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冷却性能、静音性ともに優秀なゲーミング向けミドルレンジGPU「Radeon RX 6700 XT Phantom Gaming D 12GB OC」(2/2)

宮崎真一 編集●市川/ASCII

※この記事はASCII.jpからの転載です(文中リンクはASCII.jpの記事に飛ぶことがあります)

GPUクーラーは冷却性能、静音性ともに優秀
RX 5700 XT Challenger Pro OCから3割ほど性能アップ!

それでは、RX 6700 XT Phantom Gaming D OCのパフォーマンスを確認していこう。今回は比較対象として、「Radeon RX 5700 XT」(以下、RX 5700 XT)を採用したASRock「Radeon RX 5700 XT Challenger Pro 8G OC」(以下、RX 5700 XT Challenger Pro OC)を使用した。つまり、置き換え対象のRX 5700 XT搭載モデルから、RX 6700 XT Phantom Gaming D OCはどれだけ性能向上を実現しているか検証するというわけだ。

なお、RX 6700 XT Phantom Gaming D OCは、CPUからビデオメモリーへフルアクセスが可能となる「Smart Access Memory」を有効にしてテストを実施している。そのほかのテスト環境は表のとおり。

テスト環境
CPU AMD「Ryzen 9 5900X」(12コア/24スレッド、3.7~4.8GHz)
マザーボード ASRock「X570 PG Velocita」(AMD X570)
メモリー 16GB(DDR4-3200、8GB×2)
ビデオカード ASRock「Radeon RX 6700 XT Phantom Gaming D 12GB OC」(Radeon RX 6700 XT)、ASRock「Radeon RX 5700 XT Challenger Pro 8G OC」(Radeon RX 5700 XT)
ストレージ Plextor「PX-512M9PeG」(M.2/NVMe SSD、512GB)
電源 SilverStone「SST-ST1200-G Evolution」(80PLUS Gold、1200W)
OS Microsoft「Windows 10 Pro」(64bit)

まずは、「3DMark」(Version 2.17.7137)の結果からだが、RX 6700 XT Phantom Gaming D OCは、「Fire Strike」でRX 5700 XT Challenger Pro OCに約19~33%の差をつけた。Fire Strike“無印”は、フルHDでのテストとなるためCPU性能の影響が大きく、RX 6700 XT Phantom Gaming D OCがRX 5700 XT Challenger Pro OCを引き離せていないものの、解像度が高まるにつれて、RX 6700 XT Phantom Gaming D OCの優位が色濃く表われている点は立派だ。

「Time Spy」では、総合スコアに与えるCPU性能の影響が大きいため、両者の差は縮まっているが、それでもRX 6700 XT Phantom Gaming D OCは下位モデルに約22~23%の溝を空け、格の違いを見せつけている。

「3DMark」のスコア。解像度が高まるにつれ、RX 6700 XT Phantom Gaming D OCの優位が色濃く反映されていることがわかる

続いて「Cyberpunk 2077」のテストに移ろう。ここでは、ウルトラプリセットを適用したうえでゲームをプレイ。砂漠地帯を移動するシーンにおける1分間のフレームレートを「CapFrameX」(Version 1.6.0)で取得した。なお、ここでは最小フレームレートの代わりに、データを並べた際に全体の1%の値を示す99パーセンタイルフレームレートを使用している。

その結果だが、RX 6700 XT Phantom Gaming D OCは、RX 5700 XT Challenger Pro OCに対して平均フレームレートで約16~24%の差をつけた。とはいえ、3840×2160ドットはさすがにRX 6700 XT Phantom Gaming D OCにとっては荷が重すぎるようで、現実的なプレイアブル解像度は2560×1440ドット以下といえそうだ。とくに1920×1080ドットであれば、RX 6700 XT Phantom Gaming D OCはウルトラプリセットを適用しても、99パーセンタイルフレームレートはほぼ60fpsに達しており、快適にプレイできることは誰の目にも明らかだ。

Cyberpunk 2077(フルHD)の結果 (単位:fps)

Cyberpunk 2077(WQHD)の結果 (単位:fps)

Cyberpunk 2077(4K)の結果 (単位:fps)

それは、「Call of Duty: Warzone」でも同じだ。ここでは、オプションから描画負荷が最大となるように設定したうえでゲームをプレイし、Cyberpunk 2077と同様にCapFrameXで1分間のフレームレートを取得した。ここでのRX 6700 XT Phantom Gaming D OCとRX 5700 XT Challenger Pro OCとの開きは約15~25%と、Cyberpunk 2077と似た傾向だ。

1920×1080ドットであれば、RX 6700 XT Phantom Gaming D OCは99パーセンタイルフレームレートが144fpsを上回っており、120fps程度がやっとのRX 5700 XT Challenger Pro OCとでは明確な差が生じている。高リフレッシュレートの液晶ディスプレーと組み合わせて、FPSやTPSでよりどちらが有利に立ち回れるかはいうまでもないだろう。

Call of Duty: Warzone(フルHD)の結果 (単位:fps)

Call of Duty: Warzone(WQHD)の結果 (単位:fps)

Call of Duty: Warzone(4K)の結果 (単位:fps)

続いて「Apex Legends」では、オプションから描画負荷が最大となるように設定したうえでゲームをプレイ。1分間のフレームレートを「Fraps」(Version 3.5.99)で取得した。その結果だが、平均フレームレートで両者の差は約28~37%に広がっている。

