高速インターフェースは当然、
細部まで品質にこだわった設計
高速インターフェースも充実している。ネットワークは2.5GbEおよびWi-Fi 6をサポート。なお、rev. 1.1では「AMD Wi-Fi 6E RZ608」を搭載し、Wi-Fi 6Eにも対応する。USBでは20GbpsのUSB 3.2 Gen 2×2 Type-Cを搭載している。従来のVISIONシリーズで搭載されることが多かったThunderbolt 4については、オプションとしてAICカードを搭載する際に利用可能なヘッダーを設けるのみとなっている。特徴的なのが、同社「VisionLINK」をサポートするUSB Type-C端子をバックパネルに搭載していることだ。
VisionLINK用の端子は、USBとしてデータ転送に利用できることは当然として、プラスアルファの機能が2つある。まず、バックパネルに設けられたDisplayPort入力ポートにグラフィックスカードの映像出力からの信号を引き込むことで、DisplayPort Alt-ModeとしてUSB Type-C接続のディスプレーで映像出力が可能になる。また、最大60W(20V×3A)のUSB Power Deliveryにも対応しており、USB PD対応機器への給電も可能だ。
この2つ(+データ転送)を組み合わせると、たとえば液晶ペンタブレットに、ケーブル1本(要DisplayPort Alt-ModeおよびUSB PD対応)でデータ通信、映像出力、給電ができるという触れ込みだ。
オーディオ機能は、Realtek ALC1220-VBを採用し、WIMA製、ニチコン製オーディオコンデンサを組み合わせている。
オンボード上でクリエイター向けモデルらしい部分と言えば、豊富なケースファン用4ピン端子や、温度センサー用ヘッダー、ノイズセンサー用ヘッダーといった実装だ。まず4ピンヘッダーは、ファン/ポンプ用を合わせると8基。これだけあると、空冷ツインタワー型CPUクーラーや大型の水冷CPUクーラーのファンを個別に接続し、マザーボードやそのユーティリティから制御することも可能だろう。
また、温度センサーはもちろんマザーボード上にも搭載されているが、ヘッダーに付属のセンサーを接続して気になる箇所の温度を追加で測定でき、ファンの回転数制御に利用することも可能だ。ノイズセンサーも同様となる。このように、トータルで冷却や動作音の管理ができるのは大きな魅力と言えるだろう。
クリエイターに最適なのはもちろん、
購入者をパーツ沼にいざなう白い悪魔
X570S AERO Gは、やはり美しいマザーボードだというのが1番の印象だ。クリア感あるホワイトの配色や、直線的でシンプルなヒートシンク形状は、クリエイティブ用途にマッチしているのはもちろん、ゲーミング用途でもニーズが高まっている。
価格的に見れば、ハイエンドのAMD X570チップセット採用モデルであるし、高速インターフェースを中心にこれだけの機能を搭載しているためやや高価格帯にある本製品。デザインや機能など、強く惹かれるところがないと価格を見てひるんでしまうかもしれないが、ゲーミングハイエンドと比べればまだ安いラインではある。
ただ、このマザーボードを入手できたなら、間違いなく細部までこだわりだすことになるだろう。PCケース、ファンはもちろん、搭載するメモリーやグラフィックスカードなど、どれもホワイトで統一したくなるのではないだろうか。パーツ沼に陥る可能性の高い製品だが、そうしたPC DIYの世界も楽しいものだ。