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サードウェーブに聞いた、躍進するAMD Ryzen搭載デスクトップ&ノートPC

文● 石川ひさよし 編集● AMD HEROES編集部

PCパーツをベースに各社が完成済みPCとして販売する「ホワイトボックスPC」は、BTO PCとして特にCPUやグラフィックスカード、ストレージの選択肢が豊富であり、高性能ゲーミングPCを組み立ての手間なく保証付きで購入できるところがメリットだ。

一昔前はIntel製CPUの採用が目立っていたが、最近ではAMDのCPU「Ryzen」シリーズの性能が向上し、採用PCが増加している。では、販売状況などはどう変わってきているのだろうか。今回はそんなホワイトボックスPCメーカーのひとつであり、コンピュータ―ショップ「ドスパラ」を運営し、ゲーミングPC 「GALLERIA(読み ガレリア 以降 ガレリア)」で知られるサードウェーブに、AMD Ryzen搭載PCの動向をお聞きした。

コロナ禍の巣ごもりがレジャーとしての「PCゲーミング」を拡めた

今回はサードウェーブの執行役員 製品・マーケティング統括本部副統括本部長で、同社PC製品の企画・開発の全般から各ブランドのプロモーションなどに携わる佐藤和仁氏にオンライン会議越しでお話をお聞きした

——Ryzenのお話の前に、2020年は新型コロナウイルスの影響がPC業界にもあったのではないでしょうか。まずこちらについてお聞かせください。

佐藤氏:2020年はコロナ禍により大きな変化がありました。2020年2月から3月にかけてはそれこそ世界の経済、レストランや交通、人々の楽しみ方といったさまざまなことが一気に変わってしまうのではないかと危惧しました。

ただ、1ヵ月後の4月、5月になると「巣ごもり」という言葉の広まりと伴に、多くの方が家にいながらできる「楽しみ方」を模索するようになりました。その答えのひとつとしてPCでゲームを楽しむという流れも生まれました。

そして、7月にはゲーミングPC「ガレリア」の新しいデスクトップ筐体を投入しました。シンプルでスッキリとしたデザインをベースに新世界への「ゲート」をテーマとした前面ライティングを組み合わせ、特にこれからPCでゲームを楽しみたいというお客様にも好評をいただけたと感じております。

「GALLERIA」新ケース発表会の様子

新発表された「SK-Premium」

同じく新発表された「SK-Standard」

ゲーミングPCというニーズは冬にかけてさらに本格化してまいりました。ゲーミングPCはこれまでのコアなユーザーたちだけでなく、中高生や大学生にも拡がり、さらには広くレジャーの1つとして捉えていただけるようになってきたと感じています。

デスクトップPCでもノートPCでも躍進する
Ryzen搭載PC 人気はRyzen 5とRyzen 7

——そのような激動の2020年でしたが、AMD Ryzen搭載PCにはどのような動きがありましたか。

佐藤氏:AMD Ryzen搭載PCの売上は2020年に大きく拡大しました。それはもう2年前から見たら劇的な変化と言えます。

AMD Ryzenは初代Zenアーキテクチャーのリリース時からじわじわと支持を拡大してきました。そしてZen 2でライバルのIntelと比較しても遜色ない性能となり、価格性能比に優れていたところがより広く受け入れられるようになりました。ここまでは比較的コアなユーザー、昔から自作PCに親しんでいるユーザーからの支持が大きかったように思います。

これが現在のZen 3となると、性能面でもリードするようになりました。これまでのコアなユーザーだけでなく、さらに幅広いユーザーからも支持を集めているように感じています。

——サードウェーブではどのようなAMD Ryzen搭載PCをラインアップしていますか。

佐藤氏:現在、AMD Ryzen搭載PCはラインアップ全体の4割ほどにあたります。ただ、これがゲーミングPCに限れば、その比率は5割に達しています。

——どのようなモデルが売れていますか。

佐藤氏:もっとも数が売れているのはRyzen 5搭載モデルで、次いでRyzen 7搭載モデルが人気です。Ryzen 5は特に人気が高く、現在のRyzen 5 5600Xが不足している状況では、1世代古いRyzen 3000シリーズのRyzen 5搭載モデルも投入して、なんとか凌いでいるほどです。

——Ryzen 9はいかがでしょうか。

佐藤氏:Ryzen 9も好調です。グラフィックスカードの価格が上昇していることにより、Ryzen 9はお客さまのコストのかけ方に影響が及んでいる印象です。

つまり、グラフィックスカードにより多くの予算を回し、CPU価格を抑えるという選択をされるように感じています。もちろんハイエンドゲーミングPCではグラフィックスカードの性能に見合ったCPUが必要です。このためRyzen 9の1つ下であるRyzen 7が好まれているようです。

一方で、動画編集などを目的に購入されるお客さまはRyzen 9を選ばれます。クリエイター向けの「raytrek(読み レイトレック)」シリーズは現在、Ryzen搭載モデルが1製品のみですが、こうしたRyzenへの支持の高まりを踏まえ今後、ラインアップを拡大していく予定です。

