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2021年のCOMPUTEXは、昨今の社会情勢を反映してオンライン開催となり、YouTubeやTwitchといった配信サービス上で様々な発表が行われた。もちろんAMDもそのひとつ。今回はCOMPUTEX 2021開催直前にメディア向けに開催されたブリーフィング(“こういう事言いますよ”的な説明回)の内容と、YouTubeで配信されたリサ・スーCEOのセッション内容から、注目すべき発表内容を抜粋して紹介する。個々の内容の詳細については、大原氏の連載をお待ち戴きたい。
Ryzen 5000Gシリーズは8月販売開始。“無印版”を置き換える存在
空前のビデオカード不足の中、今最も期待されているのは高性能内蔵GPUを搭載したRyzen APUの登場だ。既に4月の時点で、AMDはZen 3ベースのAPUである「Ryzen 5000Gシリーズ」の存在を公にしていたが、その時点では“OEM向け”としか発表されなかった。
しかし、AMDは方針を転換し、8月に「Ryzen 5 5600G」「Ryzen 7 5700G」の2モデルをパッケージ版として販売すると表明した。北米における予想価格はRyzen 5 5600Gが259ドル、Ryzen 7 5700Gが359ドルとなっている。Ryzen 5000Gシリーズこそが、Zen+ベースのRyzen 3000Gシリーズ(2019年)の“正式な”アップグレードソリューションという訳だ。Ryzen 4000Gシリーズの単体流通が見送られたのは、Zen 2とZen 3が“(性能的に)近かった”ため。結果としてRyzen 4000Gシリーズのパッケージ版はスキップされ、5000Gシリーズ投入に至ったようだ。
さらに、AMDはRyzen 5000Gシリーズは既存のRyzen 5000Xシリーズのラインナップを補完する存在であるということも強調していた。つまりRyzen 5000シリーズの“無印版”や“低TDP版”は(パッケージ版として)出ないかわりに、Ryzen 5000Gシリーズがその穴埋めをすることになる。Ryzen 5 5600Xの発表時価格が299ドル、Ryzen 7 5800Xが449ドルであるため、Ryzen 5000Gシリーズは“X付きより1ランク落とした価格設定のCPU”として扱われていることは確かだ。
グラフィックパフォーマンスについては、CUが8基または7基に絞られているため描画負荷の軽いゲーム向けのものとなる。AMDは「Fortnite」「CS:GO」「Warframe」「Rogue Company」といったタイトルを挙げており、Rocket Lake-S世代のCPUに対し“最大”1.5〜2.4倍のパフォーマンスを発揮できるとアピールした。さらに「Davinci Resolve」や「Blender」などのクリエイティブ系アプリにおける性能も“最大”1.09倍〜1.63倍というデータを掲げており、Ryzen 5000Gシリーズの性能にかなりの自信を持っていることがうかがえる。
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さらに、ビジネス向けAPUである「Ryzen PRO 5000」シリーズが投入すると予告した。今年3月に発表のあった“モバイル向け”Ryzen PRO 5000シリーズのデスクトップ向けであるが、要はセキュリティー機能(AMD Shadow Stackなど)を追加したRyzen 5000Gシリーズのことである。デスクトップ向けのRyzen PRO 5000シリーズは型番末尾「G」および「GE」の2ライン構成となり、GはTDP 65W、GEはTDP 35Wとなる。それぞれにRyzen 3/5/7が1モデルずつ用意されており、いずれもZen 3ベースのAPUとなる。
このTDP 35W設定のGEシリーズは日本で発売されれば相応に受けることは確実だと思われるが、一般販売については一切言及がなかった。Ryzen PRO 4000Gシリーズ(Renoir)のように国内販売の実現を期待したいところだが、Ryzen 5000Gシリーズが一般向けに開放される以上、PROのGEシリーズが個別販売されることはかなり厳しいとみてよいだろう。
ちなみに、事前ブリーフィングではRyzen 3の存在は影も形もなかったが、後日配布された資料ではRyzen 3も入っていた。COMPUTEXの基調講演でも触れられていなかったが、ここからは事前ブリーフィング後に配布された資料から、興味深い図を抜粋し、解説することにしよう。