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【注目Radeonピックアップ!第44回】

定格向け構成でコストと充実のインターフェースを両立したGIGABYTE「X570S AORUS ELITE AX」(2/2)

文● 石川ひさよし 編集● AMD HEROES編集部

コストを抑えつつも
十分な電力供給を実現する電源回路

電源回路は定格運用向けの設計という印象だ。まず電源端子が8ピンEPS12V×1基のみである。VRMは12+2フェーズ構成だ。フェーズ数としては十分であるが、ゲーミングモデルとしては少ないほうだろう。最新CPUが備えるブースト機能に関してはなんら問題なくフル性能を引き出す供給能力があるものの、OCとなると過度な追求はできないだろう。

CPU電源端子は8ピン1基のみ

12+2フェーズ回路

PWMコントローラはRenesas「RAA229004」、MOSFET(DrMOS)はメインの12フェーズにonsemi「NCP252160」を、SoC向けにVishay「SiC654A」を組み合わせていた。NCP252160は60A対応のMOSFETで、SiC654Aは50A対応のMOSFETだ。チップ自体はミドルレンジの定番である。

PWMコントローラはRenesas「RAA229004」

CPUコア用にonsemi「NCP252160」、SoC用にVishay「SiC654A」を組み合わせている

ハイエンド~アッパーミドルモデルではCPUコアもSoCも同じメーカー、同じ型番のMOSFETで統一するものがほとんどだが、コスト重視のモデルではまれに異なるMOSFETを組み合わせることもある。PWMコントローラは1つだが系統が異なるため問題はない。それにSoCはCPUコアほど電力要求が高いわけでもないため、コスト要求の高いモデルでは無理に60A対応のMOSFETに統一する必要もない。

もちろん統一することでのメリットもあるだろう。製造工程でメリットがあったり、特に発熱や寿命、不良率の予想が混載時よりも容易だったりというのはあるかもしれない。ただし、本製品はゲーミングエントリークラスなので、コストという観点からも過剰なスペックを選ぶ必要がなかったということだろう。

そのほか、プレミアムチョーク、高品質コンデンサを採用し、5層基板&2オンス銅箔層を用いるといったGIGABYTEの品質もポイントになるだろう。

価格/機能比における魅力度の高いマザーボード

X570S AORUS ELITE AX (rev. 1.1)は、定格運用を前提としてマザーボード選びをすると、この価格帯において特に欲張りな製品の1つと言えるかもしれない。

ネットワークに2.5GbEやWi-Fi 6E、インターフェースにUSB 3.2 Gen 2×2 Type-Cを搭載。冷却面では大型VRMヒートシンクや、1番目のM.2スロットを両面ヒートシンクにするといった工夫が見られる。より長く快適に利用するには、高速インターフェースは先取りしていたほうがよいし、高速なM.2 NVMe SSDでいかにサーマルスロットリングを発生させないかもポイントになる。

一方、電源回路はOC向きではない。CPU電源端子が8ピン1基であるところを見れば明らかな通り、定格~ライトOCをターゲットに構成されている。こうした点や、CPUコア用とSoC用でMOSFETを使い分けることで価格バランスを取っている。ターゲットが明確だからこその構成と言えるだろう。


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