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「3DMark」で見るゲームグラフィックのパフォーマンス
続いてはゲーミング系の性能も検証しよう。まずは「3DMark」でグラフィックパフォーマンスがどの程度異なるかを見てみる。ここでは“Fire Strike”“Time Spy”の2本に絞った。総合スコアーが物理演算系テスト(Physics/CPU/Combined)に影響されるので、Graphicsスコアーの出方にも注目したい。Radeon系最新ハイエンドGPUの性能が、CPUの選択でどこまで変わるのかを見ると良いだろう。
今回実施した2つのテストのうち、最もCPUの差異がわかりやすかったのが、DirectX 11ベースのFire Strikeだった。総合スコアー(青のバー)はCPUの世代が進むにつれ、11~15%ずつ増えているが、CPUの影響が最も少なくなるように設計されたGraphicsテストのスコアー(オレンジ)はRyzen 7 5800Xと3800Xがほぼ同レベルで、2700Xと1800Xはそれぞれ大きな差がついている。DirectX 11のグラフィックパフォーマンスはRyzen 7 3800X以降は頭打ち傾向になる(グラフィックエンジンにもよるが……)ことが観測できた。
そしてPhysicsテストとCombinedテストではRyzen 7 5800Xが大きくスコアーを伸ばしている。Zen2→Zen3へ進化する際に加えられたCPUコアに対する改善がかなり効いていることを示している。
DirectX 12ベースのTime Spyでは、GraphicsテストのスコアーはFire Strikeほど大差がついていないどころか、Ryzen 7 3800Xが5800Xをわずかに上回ることも観測できた。Time SpyのCPUテストはFire StrikeのPhysicsテストほどの極端な差はついていないものの、CPUの世代を経るごとに順調にスコアーが伸びていることがわかる。
実ゲームでは描画負荷により傾向が大きく異なる
実ゲームベースの検証として、描画負荷の軽い「Rainbow Six Siege」、描画負荷の重い「Assassin’s Creed Valhalla」で試してみよう。今回のシステムはResizable BAR(Smart Access Memory)を有効にできる場合は有効にしてテストしているため、新CPUになるほどGPUパフォーマンスが引き出しやすくなっている。
まずRainbow Six Siegeでは、Vulkan APIを選択。画質“最高”をベースにレンダースケール100%を追加。ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測した。画面解像度はCPUの影響が出やすいフルHDに限定している。
同じRX 6800 XTを使っていても、CPUが違うだけで平均fpsが最大263fpsも違ってくることに驚かされる。Ryzen 7 1800X→2700Xの平均fpsは15%程度しか伸びていないが、2700X→3800Xで23%アップと大きく飛躍し、3800X→5800Xでは31%アップとさらに伸びた。
これまでの検証ではZen2→Zen3でやや頭打ち傾向になる場合が見られたが、このRainbow Six SiegeにおいてはZen2とZen3の8コアCPUでは決定的な差がある。ただ現在最速のゲーミングディスプレー(360Hz)を使った場合、Ryzen 7 3800Xと5800Xの違いはほぼ観測できないレベルに到達している(最低fpsを見ると5800Xは常時360fps以上をキープできてはいるが、この違いを見分けられる人はまずいないだろう)。
続いては、重量級ゲームの代表としてAssassin’s Creed Valhallaで試す。画質“最高”、1920×1080ドットに設定し、ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測する。Resizable BARが特に効くゲームであるため、Ryzen 7 3800Xより上のCPUでのパフォーマンスに注目だ。
このゲームは描画負荷が高いため、どちらかといえばGPUがボトルネックになる。そのためCPUによるフレームレートの差も相対的に低い。ただし、平均fpsだと差は少ないが、最小fpsベースだとRyzen 7 1800X→2700Xでは20%増、2700X→3800Xでは23%増と、Zen→Zen+→Zen 2までの進化がAssassin’s Creed Valhallaのパフォーマンスに大きな影響を与えていることが示されている。しかしながら、Ryzen 7 3800X→5800Xへはわずか4fpsしか差がないことから、このゲームではZen 2→Zen 3の進化はあまり影響しないことがわかる。