CPU性能の影響が薄まる2560×1440ドット以上の解像度で色濃く表われる傾向が見られる。2560×1440ドットではRX 5700 XT Challenger Pro OCの最小フレームレートが120fps程度なのに対して、RX 6700 XT Phantom Gaming D OCは160fps以上と雲泥の差といっていいレベルだ。グラフィックスAPIがDirectX 11のゲームでは、RX 6700 XT Phantom Gaming D OCの優位がより明確になっているといって差し支えない。

Apex Legends(フルHD)の結果 (単位:fps)

Apex Legends(WQHD)の結果 (単位:fps)

Apex Legends(4K)の結果 (単位:fps)

「Fortnite」では、Apex Legendsほどではないものの、RX 6700 XT Phantom Gaming D OCの勢いは止まらない。ここでは、最高プリセットに指定したうえでゲームをプレイし、Apex Legendsと同様にFrapsでフレームレートを取得した。その結果だが、RX 6700 XT Phantom Gaming D OCとRX 5700 XT Challenger Pro OCとの差は、平均フレームレートで約21~26%ほど、最小フレームレートで約17~21%ほどだ。

ここでは、最小フレームレートの25600×1440ドットの結果に注目してほしい。RX 5700 XT Challenger Pro OCは60fpsを常時上回っているものの、RX 6700 XT Phantom Gaming D OCの最小フレームレートは80fpsにまで達しており、より快適にプレイできるのは、RX 6700 XT Phantom Gaming D OCであることは間違いない。1920×1080ドットにいたっては、RX 6700 XT Phantom Gaming D OCが120fpsに届く勢いを見せており、ミドルレンジ向けながらもそのパフォーマンスは折り紙つきだ。

Fortnite(フルHD)の結果 (単位:fps)

Fortnite(WQHD)の結果 (単位:fps)

Fortnite(4K)の結果 (単位:fps)

GeForceシリーズへの最適化が進んでいるため、Radeonシリーズが不得手とする「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」の結果も見ておこう。ここでは、最高品質に設定してベンチマークを実行しているが、1920×1080ドットはCPUがボトルネックとなっているためか、両者のスコアは並びつつある。そこで、それ以外の解像度を見ていくと、RX 6700 XT Phantom Gaming D OCはRX 5700 XT Challenger Pro OCに約20~21%の溝を空けており、さすがは新世代のGPUといったところ。

とくに、スクウェア・エニックスの指標では、スコア7000以上が最高評価とされており、それを踏まえると、RX 6700 XT Phantom Gaming D OCは3840×2160ドットでもそれを楽に上回るパフォーマンスを発揮している。スコアの詳細を見てみると、3840×2160ドットでRX 5700 XT Challenger Pro OCは平均フレームレートが50fpsに留まっているのに対して、RX 6700 XT Phantom Gaming D OCは60fpsに達している点は高く評価できる。

ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク(最高品質)のスコア

さらに、RX 6700 XT Phantom Gaming D OCが採用するGPUクーラーのPhantom Gaming 3X Cooling Systemの冷却性能も確認しておきたい。ここでは、3DMarkの「Time Spy」のGraphics test 2を30分間連続した状態を高負荷時として、その後30分間放置した状態をアイドル時とし、それぞれにおけるGPUの温度をGPU-Zで取得した。

なお、システムはケースに組み込んでいないバラック状態で、室温24度の環境下でテストしている。その結果だが、RX 5700 XT Challenger Pro OCが70度を超えてしまっているの対して、RX 6700 XT Phantom Gaming D OCは60度台半ばに収まっている。Phantom Gaming 3X Cooling Systemの冷却性能は十分高いといっていいだろう。なお、両者ともにアイドル時の温度が50度ほどと高めなのは、ファンの回転が停止するためだ。

RX 5700 XT Challenger Pro OCが70度を超えているの対して、RX 6700 XT Phantom Gaming D OCは60度台半ばを維持。Phantom Gaming 3X Cooling Systemの冷却性能は十分高い

最後に、筆者の主観であることを断ったうえで述べると、Phantom Gaming 3X Cooling Systemの動作音はかなり静かなように感じられた。もちろん、静音性が非常に高いとまではいわないが、少なくともケースに入れてしまえば、まったく聞こえてこなくなるレベルだ。これだけ大規模なGPUクーラーを採用しながらも、動作音が抑えられている点は立派の一言。

価格は実売で9万6000円弱
電源周りやGPUクーラーの出来を踏まえるとお買い得感高め

以上のテスト結果から明らかなとおり、RX 6700 XT Phantom Gaming D OCのパフォーマンスは非常に高い。同じミドルレンジ向けでありながら、RX 5700 XT Challenger Pro OCとでは世代差がハッキリと表われる形となった。

RX 6700 XT Phantom Gaming D OCは、ゲームによっては4K解像度でも十分快適なゲームプレイを実現するほか、FPSやTPSをフルHDで高フレームレートな環境下でプレイすることも可能だ。GPUクーラーのPhantom Gaming 3X Cooling Systemの冷却性能は申し分ない出来で、動作音も低く抑えられている点も魅力の1つといえる。

RX 6700 XT Phantom Gaming D OCの価格は、実売で9万6000円弱と、ミドルレンジ向けとしては高価なことは確かだ。とはいえ、基板の電源周りの豪華さや、GPUクーラーの出来のよさを考えると、費用対効果は十分高い製品といってよいだろう。


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