ゲーミングパソコン(PC)が欲しいというなら、ある程度構成をカスタマイズできるうえ、動作保証もあり、確実に動くBTOパソコンを購入するのが手っ取り早い。
これに対して自作PCは、パーツ単位での保証はあるものの、組み上がったPCが動作するかは自己責任。最悪の場合、苦労して組み立てたのに動いてくれず、そのまま放置してしまう……なんて未来も見えてくる。
これだけ聞くとBTOパソコンを買う方が賢く思えるが、自作PCでなければ得難いものもある。それが、PCへの理解だ。
完成品として購入すると、大きな箱が「パソコン」であって、その中身まで気にすることはまずないだろう。そのため、PCパーツがどういった形をしているのか、どんな役割があるのか、どのように組み立てられているのかといったことを知らないままになりがちだ。
これに対して自作PCであれば、PCパーツを集めるところから始まるため、内部についての理解が深まりやすい。多少のトラブルも経験値となるため、将来CPUの換装、メモリーの増設、SSDやビデオカードを強化するといったアップグレードもスムーズに行なえるようになるだろう。
つまり、PCそのものを理解するのに、これ以上はない教材となるわけだ。せっかく子供のためにPCを買うのであれば、少しでも勉強の足しになる方を選びたい……と考えているなら、自作PCを選ぶのも悪くない。単純に「動けばいい」というのではなく、PCそのものに興味を持ってもらいたいと考えているなら尚更だ。
ちょうど時間のある夏休み。この機会に、親子で自作PCにチャレンジしてみよう。
利用目的からスペックに落とし込むのが最初のハードル
多くのサイトで組み立て方が公開されているし、マニュアルも充実しているため、実は、自作PCの組み立て方はそれほど難しくない。もちろん、水冷クーラーや個性的なケース、ライトアップパーツといった特殊なパーツを選ぶ場合はそれなりに苦労はするが、基本的にはマニュアル通りに組み立てれば問題ない。
それよりも難しいのが、利用目的に合ったPCのスペックを決めることだろう。
利用目的が漠然としていると、どんなスペックが必要になるのか決められないため、まずはこれをしっかり決めるのが肝心だ。同じゲーミングPCが欲しい場合でも、「VRゲームをストレスなく楽しみたい」ならハイスペック、「フルHD解像度で3Dゲームをプレイしたい」ならミドルスペック、「ブラウザーゲームで遊びたい」ならロースペックといったように、どいったゲームをプレイしたいかによっても必要なスペックは変わってくる。
実際のスペックを決めるうえで重要なのが、必要十分よりも少し上の性能を狙うこと。ギリギリにしてしまうと、少し重たいゲームをプレイしようとしたとき、性能不足を感じてしまう可能性があるからだ。といっても無理に狙う必要はなく、予算やコストパフォーマンスなどと相談しながら決める、というのが理想だ。
こういう基準を言葉で書くのは簡単だが、具体性がなく「結局、何を選べばいいのかわからん」という状態になりがち。そこで今回は、「フルHD解像度で3Dゲームをプレイしたい」という目的を例に、各パーツの選び方を紹介しよう。
なお前提条件として、液晶ディスプレーも含め、PC環境丸ごと20万円以下で実現する、というコスパにこだわった構成にしている。
※価格は記事執筆時の8月10日現在のもの。