AMD HEROES

twitter
facebook
line

【注目Radeonピックアップ!第43回】

フルHD~WQHDは超快適! PowerColorの高コスパGPU「Hellhound AMD Radeon RX 6600 8GB GDDR6」の実力とは

新世代となるRDNA 2アーキテクチャーを採用しながらも、コストパフォーマンスの高さから市場で注目を集めているAMDのGPU「Radeon RX 6600」。今回紹介するPowerColorの「Hellhound AMD Radeon RX 6600 8GB GDDR6」(型番:AXRX 6600 8GBD6-3DHL、以下 Hellhound RX 6600)も、そのRX 6600を採用したビデオカードだ。Hellhound RX 6600は、その名のとおり、同社がHellhoundシリーズとして展開するミドルレンジ向けに置かれたモデル。

では、はたしてHellhound RX 6600のパフォーマンスはどの程度なのか、実際にゲームをプレイして確かめてみたい。

ブーストクロックはリファレンスと同じ
サイズは約220mmと比較的コンパクト

まずは、Hellhound RX 6600の動作クロック設定から紹介していこう。Hellhound RX 6600のゲームクロックは2044MHz、ブーストクロックは2491MHzと、いずれもリファレンスから変わりはない。メモリークロックも14.0Gbosでこちらもリファレンスどおりとなっている。

GPU-Z(Version 2.43.0)の実行結果

Radeon Softwareから仕様を確認したところ

サイズは実測で約220mm(※突起部除く)と比較的コンパクトだが、基板自体はさらに短い約202mmほどしかない。つまり、GPUクーラーがカード後方に約18mmほどはみ出た格好だ。また、マザーボードに装着した際、垂直方向にブラケットから約27mmほどGPUクーラーが張り出しており、コンパクトな一方で背が高い点は注意が必要だ。

全体的にブラックでまとめられたカード全景。GPUクーラーの表面が大人しいデザインとなっている点が特徴的だ

そのGPUクーラーは、2.2スロット占有タイプで、100mm角相当のファンを2基搭載している。これらのファンのブレードは、かなり下向きの角度がつけられており、PowerColorによると、これにより従来モデルから整流と風圧を最大60%増加させることに成功したという。さらに、GPUに負荷が掛かっていないアイドル時には、ファンの回転を停止するセミファンレス仕様となっている。

また、GPUクーラーには青色LEDが搭載され、半透明のファンブレードを通して点灯する。なお、このLEDはカード側面に設けられたディップスイッチで無効にすることも可能だ。

ちなみに、ファンの動作音は比較的静かな印象を受けた。もちろん、静音性に優れているとまではいえないものの、少なくともケースの中に入れてしまえば、動作音は聞こえてこなくなるレベルだ。

2基のファンは、いずれもブレードの角度を下向きにすることでエアフローの向上を実現しているという

カード側面に用意されたLEDのオン/オフ切り替えスイッチ。工場出荷時設定は、カード後方側でLEDはオンになっている

カード裏面には金属製のバックプレートを装着。Hellhoundのロゴの目の部分にもLEDが搭載されている

カードを横から覗き込むと、GPUクーラーには6mm径のヒートパイプが3本用いられているのが確認できる。また、GPUベースはGPUコアだけでなくメモリーチップにも接しているほか、電源部にはヒートシンクが装着されており、冷却周りもしっかりとした設計がなされている。さらに、PowerColorによると、基板の電源部にはDr.MOSを使用しているほか、その電源部は5+1フェーズ構成が採用されており、クラス相応の電源回路を実装しているという。

カードを横から見たところ。3本伸びているヒートパイプが印象的だ

補助電源コネクターは8ピンを1基用意。映像出力インターフェースは、DisplayPort 1.4が3つに、HDMI 2.1が1つと、最近の製品ではよく見られる構成だ。

補助電源コネクターは、基板がGPUクーラーより小さいため、一段低い切り欠きのような位置に実装されている

3つのDisplayPortと1つのHDMIが用意されたブラケット。ブラケットまで黒色で統一しているあたりはこだわりを感じる

フルHDならHellhound RX 6600に軍配
RTX 3060に1割も差をつける場面も

それでは、Hellhound RX 6600のパフォーマンスを確認していこう。今回、比較対象には同じミドルレンジ向けモデルとなる「GeForce RTX 3060」(以下、RTX 3060)を用意。グラフィックスドライバーには「Radeon Software Adrenalin 21.11.2」を使用しているが、これはテスト時に最新バージョンとなるものだ。そのほかのテスト環境は表のとおり。

テスト環境
CPU AMD「Ryzen 9 5950X」
(16コア/32スレッド、3.4~4.9GHz)
マザーボード ASRock「X570 Taichi」(AMD X570)
メインメモリー 16GB(DDR4-3200 8GB×2)
グラフィックスカード PowerColor「Hellhound AMD Radeon RX 6600 8GB GDDR6」(Radeon RX 6600)、
ZOTAC「ZOTAC GAMING GeForce 3060 Twin Edge OC 12GB 192BIT GDDR6」(GeForce RTX 3060)
SSD Plextor「PX-512M9PeG」(M.2、NVMe、512GB)
電源ユニット SilverStone「SST-ST1200-G Evolution」
(1200W、80PLUS Gold)
OS Microsoft「Windows 10 Pro(64bit)」

