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Ryzen対応チップセットの変遷を、歯車デザインでおなじみのASRock「Taichi」シリーズ3世代で振り返る(3/3)

文● 石川ひさよし 編集● AMD HEROES編集部

CPU、チップセットの進化で
インターフェースが高速&豊富に

PCI ExpressもCPUとチップセットに依存する。AMD X570と第3世代以降のRyzen(Ryzen 4000シリーズのAPUはPCI Express 3.0対応)との組み合わせならPCI Express 4.0が利用可能だが、それ以外の組み合わせではPCI Express 3.0や同 2.0(チップセット接続側)となる。

PCI Express
X570 Taichi X470 Taichi X370 Taichi
グラフィックスカード Gen 4 Gen 3 Gen 3
CPU側 M.2 Gen 4 Gen 3 Gen 3
チップセット側 拡張スロット Gen 4 Gen 2 Gen 2
チップセット側 M.2 Gen 4 Gen 2 Gen 2

なお、X370/X470/X570 Taichiの拡張スロットはいずれもPCI Express x16×2(x16/-またはx8/x8)、PCI Express x4×1(x16形状)、PCI Express x1×2という構成だ(レイアウトは異なる)。X370 TaichiのみPCI Express x1 #1スロットがCPUソケット寄りにあるので、少し使い勝手に違いがあるかもしれないが、利用可能なカード数はほぼ同じと捉えてよいだろう。

現行世代のグラフィックスカードはPCI Express 4.0対応なので、X370/X470 Taichiに挿した場合、動作に問題はないがフル性能を引き出せていない状態と言える。ただし、PCI Express x1やx4拡張カードでPCI Express 4.0対応の製品は、一般に入手可能な製品としてはまだない。

一方、M.2スロットはNVMe SSDなどで使用する機会が多いだろう。ここもCPUとチップセットの組み合わせ次第で、あまりマザーボード自体でどうにかなるということはないが見ておこう。まずX370/X470 TaichiのM.2スロットは2基で、CPU直結側がPCI Express 3.0、チップセット接続側はPCI Express 2.0。一方のX570 TaichiのM.2スロットは、PCI Express 4.0対応が3基だ。

SSDの、特にシステムストレージとしてのニーズはNVMe SSDへ、そしてPCI Express 3.0 x4からPCI Express 4.0 x4へと移行してきていると言えるだろう。そしてそのスロット数も増やして欲しいというニーズが高い。

X570 TaichiではM.2スロットがPCI Express 4.0対応となったほか、前2世代よりも1基増えた

X570 Taichiはさらにハイエンド志向!?
シンプル路線でも利便性向上機能を追加

マザーボード上の機能を見ていくと、1つ気づいたことがある。X470 Taichiまではハイエンド寄りの製品であるが、機能面では割り切ったところもあった。ところがX570 Taichiはそうした付加価値的なところが充実してきているように感じる。

たとえばマザーボードの右下部分。ブートプロセス時のPOSTコードを表示するLCD「Dr.Debug」はX370 Taichiの頃からあったもので、PCが起動しないといったトラブル時に問題がどこにあるのかを把握する上で便利だった。X570 Taichiでは、そこにさらに電源・リセットボタンが追加された。

電源・リセットボタンはケース組込前段階などで動作確認をする際に重宝するが、一般的にコストの観点から見れば非搭載でも構わなかっただろう。つまり、Taichi自身がよりハイエンド寄りにシフトしたのではないかと思うのだ。Taichiというブランド自体が広く知れ渡るようになり、そこに対するユーザーの期待、要求も高まってきたということだろうか。

X570 TaichiではDr.Debugの横に電源・リセットボタンが追加された

また、バックパネルにもX570 Taichiで追加された機能がある。BIOS Flashbackスイッチだ。X370/X470 TaichiもCMOSクリアスイッチを搭載していて便利だったが、X570 Taichiはさらに一歩利便性を高めている。BIOS Flashbackスイッチがあれば、電源を接続し更新用BIOSを収めたUSBメモリを特定ポートに挿すことで、CPUを搭載していなくてもBIOS更新ができる。

X570 TaichiにはBIOS Flashbackボタンが付いた

見た目よし・コスパよしの
ゲーミングハイエンドを貫く「Taichi」

AMD X370からX570まで、CPUやチップセットの機能だけでなく、Taichiという同じシリーズ中で見てもデザインや設計が大きく変化してきた。Taichi自体のデザインテーマも変遷してきたが、自作PCトレンドも変化しており、これを盛り込んできているというのも感じた比較だった。

最新のX570 Taichiについては、AMDの現行メインストリーム向けであるソケットAM4対応のチップセットとしては最上位のものを搭載しているだけに、機能面での不足はない。AMD X570チップセット搭載マザーボードは、全体的に前世代までのマザーボードと比べて高価になったのだが、それはチップセット側に起因するところもある。

X570 Taichiには新たに追加された機能もあるが、大きくコストに関わるというわけではない。ハイエンド枠の中で比較をすれば中心価格帯にいる。機能が充実したぶん利便性が上がり、一方、コストパフォーマンスという本来の点ではブレていないと言えるだろう。


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