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5月8日、ついにサバイバルホラーの⾦字塔『バイオハザード』シリーズの最新作『バイオハザード ヴィレッジ』が発売された。本作はロゴに「VIII」が冠され、ナンバリングタイトルの第8作に相当する作品。
前作で描かれたベイカー邸での惨劇から数年が経過した世界が舞台。事件から生還したイーサン・ウィンターズは、対バイオテロ部隊“BSAA”の庇護の下、妻のミア、そして愛娘のローズと平穏な日々を過ごしていた。しかし、BSAA隊⻑クリス・レッドフィールドの襲撃によって、その平穏が破られる。クリスに奪われた娘を取り戻すため、イーサンは再び死地へと向かう。
また、『バイオハザード ヴィレッジ』といえば、AMDが日本時間3月4日に最新ビデオカード「Radeon RX 6700 XT」を発表した配信にて、オープンソースのゲームベンダー向け開発ツールである「FidelityFX」が採用され、レイトレーシングを有効にすると、非常にリアルな映像美が楽しめるという映像が公開された。
「FidelityFX」は、CAS(Contrast Adaptive Sharpening)フィルタを含むポストシェーダライブラリ。映像がよりシャープになり、陰影効果によってよりリアルな表現が期待できる。
そこで今回、『バイオハザード ヴィレッジ』のプロデューサー神田 剛氏と、基盤技術研究開発部の伊集院 勝氏(以下、敬称略)に話を伺う機会を得たので本作の魅力、近年PCゲームプレイヤーの注目を集めるAMDの最新CPUであるRyzen、GPUのRadeonなどについても聞いてみた。
“村”は第二の主人公、行けるエリアもどんどん広がる
編集部 『バイオハザード ヴィレッジ』では、どんなサバイバルホラーが体験できるのでしょうか?
神田 本作のコンセプトはタイトル通り“村”になっています。その村を起点として、前作よりもスケール感とボリュームがかなりアップしたゲームプレイを楽しんでもらえます。さらに、今回はアクション性も重視したつくりになっており、スピード感のあるアクションが楽しめるサバイバルホラーになっています。
もちろん、『バイオハザード』シリーズならではの恐怖だったり、探索、戦闘、リソースマネージメントだったりがしっかりと含まれています。物語としては前作と同じくイーサン・ウィンターズを主人公に据え、前作の続きとして楽しめる内容となっています。
編集部 村が重要な要素になっているんですね。
神田 村を第二の主人公的な扱いで作り込んでいます。メトロイドヴァニア的なスタイルで、“村”を中心に行けるエリアがどんどん広がっていきながらゲームが進⾏していきます。
編集部 前作との違いや、新要素について教えてもらえますか?
神田 前作(バイオハザード7)のコンセプトは「究極のホラー体験」で、狭く深い枠組みのうえに、かなりホラー体験に振り切った作品でした。しかし、今作ではホラー体験のシークエンスでの“恐ろしさ”はそのままに、より幅広く、スケール感もアップさせ、さらに多くのプレイヤーに楽しんでもらうためにアクション性も含めて、全体的な遊び応えをアップさせるようにしています。
たとえば、武器の種類であったりとか、探索できるエリアであったりとか、バラエティーに富んだ敵たちなど、そうしたスケール感やボリューム感が、我々が推していきたいところになります。
もちろん、RE ENGINEによるグラフィックス、リアルタイムレイトレーシング対応、 サウンドの進化などテクニカルな面の進化によって、前作『バイオハザード7』以上に没入感も増しています。プレイフィール全体もかなりパワーアップしていると感じてもらえる作品と、我々が⾃信を持って言える出来栄えになっています。
編集部 トレーラーに登場した「ドミトレスク夫人」にとてもインパクトを受けたのですが、「ドミトレスク夫人」が生まれた経緯などをお聞きできますか。
神田 きっかけはアートディレクターが吸血鬼をイメージした敵キャラを描きたいというアイデアです。企画当初“数多い女性の城”というコンセプトがありました。それをどういう形で『バイオハザード ヴィレッジ』の世界観にマッチさせられるのかと試⾏錯誤した結果、最終的に吸血鬼をイメージしたドミトレスク夫人を城主に据えた家族という設定が生まれ、彼女と3⼈の娘という形に落ち着きました。
