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AMDのカスタムAPUがSteam DeckとMagic Leapに採用 AMD CPUロードマップ(2/3)

大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

※この記事はASCII.jpからの転載です(文中リンクはASCII.jpの記事に飛ぶことがあります)

Magic LeapがAMDのセミカスタムSoCを採用

さてSteam Deckの話はこのあたりにして、もう1つ。今年6月2日、Magic LeapはAMDとパートナー契約を結び、AMDベースのセミカスタムSoCを採用することを発表した

Magic Leapは古いところだと2015年の記事が引っかかるが、2018年8月10日にまず開発者向け出荷が開始。昨年3月にはNTTドコモが日本での販売を発表しており、実際国内ではNTTドコモの販売ページから購入もできる。価格はちょっとアレで、個人で楽しむには厳しい感じはするのだが、それはともかく。

Magic Leap 1

6月のリリースは非常に簡潔であるが、要するに同社の次世代製品(Magic Leap 2)に向けてAMDのカスタムAPUを利用する、という意味で捉えて間違いではないだろう。

まだこちらは全貌がさっぱり明らかではないが、そもそも現行のMagic Leap 1がNVIDIAのParker SoCベースで、これはCPUがDenvor 2.0×2+Cortex-A57×4(うちDenvor 2.0×1とCortex-A57×2がアプリケーションに開放)、GPUがPascalベースの256 CUDA coreという構成だから、ほぼ2017年発売のJetson TX2である。

メモリーは合計8GBで、うち4GBがユーザーに開放というから、Jetson TX2の8GBモジュールにだいたい等しい構成だろうか。Magic Leap 1の方では消費電力は明記されていないが、Jetson TX2モジュールの方は7.5W/15Wなので、15W程度と考えておいた方がいいだろう。

ただ今となってはJetson TX2の性能はお世辞にも高いとは言えない。TSMCの16nmプロセス製造だからそんなに性能が低いわけでもない(CPUコアは最大2GHz、GPUコアは最大1.465GHzで駆動される)はずだが、同じNVIDIAでも2019年に発売されたJetson Xavier AGX(CPUがCarmel×8で最大2.26GHz駆動、GPUがVoltaベースの512 CUDA coreで最大1.377GHz)や、そのサブセットで2020年に発売されたJetson Xavier NX(CPUはCarmel×6で最大1.9GHz、GPUはVoltaベースで384CUDA core、最大1.1GHz駆動)あたりと比較するとかなり遅い。

NVIDIAによればJetson Xavier NXはJetson TX2の10倍高速という話であったが、実際にベンチマークを実行してみると3~5倍程度でしかない。とはいえ3~5倍高速なら十分という気もするのだが、Magic Leapとしてはもう少し性能での上乗せが欲しかったようだ。

このMagic Leap 2、公式の発表はこの程度であるが、米Protocolが4月20日に公開したMagic Leap CEOのPeggy Johnson氏のインタビュー記事によれば、Magic Leap 2はアーリーアダプター向けプログラムが今年第4四半期、一般販売は2022年第1四半期になるとしており、ほぼSteam Deckと変わらないスケジュールで投入されることが公開されている。

ちなみにこのMagic Leap 2は企業向けに注力するとCEOも語っているので、引き続き一般ユーザーにはあまり縁がなさそうである。

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