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「Media Encoder 2021」「Lightroom Classic」では?
現実のクリエイティブ系アプリを使ったテストはAdobeの「Media Encoder 2021」と「Lightroom Classic」を使用する。
まず「Premiere Pro 2021」で編集した4Kの動画(再生時間は約3分)をMedia Encoder 2021でエンコードするためにキューを出し、最終的に1本の4K MP4動画を出力にかかった時間を計測する。使用するコーデックはH.264およびH.265、ビットレートは共に平均50Mbps、VBRの1パスエンコード(H.265の場合は品質“高”設定)、フレーム補間は“オプティカルフロー”を選択している。
H.264のほうがCPU同士の性能差が小さく、計算負荷の高いH.265の性能差がより大きく出ているのは、前回Ryzen 7で検証した時と同傾向といえる。例えば、Ryzen 5 1600Xを基準に5600Xを見た場合、H.264では単純に30%程度の速度アップであるのに対し、H.265では50%近くの速度アップを果たしている。最新のRyzen 5 5600Xでは速度アップがやや鈍化しているものの、世代を経るに従い順調にエンコード時間が短くなっている。
続いては「Lightroom Classic」だが、100枚の調整付きDNGファイル(61メガピクセル)から100枚のJPEG(最高画質)に書き出す時間を比較する。書き出し時にシャープネス処理(スクリーン用、適用量は標準)を付与した。
ここではRyzen 5 2600X→3600Xの間に2分半近くの差がつく一方、3600X→5600Xの差はわずか30秒という極端な結果が得られた。Zen 2から倍増したL3キャッシュの存在が、この決定的な差を付けていることがわかる。
ゲームグラフィックのパフォーマンスは変化するか?
ここからはゲーム系グラフィックのパフォーマンスを比較する。まずは「3DMark」によるスコアー比べからスタートしよう。今回も“Fire Strike”、“Time Spy”の2本で検証した。GPUは現行Radeon系のハイエンドGPUを使っているので、CPUの選択がGPU性能をどこまで変えるのかチェックしてみよう。
まずFire Strikeだが、総合スコアーがRyzen 5 3600X→5600Xで急激に伸びているが、これはPhysicsテストとCombinedテストのスコアーの伸びが強く関係していることが分かる。つまり、これらのテストはCPUの演算性能の上昇がスコアーアップの源泉なのだ。
一方、GPUそのもののグラフィック性能を見るGraphicsテストのスコアーはRyzen 5 3600Xと5600Xでほとんど変化していない。Ryzen 5 3600Xと5600Xの差は単純にZen 3世代のRyzenが持つ高い内部処理効率がカギになっている。
ただ、Ryzen 5 1600XのGraphicsテストのスコアーを基準に5600Xのそれを見ると、約20%伸びている。同じGPUでもCPU(とメモリー)を変えるだけで、グラフィック性能20%アップというのはかなり大きい。
Time SpyのGraphicsテストのスコアーは、Fire Strikeほど劇的に変化しない。一番上と下のGraphicsスコアーは3%しか違っていないが、総合スコアーでは14%近い差が出ている。各世代間のCPUスコアーは、12〜14%ほどでほぼ均等に開いており、新世代のRyzenになるほど総合スコアーを大きく押し上げている。
Fire StrikeとTime Spyの違いは使われているAPIであり、DirectX 11世代のFire StrikeのほうがGraphicsテストのスコアーに大きな差がついたところを見ると、DirectX 11のほうがよりCPUの影響を受けやすいようだ。