2022年5月、AMDはアッパーミドルレンジ向け新型GPUとなる「Radeon RX 6750 XT」(以下、RX 6750 XT)を発表。多くのメーカーから搭載カードが発売されているが、今回はその中から、SAPPHIRE Technology(以下、SAPPHIRE)の「SAPPHIRE NITRO+ AMD Radeon RX 6750 XT GAMING OC 12GB GDDR6 HDMI/TRIPLE DP」(以下、NITRO+ RX 6750 XT GAMING OC)を取り上げたい。
SAPPHIREと言えば、ATI Techonlogies時代からRadeonを手がける老舗メーカーだが、そのSAPPHIREのRX 6750 XT搭載モデルはどのようなカードなのだろうか。実際にゲームをプレイし、そのパフォーマンスを確かめてみたい。
ブーストクロックを2623MHzに引き上げ
PerformanceとSilentの2つのVBIOSを搭載
まずは、NITRO+ RX 6750 XT GAMING OCの動作クロック設定から紹介していこう。製品名に”OC”が付いていることからわかるとおり、NITRO+ RX 6750 XT GAMING OCはメーカーレベルで動作クロックを引き上げたクロックアップモデルだ。具体的にはゲームクロックが最大2554MHz、ブーストクロックが最大2623MHzと、前者はリファレンスから59MHz、後者は23MHz、それぞれ引き上げられている。なお、メモリークロックは18Gbpsで、こちらはリファレンスから変わりはない。
さらに、NITRO+ RX 6750 XT GAMING OCは、動作クロック設定が異なる「Performance Mode」と「Silnet Mode」という2つのVBIOSを搭載。工場出荷時設定はPerformance Modeで、その動作クロックは前述のとおり。一方のSilent Modeでは、ゲームクロックが2495MHz、ブーストクロックが2600MHzと、それぞれリファレンスレベルにまで低下する。なお、Silent Modeでも、メモリークロックは18Gbpsのままだ。
VBIOSの切り替えは、カード側面に実装されたディップスイッチでできるほか、付属アプリケーションの「Sapphire TRIXX」(Version 8.7)からも可能だ。ただし、Sapphire TRIXXでVBIOSを切り替える場合は、ディップスイッチが「Software Switch Mode」になっている必要がある点は注意したい。
カード長は308mmほどで比較的大きめ
ユニークな角速度ファンブレードを採用
続いてNITRO+ RX 6750 XT GAMING OCのカードそのものについて見ていこう。外観は黒とシルバーのツートンカラーで、裏面にはシルバーのバックプレートが装着され、全体的にはシルバーのイメージが強いデザイン。
カード長は実測で約308mm(※突起部除く)だが、基板自体は234mmほどしかなく、GPUクーラーがカード後方に70mm強はみ出た格好だ。また、マザーボードに装着した際、垂直方向にブラケットから25mmほど背が高いため、サイズ感はかなり大き目だ。
そのGPUクーラーは3スロット占有タイプで、100mm角相当のファンを3基搭載。これらのファンは、ブレードとバリアリングが一体成型されたタイプで、そのブレードに途中から角度を変えた”角速度ファンブレード”を採用している点がユニーク。
SAPPHIREによると、この角速度ファンブレードにより下向きの空気圧が強まり、バリアリングの空気圧を加えて、従来のファンブレードより空気圧が最大で44%、エアフロ―が最大で19%向上しているという。また、GPUの温度が低い際に、ファンの回転を停止する機能も用意されている。
カードを横から覗き込むと、GPUクーラーには6mm径のヒートパイプが5本使用されているのが確認できる。また、メモリーチップや電源部にもヒートシンクが接する構造になっており、冷却面での抜かりはまったくない。
さらに、GPUの直上に配置された冷却フィンがV字の形状をしており、SAPPHIREいわく、これによりエアフロ―を集中させることができ、効率的な熱の放散を実現しているとのこと。そのほか、カード側面のSAPPHIREのロゴと、裏面のNITRO+のロゴにはLEDを搭載。これらのLEDは、Sapphire TRIXXで色やイルミネーションを指定可能だ。
補助電源コネクターは8ピンを2基搭載。映像出力インターフェースは、DisplayPort 1.4a出力×3、HDMI 2.1 Type-A出力×1で、最近の製品ではよく見かける構成だ。