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「FidelityFX Super Resolution」は6月22日〜解禁
AMDは「FidelityFX Super Resolution」、略して“FSR”に関しても発表を行った。FSRは昨年のRadeon RX 6800/6800 XTローンチ時に開発中とされていたものの、そこから今に至るまで具体的な情報が何一つ出てこなかった。
今回AMDはFSRを“ゲームに統合しやすく、かつクロスプラットフォーム対応の高速なアップスケーリング技術”として紹介した。これを利用することでPCゲームのフレームレートの大幅向上と鮮明な映像を得られるとしている。内容的にはNVIDIAの“DLSS(Deep Learning Super Sampling)”に相当するものとされているが、DLSSがTensorコアを備えたGeForceが必須なのに対し、FSRはGPUを選ばないだけでなく、クロスプラットフォームであることが重要だ。
家庭用ゲーム機用にSoCを供給しているAMDならではの合理的な選択といえるだろう。Windows PCの場合でもFSRの対応ハードは幅広く、最新のRadeonはもちろんだが、Radeon RX 5000シリーズ(Navi)やRadeon RX 500シリーズ(Polaris)などの旧世代Radeon、さらにはRyzen APUでも対応し、さらにPascal世代のGeForceでもFSRはサポートする。もちろん後発のGPUの方がFSRの処理効率は高くなることは容易に想像できるが、GPUの買い換えが容易でなくなった今、ハードを選ばずにパワーアップできるFSRは極めて魅力的だ。
また、AMDはFSRの設定について、オフ(ネイティブ)を含め5段階の設定を持ち、画質とパフォーマンスのバランスをユーザーが選択可能であることも示した。「Godfall」を使った検証では、4K+最高画質+DXR有効時で49fpsだったものが、FSRを有効にすることで78〜150fpsまで向上することを示している。採用例がまだ少ないとはいえ、実装ノウハウを積んできたDLSSのアドバンテージをFSRが崩せるか興味がつきない。
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加えて、FSRは6月22日より解放され(恐らくgpuopen.comでの公開を意味する)、対応ゲームもこれに合わせて登場すると思われる。筆者も対応ゲーム公開に合わせ、さまざまな比較検証記事の執筆を予定している。乞うご期待だ。
3D V-キャッシュテクノロジーを搭載したRyzenが今年末に登場か?
最後にリサ・スーCEOはとてつもない隠し球を出してきた。次世代の5nmプロセスは順調に進んでおり、来年には最初の製品が出せると前置きした上で、AMDはパッケージングに関しても研究を続けているとした。RadeonのFury Xで培ったHBMの技術やZen 2で登場したチップレット技術といった革新的なパッケージング技術の末に到達した「3D V-キャッシュテクノロジー」を発表したのだ。
今回のセッションではZen3のCCDの上から7nmプロセスの64MB SRAMキャッシュを重ねたRyzen 9 5900Xのプロトタイプを紹介した。この積まれたV-キャッシュのおかげでCCDあたりのL3キャッシュは3倍に増やせるという。このキャッシュはCCDにダイレクトに接続され帯域は2TB/secに到達する。さらにこの接合部はハンダの玉(バンプ)などを経由せず直接銅と銅を接続するため、配線ピッチも狭くできるほか熱伝導も劇的に改善する。つまりAMDは最も先進的で柔軟なシリコン・スタッキング技術を手にしたのだ。
さらに、セッションでは従来構造のRyzen 9 5900Xと3D V-キャッシュ試作型のRyzen 9 5900Xのパフォーマンス比較も行った。ゲーム「Gears 5」では3D V-キャッシュ試作型の方が平均12%高いフレームレートを示したほか、「Monster Hunter: World」でもフレームレートが25%向上と、かなり期待できそうな数値が並んでいた。
AMDはさらに3D V-キャッシュを利用した製品を今年末までに投入するとも発表したが、Ryzenに載せるのかまでは言及しなかった。この話題の冒頭部分で「for Future High Performance Computing Products」と評していたので、EPYCラインに採用される可能性も十分にある(費用がかさむのでむしろこちらが自然)。
いずれにせよCPU関連は今後しばらくAMDの無双状態が続くことは間違いないだろう。来年の今頃はどんなCPUが出回っているのだろうか? 楽しみは尽きない。