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USB PDでも動作する!?Ryzen 5 5500U搭載のミニPCベアボーンの魅力とは(2/2)

文●宮里圭介 編集●AMD HEROES編集部

ミニPCでも充実したインターフェース&高性能

ミニPCは本体が小さいぶん、タワー型のデスクトップPCと比べインターフェースが少な目だ。それだけに、どんなインターフェースがどれだけ装備されているのかチェックしてみよう。

インターフェースは前面と背面の2つの面に配置されている。

前面にはUSB Type-A、Type-C(共にUSB3.2 Gen 1)、そしてヘッドセット端子が装備されている

機器を着脱して使うことの多い前面インターフェースは、よく使うUSBが2つ、そしてヘッドセット端子がある。USBはType-A、Type-Cの2種類用意されており、どちらの機器もアダプターなしに接続できるようになっているのがうれしい。

続いてリアを見てみよう。

背面は、USB Type-A×2(USB3.2 Gen 1)、USB Type-C(USB3.2 Gen 1、Display Port、Power Delivery入力)、2.5Gbps LAN、HDMI、DisplayPortを装備

タワー型デスクトップなどと比べてしまうとUSBの数は少ないものの、映像出力はHDMI、DisplayPort、Type-Cと充実。

意外なことに、有線LANは高速な2.5Gbpsに対応。最近ではルーターやスイッチ、NASでも1Gbpsを越える製品が安くなってきていることもあり、有線LANの高速化を考えている人にとってうれしい仕様だ。ちなみに、通信機能として高速なWi-Fi 6に対応。最大1.2Gbpsでの接続が可能となっている。

搭載されているCPUはノートPC向けとはいえ、6コア/12スレッドのRyzen 5 5500Uとなるため、性能面でも十分期待できる……のだが、少々注意したいことがある。それは、消費電力が極端に高くならないよう、高負荷がかかる用途では若干性能が制限されることだ。

搭載CPUはRyzen 5 5500U。6コア/12スレッドのCPUで、ノートPC向けとは思えない高い性能を持つのが特徴だ

例えばベンチマークソフトでいえば、「CPU-Z」のストレステストや「CINEBENCH R23」などがそれにあたる。

具体的にどういった制限になるかというと、CPUコアに高負荷がかかる場合CPU負荷が80%前後に調整されてしまうというものだ。

試しにCPU-Zのストレステストを実行し、タスクマネージャーの様子を見てみよう。

開始直後からCPU負荷が83%くらいで、動作クロックが1.74GHzへと調整されている様子がよくわかる

CPU使用率は100%まで上がらず、動作クロックも低めに抑えられている。

とはいえ、これはあくまで全コアがフル稼働するような場合だけだ。その証拠は、「PCMark 10」の結果が分かりやすい。

下部の動作クロック部分に注目。前半、EssentialsやProductivityのテストでは、多くが3GHzを越えているのがわかる

PCMark 10のスコアが若干低めとはいえ、そこまでひどいものではない。

サブスコアを見ると、ブラウザー利用やビデオ会議といった一般用途のEssentialsではほぼ影響がなく、オフィスソフトなどの性能となるProductivityで若干低下程度に留まっていた。ただし、動画や画像編集といったクリエイティブ用途となるDigital Content Creationではやや見劣りしてしまっている。

これは、Performance dataの動作クロックを見てもらえるとわかりやすいだろう。ProductivityのWrithingまではクロック低下が少ない、もしくは、低下しても瞬間的なものが多いのに対し、Spreadsheetsからは明らかに低くなるシーンが増えてきている。

特に、Digital Content CreationのテストとなるPhoto Editing以降は、その傾向が強い。

こうした省電力設定になっているのは、消費電力に余裕を持つためだ。ノートPCであれば、一時的にACアダプターからの給電が間に合わなくなっても、バッテリーを搭載しているために電源断になることはない。しかしデスクトップでは、給電が間に合わなくなった瞬間、PCの電源が落ちる、もしくは、動作が不安定になってしまう。

こういったトラブルを避けるため、極端に電力消費が高くなるシーンではCPU負荷を落とし、電力不足に陥らないようになっているのだろう。

もうひとつ、ゲームベンチマークテストとなる「3DMark」から、「Time Spy」の結果も見てみよう。

「3DMark」の「Time Spy」でも、CPUの動作クロックは3GHzを越えることが多く、制限はほとんど受けていない

ノートPC向けのRyzen搭載PCとして、Time Spyのスコアが1241というのは妥当なもの。CPUの動作クロックを見ると、低クロックに落ちていることは少なく、制限の影響はそこまで大きくなさそうだ。

これらの結果から、確かにピーク性能の制限はあるものの、あくまで負荷が極端に高い場合だけ。通常の利用ではまず気にしなくていいといえるだろう。

常時使用するメインPCとして使いやすい1台

CPUのポテンシャルを100%引き出せない、という意味ではもったいないが、その半面、発熱量が抑えられるのでファン騒音が小さめ、長時間の利用でも安定した動作が可能、といったメリットもある。

そもそもの話をすると、長時間高負荷がかかる計算を続けるのであればミニPCではなく、より高性能なタワー型PCを選ぶのが最適だ。わざわざミニPCを選ぶというのは、省電力性、設置スペースの小ささといった使い勝手の良さを重視しているわけで、そういう意味では、「PN51-S1」の挙動は理にかなっている。

USB PD対応となることでケーブルが減らせ、より自由なレイアウトにできるというのが面白い1台。自分専用PCが欲しい、大画面で使える小型デスクトップが欲しいと考えているのであれば、選んで損のないモデルだ。


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