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「CINEBENCH R23」のスコアーは初代→第4世代で最大55%向上
前回にならい、定番「CINEBENCH R23」から始めよう。デフォルト設定である最低10分回してからスコアーを計測するやり方で計測した。
前回のRyzen 7対決と同様に、Ryzen 5対決においてもZen+→Zen 2にかけて著しい性能向上が確認できた。初代ZenであるRyzen 5 1600Xから第4世代である5600Xで比較すると、マルチ/シングルともにスコアーは55%向上している。Ryzen 5 1600X→2600Xだと7〜9%向上、2600X→3600Xだと19〜26%向上なので、Zen 2への進化が劇的であったことが再確認できた。
特にRyzen 5 2600X→3600Xでは、マルチスレッドのスコアーの伸び率が著しい(26%向上)。Ryzen 5 3600X→5600Xの伸びはシングルで19%、マルチで15%とやや鈍化しているが、Zen 3の5600XではTDPが95W→65Wに下がっていることを考えると、性能の伸びはZen+→Zen 2に決して負けていない。
Zen 3で一気にスコアーが伸びた「PCMark 10」
次は総合ベンチマーク「PCMark 10」で比較する。まずはゲーミング以外の全てのテストを実施する“Standard”テストを実施した。総合スコアーの他に各テストグループ別のスコアーも比較する。
ライトタスク主体のベンチマークであるため、CINEBENCH R23程のスコアーの開きはない。総合スコアーでも初代から見た第4世代Ryzen 5はせいぜい40%増しにとどまっている。続いてはテストグループ別のスコアーも比較してみよう。
アプリの起動やFirefoxを利用したWebブラウズ等をテストするのがEssentialsテストグループだ。特に目立つのがアプリの起動時間(App Start-up)のバーで、下から見ていった時にRyzen 5 3600Xで急激に伸びている。SSDがPCI Express 4.0(Gen 4)でリンクしている影響も十分にあるが、Ryzen 5 5600Xでさらに伸びているため、App Start-upのスコアーの伸びはSSDの読み書き性能の影響よりもCPUの処理効率の高さの方が強い影響を与えた結果と考えられる。
LibreOfficeによる表計算や文書作成で評価するのがProductivityテストグループ。前回のRyzen 7比較では表計算(Spreadsheet)のスコアーがZen 3世代のRyzen 7 5800Xで大きく伸びたが、今回の検証では特筆するまでの伸びは見当たらない。Zen+→Zen 2世代の伸び幅が大きいのはCINEBENCH R23等と同様だが、どのCPUも世代を経るごとにバランス良く伸びている印象がある。
クリエイティブ系ワークを中心にしたDCCテストグループでは、写真編集やCG作成などのパフォーマンスを比較する。ここで注目したいのはPOV-Ray等を利用するRendering and Visualizationのスコアーの伸びだ。
Ryzen 5 1600X→2600Xで15%、2600X→3600Xでは21%、3600X→5600Xでは約40%伸びているが、これは他の2つのテストよりも伸びが良い(Video Editingでは8→11%→15%)。実際のクリエイティブ系アプリを使用した性能検証は後でも行なうが、CPUをヘビーに使う処理が多くなるほど、第3および第4世代Ryzenの強さが際立ってくる。
Office 365に含まれるWord/Excel/PowerPoint、さらにMicrosoft Edgeを実際に操って性能を比較するApplicationsテストのスコアーも比較しておこう。
下から上へ、それぞれ1世代前のRyzenとのスコアーの伸びを比べてみると、Office 365アプリではZen+→Zen 2の伸びが最も大きい点で共通している(EdgeはギリギリZen 2→Zen 3が一番伸びている)。ExcelやWordをサラッと使う程度では、最新Ryzenのメリットはあまり感じられないだろうが、マクロを駆使したExcelで大きなデータを扱うなら、より新しいRyzenに乗り換えることを検討しても良いだろう。