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【AMDチップセットマザーボードレビュー第43回】

ミドルレンジながらトレンドを網羅したインターフェースが魅力!MSI「MAG X570S TOMAHAWK MAX WIFI」(2/2)

チップセットヒートシンクのファンレス化に加え
各部に見られる使い勝手のよさ

ATXマザーボードでも拡張スロットを減らす傾向にあるが、MAG X570S TOMAHAWK MAX WIFIはPCI Express x16スロットが2本、PCI Express x1スロットが2本の構成で比較的拡張性が高いと言えるだろう。x16スロットは最上段がCPU直結でPCI Express 4.0の16レーンに対応しており、下段のスロットはチップセット接続でPCI Express 4.0対応4レーン動作となる。x1スロットはどちらもPCI Express 3.0動作だ。

PCI Express x16スロットは2基、PCI Express x1スロットも2基

M.2スロットは2基。拡張スロットとは異なり、こちらはCPU直結のものもチップセット側接続のものも両方にPCI Express 4.0に対応している。また、どちらもヒートシンクを備えているので、2枚の高性能M.2 SSDを搭載したい場合でもヒートシンク付きモデルでなくても対応できる。そしてCPUソケット寄りのCPU直結スロットはM.2 22110サイズにも対応している。

M.2スロットは2基でどちらもヒートシンク付き。01、02のナンバリングが分かりやすく脱落防止ネジも便利

Serial ATA 3.0ポートは6基

なお、ファンレス化を実現したチップセットヒートシンクは、放熱効果を高めるためだろう、かなり大きめだ。また、先に説明したようにチップセットに接続するPCI Express x1拡張スロットはPCI Express 3.0に制限されている。

市場を見渡してもPCI Express 4.0に対応する拡張カードはビデオカード、M.2スロット増設カードのほかほとんど存在しない。PCI Express x16(#2)の1本をPCI Express 4.0 4レーン対応としてそうした拡張カードはここを活用し、残りは速度を抑え、発熱を抑えているのではないかと推測される。

2本のPCI Express x16スロットの間のスペースに大きく張り出した格好

チップセットヒートシンクの下にLEDイルミネーションを搭載している。そのほかにはLEDイルミネーションはなく、LED用ピンヘッダーを利用して楽しむ格好だ。通常ならマザーボード下辺にRGB LEDヘッダーとレインボーLEDヘッダーが並ぶレイアウトが多いのだが、本製品はこの2つが離れた位置にある。下辺レインボーLEDヘッダーは右端にあり、その横にはLEDオン/オフを制御できるEZ LEDコントロールスイッチがある。

チップセットヒートシンクの下にLEDを搭載

マザーボード下辺右端にはLED関連のヘッダーやスイッチがある

やっぱり今から組むなら
2.5GbEやUSB 3.2 Gen 2 Type-Cは欲しい

インターフェースでのポイントは、まずリア/フロントともにUSB 3.2 Gen 2 Type-Cをサポートしている点だ。いまだフロントUSB 3.2 Gen 2 Type-C付きのPCケースに選択肢が少ないのは悩みどころだが、備えあれば憂いなしだ。また、市場を見渡してもUSB 3.2 Gen 2 Type-Cに対応する高速の外付けSSDが徐々に増えてきている。ゲームデータの保存先として、あるいは大容量データの受け渡しなどで活用できる。

各世代のUSB端子やPS/2など、数はスタンダードだが豊富な種類の端子を備えている

フロントUSB 3.2 Gen 2 Type-C用のヘッダーを備える

ネットワークも2.5GbEおよびWi-Fi 6Eに対応している。AMD X570マザーボードの初期モデルは2019年だったため、ハイエンドでは高速なLANを搭載していたものもあるがミドルレンジ以下では1GbEとWi-Fi 5が主流だった。Wi-Fi 6はすでにスマートフォンやノートPCなどでも一般的となり、家庭内にもWi-Fi 6対応ルーターの導入が進んでいる。

2.5GbEはまだこれからだが、スイッチングハブの価格は5ポート1万円程度まで下落してきたことで、今後普及が進むと見られる。また、10Gbpsのインターネット回線サービスも増えて、リモートワークやリモート学習という高速回線ニーズも高まっている背景をかんがみれば、今マザーボードを買うなら2.5GbEやWi-Fi 6の搭載は要チェック項目と言えるだろう。

有線LANはRealtek 8125BGを採用

無線LANはWi-Fi 6E対応のIntel Wi-Fi 6E AX210

オーディオ機能は同社Audio Boost 5。チップはRealtek ALC4080を採用。オーディオグレードのコンデンサを組み合わせるほか、独立オーディオ回路や左右音声でPCBの層を分けた基板設計、ジャックの抜き挿し時のポップノイズを抑える仕組みなどが用いられている。

オーディオチップはRealtek ALC4080

オーディオコンデンサは日本ケミコン製のオーディオグレード品で、回路設計でも高音質化を図っている

AMD X570チップセットにAPUを組み合わせるという選択肢は少数派と思われるが、そうした方にとってもメリットのあるアップデートがある。1つはバックパネルのHDMI。このクラスのAMD X570マザーボードでは、初期にリリースされた製品だとHDMI 1.4までの対応だったものも多いが、本製品はVer. 2.1に対応しており、4K/60Hz出力が可能だ。

内蔵GPUで4K出力をしたい場合はHDMI 2.1対応で選ぼう

もう1つはOCメモリーへの対応だ。MAG X570S TOMAHAWK MAX WIFIのOCメモリーのサポートリストにはDDR4-5100まで記載がある。APUのGPU性能はメインメモリーの速度に拠るところが大きい。そしてどこまでのOCメモリーをサポートできるのかという点は、マザーボードのメモリー回路設計による。高クロックメモリーを求めるならば最新設計のMAG X570S TOMAHAWK MAX WIFIがよい選択肢だ。

DDR4 BOOST準拠のメモリー回路設計を採用

ミドルレンジで充実機能&最新設計

MAG X570S TOMAHAWK MAX WIFIは、現在のトレンドを盛り込んだ最新のAMD X570マザーボードだ。リフレッシュモデルの登場で価格メリットが増した既存モデルも魅力だが、やはり今から組むなら2.5GbEやWi-Fi 6E、USB 3.2 Gen 2 Type-Cといった最新インターフェースが欲しいといったニーズもある。MAG X570S TOMAHAWK MAX WIFIはこうしたトレンド機能をミドルレンジで実装したモデルである。

もちろんチップセットヒートシンクのファンレス化もうれしいポイントだ。既存モデルでファンレスなのは限られた高価なハイエンドモデルのみだった。AMD X570の機能、最新インターフェース、そしてファンレスといった要素をすべて備えるMAG X570S TOMAHAWK MAX WIFIは、これからRyzenで組むユーザーにとって気になる製品と言えるのではないだろうか。


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