クロックアップの効果は意外と大きく
RTX 3070と同等かそれ以上の性能を発揮
それでは、DUAL-RX6750XT-O12Gのテストに移ろう。今回、比較対象には「GeForce RTX 3070」(以下、RTX 3070)を用意した。クロックアップを果たしたDUAL-RX6750XT-O12Gが、競合製品に対してパフォーマンスで優位に立てるかどうかを見てみようというわけだ。なお、DUAL-RX6750XT-O12Gは工場出荷時設定のGaming modeかつPモードでテストを行ない、グラフィックスドライバーにはテスト時に最新バージョンとなる「AMD Software: Adrenalin Edition 22.5.1」を使用している。そのほかのテスト環境は表のとおり。
テスト環境 | |
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CPU | AMD「Ryzen 9 5950X」(16コア/32スレッド、最大4.9GHz) |
マザーボード | ASRock「X570 Taichi」(AMD X570) |
メモリー | 8GB×2、DDR4-3200 |
ビデオカード | ASUS「DUAL-RX6750XT-O12G」(Radeon RX 6750 XT)、GeForce RTX 3070 Founders Edition |
SSD | Plextor「PX-512M9PeG」(M.2、NVMe、512GB) |
電源ユニット | SilverStone「SST-ST1200-G Evolution」(1200W、80PLUS Gold) |
OS | Microsoft「Windows 10 Pro」 |
それでは、定番ベンチマークである「3DMark」(Version 2.22.7358)の結果から見ていこう。DUAL-RX6750XT-O12Gは、「Fire Strike」において、RTX 3070を4~6%上回るパフォーマンスを発揮。すべてにおいて安定したスコアを出しているあたりは、クロックアップが奏功した結果といっていいだろう。
しかし、その一方でDirectX 12のテストとなる「Time Spy」では、勝ったり負けたりのいい勝負を演じている。これは、NVIDIAのAmpere世代GPUは、Time Spyでスコアが高い傾向があり、RTX 3070もその例に漏れず、DUAL-RX6750XT-O12Gに追いついたという理解でいいはずだ。
では実際のゲームではどうなのか。まずは「バイオハザード ヴィレッジ」の結果を見てみよう。ここでは、グラフィックス自動設定から「限界突破」を選択してゲームをプレイ。その間のフレームレートを「CapFrameX」(Version 1.6.8)で取得した。その結果だが、DUAL-RX6750XT-O12Gは、平均フレームレートでRTX 3080に2~4%の溝を空けられているが、あと一歩のところまで迫っている。1パーセンタイルフレームレートの差も1~3%しかなく、十分健闘しているといってよさそうだ。
DUAL-RX6750XT-O12Gが、そのポテンシャルを如何なく発揮したのが「Call of Duty: Warzone」だ。ここでは、オプションから描画負荷が最大になるように設定してゲームをプレイし、先ほどと同様にCapFrameXでフレームレートを計測している。
その結果だが、DUAL-RX6750XT-O12Gは、平均フレームレートでRTX 3070を9~16%も引き離す形となった。とくに1パーセンタイルフレームレートに目を移すと、1920×1080ドットでDUAL-RX6750XT-O12GとRTX 3070の差は17%にも達しており、ゲームの体感でもその差が分かるレベルだ。もともとRadeonシリーズが好成績を収めるタイトルではあったのだが、それでもこれだけの高いパフォーマンスを発揮しているDUAL-RX6750XT-O12Gは立派の一言。
バイオハザード ヴィレッジと似た傾向となったのが「Fortnite」だ。ここでは、オプションから最高プリセットを選択してゲームをプレイし、その間のフレームレートを「Fraps」(Version 3.5.99)で取得している。
その結果だが、DUAL-RX6750XT-O12GはRTX 3070にあと一歩のとこまで迫っているものの、2560×1440ドット以下では平均フレームレートで3~5%ほどその差を埋め切れていない。一方、3840×2160ドットでは13%ほどと差が広がっているが、AMDがRX 6750 XTについて2560×1440ドットでのゲームプレイを想定していることに加えて、RTX 3070もプレイアブルな結果を得られていないので、それを問題視する必要はないだろう。
続いて「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」だ。ここでは、最高品質でベンチマークを実行しているが、2560×1440ドット以下に着目すると、DUAL-RX6750XT-O12GとRTX 3070の差は2~4%ほど。同ベンチマークはGeForceシリーズに最適化されており、Radeonシリーズは不利な戦いを強いられているが、それでもDUAL-RX6750XT-O12GはRTX 3070に食らいついてる結果を残している点は好印象。
スクウェア・エニックスが示す指標でも、スコア15000以上が最高評価とされており、DUAL-RX6750XT-O12Gは2560×1440ドットでそれを満たしている点は評価に値する。
市場想定価格は10万4980円
この価格帯では魅力的な選択肢
以上のテスト結果から明らかなように、DUAL-RX6750XT-O12GのパフォーマンスはRTX 3070と勝ったり負けたりのいい勝負を演じていた。Call of Duty: Warzoneのように大きくRTX 3070を引き離すタイトルもあり、競合製品に対してそん色のない製品といえるだろう。
DUAL-RX6750XT-O12Gの市場想定価格は10万4980円と、8万~9万円で販売されているRX 6700 XT搭載モデルと比べると割高感は否めない。ただ、RTX 3070搭載モデルは同価格帯で並んでいる製品も多く、グラフィックスメモリーを12GB持ち、性能面でアドバンテージがあるDUAL-RX6750XT-O12Gは、このクラスで魅力的な選択肢といっていいだろう。