 3.2 Gen 2を利用したいときにリアインターフェースまで手を伸ばさなければいけないのは少し面倒だが、USB 3.2 Gen 2対応機器と言ってもほとんどが高速外付けSSD。一般的なUSBストレージを使う限り、USB 3.2 Gen 1(USB 3.1 Gen1、USB 3.0と同じ5Gbps)でカバーできるだろう。USB 3.2 Gen 1であれば、PCケース側も多くが対応しており、フロントからアクセスしやすい。将来的には分からないが、現状では使い勝手に対する影響は大きくないと判断できる。
オーディオ機能でも少しコストを抑えているようだ。コーデックはRealtek「ALC892」。上位モデルで用いられる「ALC1220」や「ALC4082」に比べると古く、S/Nなど見劣りする部分もある。
ただし、7.1チャンネル対応でMSI AUDIO BOOST準拠。オーディオグレードのコンデンサを組み合わせ、デジタル回路とアナログ回路、左右チャンネルを分離した設計などが採用されているので、一般的には問題ないレベルだ。本格的にゲームや音楽に目覚めたなら、その時はATXの拡張性を活かしてUSB DACやサウンドカードなどを追加するというプランが組み立てられるだろう。
ゲーミングという点で、LEDに注目されている方もいるだろう。MPG B550 GAMING PLUSでLEDイルミネーションが仕込まれているのは、チップセットヒートシンク周辺だ。そのほかは各部に搭載されているLED用ヘッダーを利用して外付けする。
LEDは同社のMystic Lightを利用して制御できる。デフォルトでの発光箇所が控えめなので、イルミネーションを楽しみたい方はLEDを搭載する各種パーツの追加を、そうでない方はハードウェアスイッチでLEDをオフにしたり、ユーティリティを用いて控えめな演出にしたりと工夫したい。
今必要な機能に絞り込み
ムダを省いて実現できたこのコスパ
このように、MPG B550 GAMING PLUSは機能面をゲーミングマザーボードとして必要最小限に留め、コストを切り詰めつつデザイン性を両立させたモデルと言える。性能を抑えた部分も、現在メインストリーム層となるユーザーの環境に即し、機能が過剰になりがちな部分を切り詰めた結果と言えるのではないだろうか。その点では、コストに対してあまりトレードオフを感じるところがない。
AMDのSocket AM4ももう終盤だ。USB 3.2 Gen 2×2や2.5GbEの非対応は少し惜しい気もするが、本格的な普及はソケットが変わった次世代プラットフォームの頃、次の買い換えタイミングであると予想するならば、MPG B550 GAMING PLUSはまさにムダを省いたコスパマザーと言えるのかもしれない。