まずは、定番の3Dベンチマークである「3DMark」(Version 2.20.7274)の総合スコアの結果から見ていこう。「Fire Strike」では、Hellhound RX 6600はRTX 3060に4~6%ほどの差をつけ、テスト解像度が1920×1080ドットとなるFire Strike“無印”で22000台のスコアを発揮している点は立派だ。さすがにテスト解像度が3840×2160ドットのFire Strike Ultraでは、スコアは4000台まで低下してしまうものの、それでもRTX 3060を上回っているあたりは評価できよう。

一方、DirectX 12のテストとなる「Time Spy」では、Hellhound RX 6600は、RTX 3060に対して勝ったり負けたりのいい勝負を演じている。Time Spyにおいては、Ampere世代のGeForceシリーズが高いスコアを発揮する傾向があるのだが、それでもHellhound RX 6600はRTX 3060に肩を並べている点は特筆に値する。

では、実際のゲームではどうなのだろうか。まずは、「バイオハザード ヴィレッジ」におけるフレームレートをチェックしてみたい。ここでは、オプションのグラフィックス自動設定から「画面品質重視」を選択してゲームをプレイ。その間のフレームレートを「CapFrameX」(Version 1.6.6)で取得している。また、全体のデータの中で最小1%となる1パーセンタイルフレームレートを最小フレームレートの代わりに使用し、以降、「Minimum(1%)」と表記することをここで断っておく。

さて、その結果だが、1920×1080ドットであれば、Hellhound RX 6600はRTX 3060に、平均フレームレートで4%、Minimum(1%)で5%の差をつけた。AMDは、RX 6600について、1920×1080ドットでのゲームプレイを想定しており、Hellhound RX 6600もそれにならって高いパフォーマンスを発揮しているというわけだ。それ以外の高い解像度になると、Hellhound RX 6600はRTX 3060の後塵を拝する形となるが、それでも2560×1440ドットでは、Hellhound RX 6600はMinimum(1%)が60fpsを大きく上回っており、快適なプレイが実現している。

続いて「Call of Duty: Warzone」では、オプションから描画負荷が最高となるように設定してゲームをプレイ。そして、バイオハザード ヴィレッジと同様に、CapFrameXでフレームレートを計測している。その結果だが、やはりHellhound RX 6600は、1920×1080ドットでのパフォーマンスが優秀だ。Hellhound RX 6600とRTX 3060との開きは、平均フレームレートで12%にも達し、Minimum(1%)でも9%ほどもある。2560×1440ドットになると両者の差は一気に縮まり、3840×2160ドットでは、Hellhound RX 6600は、RTX 3060に逆転を許してしまう。

ただ、ここで注目したいのは、Hellhound RX 6600の1920×1080ドットにおけるMinimum(1%)だ。1フレームでも多く描画させて有利に立ち回りたいと考えるコアなゲーマーにとって、Hellhound RX 6600の常時110fps以上のフレームレートを発揮している点は、十分満足のいく結果といって差し支えないだろう。

「DEATH STRANDING」でも、Hellhound RX 6600は1920×1080ドットで威勢のいい結果を残している。ここでは、オプションから「最高」プリセットを選択してゲームをプレイし、これまでと同様にCapFrameXでフレームレートを取得している。1920×1080ドットにおいて、Hellhound RX 6600は、平均フレームレートでRTX 3060に7%の溝を空けているほか、Minimum(1%)では12%もの差をつけ、ゲームの快適性に関してはHellhound RX 6600に軍配があがる。2560×1440ドットでも、Hellhound RX 6600はRTX 3060と肩を並べ、Minimum(1%)は80fpsを上回り、快適なプレイを実現している。

最後に「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」の結果を確認しておこう。ここでは、「最高品質」に指定してベンチマークを実行しているが、Hellhound RX 6600はRTX 3060に離される形となった。これは、同ベンチマークがGeForceシリーズへの最適化が進んでいるためだ。だが、スクウェア・エニックスの指標では、スコア15000以上が最高評価としている。Hellhound RX 6600は1920×1080ドットでそれを満たしており、プレイにまったく問題はなさそうだ。

価格は6万7000円程度
RTX 3060と比べてコスパ優秀

以上のテスト結果を踏まえると、Hellhound RX 6600は、1920×1080ドットであれば、かなり快適にプレイできることは間違いない。しかも、同解像度であれば、RTX 3060よりもパフォーマンスが優れている点は評価できる。2560×1440ドットでも、Hellhound RX 6600は、タイトルによれば常時60fps以上のフレームレートを発揮し、プレイに支障はないといえよう。

Hellhound RX 6600は、秋葉原で店頭に並んだ際には6万7000円程度で販売された。ほかのRX 6600搭載モデルとあまり差はない価格だが、6万6000円~8万円程度で販売されているRTX 3060搭載モデルと比較すると、このHellhound RX 6600のコストパフォーマンスはかなり優秀だ。サイズも比較的コンパクトで扱いやすく、GPUクーラーは十分な冷却性能を備えており、これからゲームを始めたいと考えると人にとって、このHellhound RX 6600は、手軽に導入できるモデルとして一考の価値ありだ。


関連サイト

この記事もおすすめ

PAGE TOP