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中盤の製品は性能差が小さい「CINEBENCH R23」
ではいつも通り「CINEBENCH R23」で計算力の力比べといこう。Ryzen 5 5600X〜Ryzen 5 3600まで6コア(C)/12スレッド(T)のCPUを5モデル用意し、それぞれが微妙に異なるスペックになっている。これらの差に注目したい。
スコアートップは当然ながらRyzen 7 5800Xで、2番手の5700Xを大きく引き離している。これは主にTDP 105Wと65Wの差によるものと考えられる。
続いてRyzen 5の結果に目を向けると、Ryzen 5 5600X〜Ryzen 5 5500までが僅差、そのすぐ下にRyzen 5 4500と3600が位置している。スペックで考えたらRyzen 5 5600が5600Xを微妙に上回っているのは変だが、CPUの付け直しを含め複数回計測しても順位は覆ることがなかったので、使用した機材の個体差レベルでの差が影響していそうだ。それだけRyzen 5 5600Xと5600の差は微妙ということだ。ただし、APUベースのRyzen 5 5500はL3キャッシュ搭載量やクロックが絞られているので、5600Xよりも性能が低いことは確実だ。
最後にRyzen 3対決だが、Ryzen 3 4100は3300Xより下であることに注目。これはRyzen 3 3300Xが高クロック動作であることに加え、Ryzen 3 4100のL3キャッシュが少ないことに起因している。
L3キャッシュ量がスコアーに出る「PCMark10」
続いては総合ベンチマーク「PCMark10」を使用する。実施するのはゲーム以外の性能を見る“Standard”テストだ。
ここではRyzen 5 5600と5500、4500の3者の総合スコアー(青いバー)に注目。同じ6C12TでもクロックやL3キャッシュ量の差、さらにはZen 3と2の差が加わることで綺麗な性能差が付いていることがわかる。そしてRyzen 5 4500と3600を見ると、L3キャッシュの多い3600が良いスコアーを出している。ライトユース主体ならRyzen 5 5600〜4500のどれを買っても良いが、アプリの細かいレスポンスにおいて下位モデルは“それなりに遅い”ということが示されている。
「Handbrake」によるエンコード性能
続いては「Handbrake」で4K@60fpsの動画をフルHD@30fpsの動画に変換&エンコードする時間を比較する。出力ファイルや画質などの設定はプリセットの「Super HQ 1080p30 Surround」と「H.265 MKV 1080p30」を使用した。
全体の雰囲気としてはCINEBENCH R23のマルチスレッドテストのバーを逆にしたような感じだ。ここでもRyzen 5 5600の方が5600Xより短時間で処理を終えているが、これもCINEBENCH R23同様個体差に由来する微妙な差といえるだろう。
「Lightroom Classic」ではZen 3が強い
続いては「Lightroom Classic」を使い100枚のDNG画像(61メガピクセル、補正付き)を最高画質のJPEG画像に書き出す時間を計測する。書き出し時にシャープネス処理(スクリーン用、適用量標準)も追加しているので、かなりCPUへの負荷も高い。
Ryzen 7 5800XはCINEBENCH R23でダントツに高速だったが、Lightroom ClassicではRyzen 7 5700Xとあまり差がない。TDP 105Wが効くのは動画エンコードやCGレンダリングのようなCPU負荷がずっと高い状態で続く処理であり、Lightroom Classicのシャープネスのように高負荷と低負荷が激しく入れ替わるような処理では、TDP 65Wと大差ないことが分かる。
そしてもう一つ重要なのがRyzen 5 5500と4500の差が大きいことだ。Zen 3と2の差もあるが、Lightroom Classicの場合はL3キャッシュの量がモノを言う(Ryzenの中では、だが)。Ryzen 5 5500の方が4500よりL3が多いので、こういう結果となった。Ryzen 5 3600が4500より速い理由もこれで説明がつく。