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超大容量L3もエンコードでは効果なしだった「Media Encoder 2022」
ここでは「Media Encoder 2022」を使った動画エンコード時間を比較する。再生時間約3分の4K動画を「Premiere Pro」で編集し、それをMedia Encoder 2022にキュー出しして4KのMP4形式にソフトウェア(CPU)エンコードした。ビットレートは50MbpsのVBR 1パスとし、フレーム補完はオプティカルフローを選択した。コーデックはH.264とH.265を使用している。
このエンコードテストのセットアップはCore i9-12900KSレビュー(https://ascii.jp/elem/000/004/088/4088402/)と同じだが、かなり傾向が異なっている。全般的に処理時間が長めなのは、デコーダーにCUDAではなくOpenCL(Mercury Playback Engine)を使っているためだ。
Ryzen 7 5800X3Dのエンコード時間はRyzen 7 5800Xとほぼ同じ、もしくはやや遅い程度と、これまでの検証結果をほぼ継承したものとなった。
「After Effects」では微妙に速い
「After Effects」における動画の「3Dトラッキング」も検証してみよう。再生時間10秒の4K@59.95fps動画をAfter Effectsにインポートし解析する時間を計測した。
ここでも傾向は同じ。同世代Ryzenのコア数差や第12世代Coreプロセッサーのパワーを跳ね返すほどの力は3D V-Cacheにはないようだ。
L3大増量しても時間は変わらない「HandBrake」
クリエイティブ系最後は「HandBrake」のエンコード時間比較だ。再生時間約3分の4K@60fps動画をプリセットの「Super HQ 1080p Surround」と「H.265 MKV 1080p30」を使いフルHD動画にエンコードする時間を計測する。
Media Encoder 2021やAfterEffectsと傾向は同じだ。コア数の同じRyzen 7 5800XとRyzen 7 5800X3Dは性能差を見いだすことが難しいといえる。
「3DMark」でも影響はなし
3Dグラフィックの描画パフォーマンス「3DMark」で検証してからゲーム検証に入るとしよう。今回は“Fire Strike”“Time Spy”の2本を実施した。
注目に値するのはFire StrikeのCombinedの結果(黄)だろう。元々このテストはCPUで物理演算を全力で回しつつ、重めのグラフィック描画をするというテストだが、ここではRyzen 7 5800X3DがややRyzen 9 5900Xを上回った。
第12世代Coreプロセッサーと比べて現行のRyzenはCombinedのスコアーが伸びない傾向を確認しているが、L3の増大で少しは改善することが示されている。ただライバルであるCore i9-12900KどころかCore i7-12700Kを射程に捉えることが精一杯の印象もある。