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「Ryzen 7 5700G」「Ryzen 5 5600G」を“安いRyzen”として使うのはアリ? dGPU使用時のパフォーマンスを検証(5/5)

加藤勝明(KTU) 編集●ジサトラハッチ/ASCII

※この記事はASCII.jpからの転載です(文中リンクはASCII.jpの記事に飛ぶことがあります)

内蔵GPUを利用した時の温度はどちらが高い?

さて、今回のテーマである“ビデオカード利用時のRyzen 5000Gシリーズのパフォーマンス”から少し離れ、Ryzen 5000Gシリーズの発熱に関しても少し検証してみたい。ゲーム中のCPU/内蔵GPU温度については放置プレイのしやすい「Anno 1800」を利用した。画質設定は“低”、解像度はフルHDとし、ゲームの状態で15分程度放置、その間の温度推移とクロックを「HWiNFO」で追跡した。

ゲーム中のRyzen 5000GシリーズのCPUおよび内蔵GPU温度

ゲーム中のRyzen 5000GシリーズのCPUおよび内蔵GPUクロック

ゲーム開始直後はRyzen 7 5700GのCPU温度が一時期高い温度を示したこともあるが、5分を過ぎたあたりからRyzen 5 5600Gの発熱が逆転。内蔵GPU温度もCPU温度に引きずられるようにRyzen 5 5600Gが僅かに高い値を示した。

とはいえCPUの温度は瞬間最大で65℃前後、安定値は40〜50℃と極めて低く、内蔵GPUの温度はさらに低い。TDP65Wの枠内でキッチリ回るように調整されていることが分かる。

途中からRyzen 5 5600Gの温度が上回った理由は動作クロックの推移にヒントがあった。Ryzen 7 5700Gの場合CPUクロックは3GHz〜4.6GHzの間を乱高下しているのに対し、Ryzen 5 5600Gは途中から4GHz〜4.4GHzの変動に切り替わっている。

ゲームの何がこのようなクロック変動を起こしたのかまでは突き止められなかったが、前回の消費電力の検証でも、Ryzen 5 5600GがRyzen 7 5700Gを上回ったと言う結果が出ている。ここから考えると、TDPは同じ65Wで制限されているものの、コアの少ないRyzen 5 5600Gの方がより各CPUコアにパワーを回せるため、クロックが上がった(=消費電力増)と考えられる。

TDP65Wだから6コアの方がクロックが上げられるという推測を検証するために「OCCT Pro」のCPUテスト(以前はOCCTテストと呼んでいたもの)を回してみる。先の推測が正しいなら、Ryzen 5 5600Gの方がクロックが高くなるはずだ。OCCT Proの設定は一番重いExtremeモードとした。温度とクロックの追跡はOCCTビルトインの機能ではなく「HWiNFO」を使用している。

「OCCT Pro」のOCCTテスト実行中におけるCPU温度の推移

「OCCT Pro」のOCCTテスト実行中におけるCPUクロックの推移

OCCTの検証でもRyzen 5 5600Gの方がRyzen 7 5700Gよりも高いクロックで動作し、CPU温度も高くなるという結果が得られた。

前回検証した消費電力のデータ(下グラフ)でRyzen 7 5700Gの方が消費電力が低い理由は、TDP65Wで8C/16TのRyzen 7 5700Gはクロックが伸びないからだということがハッキリした。Ryzen 7 5800XはTDPが105Wと高くクロックも高いのでCPUクーラーもある程度高性能なものが必要になるが、TDP65WのRyzen 7 5700Gではそのような心配はなくなった訳だ。

システム全体の消費電力。OCCTとは「OCCT Pro」のOCCTテスト実行中のピーク値。前回の検証データからRyzen 5000X/5000Gのみの結果を抜粋

内蔵GPUを使わなくても
低予算ゲーミングPC用のCPUとして使える

Ryzen 5000Gシリーズの内蔵GPUは(内蔵としては)出来が良いだけに、ビデオカードを使うのは邪道みたいなことを考えてしまうかも知れないが、Ryzen 5000シリーズのX付きモデルの下位CPUとして考えても非常によくできている。

特に、ゲーム目的でミドルクラスのGPUと組み合わせるのであれば、Ryzen 5000Gシリーズはかなりオススメであり、ハイエンドGPUを組み合わせる前提なら、L3キャッシュの多いRyzen 5000シリーズのX付きモデルがオススメである。


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