編集部 前作でも敵に家族という設定があり、そうしたところにも共通するものを感じますね。
神田 今回イーサンにもミアという妻がいて、その夫婦にも娘が⽣まれて、クリスに連れ去られるのですが、そこにも“家族”というひとつのテーマがあります。また、ドミトレスク城にも“家族”という設定があります。前作に続いて今作でも“家族”といういワードは⼤事にしています。
編集部 先ほどから何度か話に出てきている“村”や“城”のコダワリや魅力について教えてください。
神田 今回、スケール感を感じて欲しかったため雪に覆われた村に、かなり存在感のある城が建っています。東欧にロケに⾏ったのですが、その際かなりの大寒波に襲われました。そういった経緯もあって雪に覆われた寒村という形で描いています。村の中には住んでいる⼈たちがいて、いろんな人、モノ、それぞれの⽣活があって、城の中の調度品など⾒て頂きたいポイントがたくさんあります。
前作の『バイオハザード7』は第1作『バイオハザード』の精神的リブート的な作品でもありましたが、今回は『バイオハザード4』のエッセンスを感じてもらえるところがあります。そういったことも含めて今回の“村”を、大切に作り込んで、謂わば主人公のような形でフォーカスしています。
編集部 村や城以外の場所に行けたりはするのでしょうか。
神田 中心は村ですが、その周りに位置付けられているエリアもいくつかあるので、そうしたバラエティーさも重要視しています。
編集部 今作には、どのようなタイプの敵が登場するのでしょうか?
神田 今回はライカンという敵が登場します。ライカンは、人間のなれの果てのような感じで、狂暴化した他作品での「ゾンビ」的なポジションの敵ですが、前作の敵とは異なり、群れで襲ってきます。また、かなりスピーディーな動きをします。
彼らとの戦闘では、たとえば村であれば屋根の上に登って攻撃を仕掛けたりとか、そうした戦闘のバラエティー感、戦略が楽しめます。ライカンにもさまざまなバリエーションがありますが、村をハブとしていろんなエリアにいった際、同じ敵が同じエリアに出てくるといったマンネリ感を感じさせないことも意識して作っています。違うエリアから戻ってきたら、別種のライカンが現れる、いった新しい“差”というのが、村に帰って来てからも感じてもらえるような作りになっています。
編集部 今回『バイオハザード4』の時のような武器商人も登場しますが、どういったことが可能になるのでしょうか。
神田 今作での武器商人は「デューク」というのですが、武器の購入やアップグレードのほかに、今回“料理”の要素があります。ある程度ゲームを進めると登場します。村の中に登場する家畜や魚、鶏などを狩ることで肉などの食材が手に入ります。それを武器商人のところに持って⾏くと調理してもらえて、出来上がった料理を食べると、イーサンのステータスアップに繋がる、といった成長、育成要素があります。
神田 サバイバルホラーの緊張感を高いままで続けてしまうとプレイヤーが疲れてしまうので、デュークは緩急をつけるという役割もあります。料理の演出もクスッと思わず笑ってしまう感じで作っていますので、そこも楽しんでもらいたいです。
編集部 『バイオハザード』シリーズ25周年タイトルとして発表された『バイオハザード RE:バース』は、どういったゲームになるのでしょうか。
神田 『バイオハザード RE:バース』は、『バイオハザード ヴィレッジ』の発売以降にサービス開始を予定しています。『バイオハザード ヴィレッジ』を購入して頂いた方は無償でダウンロードが可能です。『バイオハザード』シリーズに登場する人気キャラクター同⼠でオンラインで戦う、いわゆるお祭りゲーム的なコンセプトの作品です。ユニークなポイントはB.O.W.(バイオ・オーガニック ・ウェポン)リベンジと言って、倒されると強力なB.O.W.変異して逆襲できる要素です。“倒される”ことも戦略になるのです。1戦だいたい5分くらい、カジュアルで手軽な対戦が楽しめます。
編集部 ゲームモードはどういったものになるのでしょうか。また、新たなモードが追加される予定はあるのでしょうか。
神田 マルチなモードが用意されていて、アップデートの予定もあり、追加も検討しています。