——先程Ryzen 9やグラフィックスカードで話題に挙がった半導体不足やパーツの価格高騰について、現場ではどのように感じていますか。

佐藤氏:昨年中はそこまで意識することはありませんでした。しかし、状況が変わってきたのは、NVIDIA RTX 30シリーズ発売のタイミングからです。俄然、商品不足が顕著になってきました。実際、GeForce RTX 3080搭載グラフィックスカードは当初の予定よりも入荷数が少なく、ずいぶん苦労しました。

パーツの価格まで顕著に上昇しはじめたのは2021年になってからです。ちょうど旧正月前後、自動車向け半導体不足が騒がれ始めた頃と前後しています。BTO PC、ドスパラ店頭でもグラフィックスカードの在庫確保に苦労しておりますが、弊社が直接代理店をしているPalit Microsystems製グラフィックスカードについては少しでも多くの方にご提供できるよう何とか努力しています。しかし、本来の状況とまではいかないでしょう。

——AMD Ryzen搭載ノートPCラインナップについてお聞きしてもよろしいでしょうか。

佐藤氏:AMD Ryzen搭載ノートPCは、Ryzen 4000シリーズが登場した昨年から弊社でもモデルを投入しました。AMD Ryzen搭載ノートPCが登場したことで、今ではAMD RyzenとIntel Coreと製品の性格、お客様の志向に合わせて展開できるようになってきました。巣ごもり需要で全体的にPCの需要が伸びていますが、その中でもノートPCの出荷量は伸びています。

——ノートPCでのRyzenの人気はどうでしょう。

佐藤氏:昨年の発売直後はリリースしたモデルは即完売。その後の供給が大変なほどでした。ノートPCではRyzen 7搭載モデルに人気が集まっています。ノートPCではゲーミング用途、クリエイター向け用途のように、PCのハードウェア事情をよくご存知の方が先駆けてRyzenを選んでいる傾向にあります。まだ全体のラインアップの3割ほどですが、RyzenはデスクトップPCだけでなくノートPCでも躍進している印象があります。

——ノートPCでも、Ryzen搭載モデル購入者の主な用途はやはりゲーミングでしょうか。

佐藤氏:私どもがお客様にアンケートを取ったところでは、ゲーム用途が8割以上を占めています。ただ、その8割の方も複数回答では仕事や動画編集といった用途にお使いのようです。高性能PCとしてゲームもやる、ほかの用途にも使うといったことでしょう。そして、ゲーム以外を主目的に挙げるユーザーも1割を超えています。

——Ryzen搭載ゲーミングノートPCでは、どのようなゲームタイトルを目的に買われている傾向があるのでしょうか。

佐藤氏:「フォートナイト」や「VALORANT」、「Apex Legends」、「レインボーシックス シージ」といったシューター系が人気です。ゲーミングノートPCは高リフレッシュレートパネルを搭載するモデルが多いことも、シューターを楽しみたいというお客さまの心を捉えているのではないでしょうか。

「やりたいこと」にマッチするRyzen搭載モデルを展開するサードウェーブ

——豊富なラインアップの中からオススメのモデルをいくつかご紹介いただけますか。

佐藤氏:イチオシはRyzen 7 3700XにGeForce RTX 3070を組み合わせた「GALLERIA XA7R-R37」です。CPU、GPUともパフォーマンスが高く、どのようなゲームでも快適に楽しめる「間違いない」製品です。ただご存じの通りCPU、グラフィックスカードの価格が世界的な品不足で上昇していますので、ご予算17万以下でパフォーマンスを考えた場合は「GALLERIA RM5R-R36」がオススメです。CPUはRyzen 5 3600、グラフィックスにはGeForce RTX 3060を採用していますので、フルHD環境に最適なゲーミングPCです。また、ご予算13万以下でおすすめなのが、「GALLERIA RM5R-R26」です。グラフィックは1世代前ながらRyzen 5+2060でこの価格はお買い得です。

GALLERIA XA7R-R37

GALLERIA RM5R-R36

——ノートPCでは、オススメのモデルはございますでしょうか?

佐藤氏:ノートPCではRyzen 7 4800HにGeForce RTX 2060を組み合わせた「GALLERIA GR2060RGF-T」です。GPUが1世代古いものを組み合わせておりますが、コストパフォーマンスにすぐれ、スリムなデザイン、軽量なボディに120Hzパネルと、1台でさまざまな用途をカバーできるスペックです。

GALLERIA GR2060RGF-T

——最後に、ユーザーに向けてひと言いただけますか。

佐藤氏:AMD Ryzen搭載モデルは売上が前年比で大幅に伸び、AMDから表彰を受けることもできました。近年目覚ましい進化を遂げてきたAMD Ryzenを搭載のPCを、それぞれお客さまの「やりたいこと」に合わせてラインアップを充実させております。ゲーミングPCのGALLERIA、クリエイターのためのraytrek、そしてベーシックPCにこだわったサードウェーブ、ぜひ各ブランドのホームページやドスパラ店頭などでその魅力を見て、実機を触って感じていただきたいと思います。


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