■ゲームタイトル:Stray
■開発元:BlueTwelve Studio
■販売元:Annapurna Interactive
■価格情報:3500円
■公式サイト:https://stray.game/
荒廃したサイバーシティーの世界に迷い込んでしまった猫
元の世界の仲間たちのもとへ導こう
BlueTwelve Studio(開発元)とAnnapurna Interactive(販売元)は、アドベンチャーゲーム『Stray』を7月20日に発売した。プラットフォームはPlayStation 5、PlayStation 4、PC(Steam)版の推奨環境は、CPUはAMD「Ryzen 5 2600」/インテル「Core i5-8400」以上、GPUはAMD「Radeon R9 290X」/NVIDIA「GeForce GTX 780」以上、メモリーは8GB以上、空きストレージは10GB以上だ。
本作は愛らしい猫(愛らしくない猫などいない)を主人公にしたTPS(三人称)視点のアドベンチャーゲーム。仲間とはぐれてしまった一匹の猫が、荒廃したサイバーシティーの世界から脱出するために奮闘する。まずはゲーム序盤のストーリーから解説していこう。
太陽の光がささない暗鬱とした世界に迷い込んでしまった猫。この子を元の世界に戻すためにプレイヤーは全能力を注ぐことになる
3匹の仲間たちと日課であろう散歩に出かけていた猫は、朽ちかけている配管の上を渡っている途中で、足下がふいに傾いたため、深い闇の世界へと落下してしまう。
猫は必死に爪を立ててもがくものの、力尽きて闇の世界へ落下してしまう
強い衝撃を受けて気絶した猫がようやく目を覚ますと、そこは得体の知れない不気味なトンネルだった。痛みで身体を引きずりながらトンネルを歩いていくと、急にその先にある側面の扉がわずかに上昇し、弱い光が洩れ出してきた。
猫は身体の痛みをこらえながら、元の世界へと続く道を探し続ける
少しだけ開いた扉と、その先にある鉄格子を潜り抜けた猫の前に広がっていたのは、「サイバーシティー」という街。生物の姿は見当たらず、動力を完全に失っているロボットが横たわっているだけの世界に思えたが、頭部の一部がオレンジ色に光るネズミのような未確認動物(未確認ロボ?)が現われ、猫の接近に気づくと素早く逃げ去っていった。
無残な姿で横たわっているロボット。いったいなにがあったのだろうか?
猫があてもなく道なき道をひたすら進んでいくと、先ほどの未確認動物(未確認ロボ?)の大群に出くわし、なぜか急に襲われることになる。必死に走り、飛びかかってくる大群を振り払った先には、先ほどよりはいくぶん生気が感じられる街並みが広がっていた。
数匹では素早く逃げ去っていった未確認動物(未確認ロボ?)だったが、大群になった途端、猫を見るや襲いかかってきた
さらに見知らぬ世界の探索を続けた末に、ついに猫はコミュニケーションが取れる不思議な小型ドローン「B-12」と遭遇する。双方向に会話をしたわけではないが、この世界から脱出するという目的が合致した「ふたり」は、地上へ続く手段を探す探検を開始する。猫は元の世界で仲間たちと再会することができるのだろうか?
一方的にしゃべる小型ドローン「B-12」と、なにも話さない猫。「ふたり」がどうやって会話を成立させているのかは謎だ。B-12は精神感応的な機能を備えているのかもしれない
謎解きは古き良きアドベンチャーゲームを思い出させる
猫の気持ちを体験したい方に無条件にオススメできる秀作だ
本作ではゲームコントローラーが推奨されており、操作は非常に単純だ。左レバーで移動、Aボタンでジャンプ、Yボタンでなんらかのアクション、そしてBボタンで「ニャー」と鳴ける。また壁、絨毯、木の幹などではLTボタン、RTボタンなどで爪を研ぐことが可能だ。
ほとんどの場合は爪研ぎは意味がないが、とある場所では障害物クリアーの手段となる
サイバーシティーを探索する際には、屋根、小庇(こひさし)、室外機、配管などを、猫族ならではの身軽さで飛び移って移動していくが、基本的にはそもそもジャンプできない場所ではAボタン押下を促すアイコンが表示されない。そして足を滑らして落下してしまうということもないようだ。
相当離れた場所へもひらりと飛び移れる。猫族の身軽さを舐めてはいけない
探索中にある目標が設定されたら、周囲を見渡し、飛び移って移動できるルートを探したり、なにかしら障害があった際にはそれを回避するアクションを実行する。この探索におけるヒントの与え方が絶妙で、周りを注意深く観察するとすぐに見つけられる。
流れる光がさりげなく進路を示してくれることもある
説明的すぎない世界の中で、周囲を観察することで正解にたどり着く過程は、古き良きアドベンチャーゲームを思い出させる。もちろん今時のゲームなので、前述のB-12と友達になってからは、ゲーム進行に行き詰まっても助言を得られるのでご安心を。
さて、本作を実際にプレイしてみて驚かされたのが、サイバーシティーの世界の精密な作り込み。荒廃した建物、遠くに見える景色、部屋に置かれている物体などなど、あらゆるモノが精密にデザインされている。実在を信じさせる説得力を備えた3Dグラフィックは見事だ。
モデリングとテクスチャー、そしてそのバリエーションは価格以上のクオリティーだ
また、人よりも猫の数が多いクリエイター集団が手がけた作品だけに、猫のモーションが実にリアルだ。実際に猫の身体にマーカーを付けて、モーションキャプチャーしたのであろうと確信するレベルのクオリティーなのである。
実は犬派の筆者だが、猫派に転向したくなるぐらいの可愛らしさだ
Strayはとにかく探索が楽しくてたまらない。また、基本的に扉を開けることのできない猫が主人公なので、移動ひとつとっても人間が主人公のゲームとはまったく導線が異なる。猫になりきった行動が必要なのである。猫の気持ちを体験してみたいという方には、無条件にオススメできる秀作と言えよう。
「Ryzen 7 5700X」&「Radeon RX 6700 XT」環境での快適度は?
最後にStrayがAMDプラットフォームでどのぐらい快適に動作するのかチェックしてみよう。今回のテスト用PCに搭載したCPUは「Ryzen 7 5700X」(8コア/16スレッド、最大4.60GHz)、ビデオカードはミドルレンジクラスの「Radeon RX 6700 XT」だ。
CPUに「Ryzen 7 5700X」、ビデオカードに「Radeon RX 6700 XT」を搭載したPCを用意し、フレームレートを検証している
グラフィック設定はデフォルトのままで、フルHD(1920×1080ドット)、WQHD(2560×1440ドット)、4K(3840×2160ドット)解像度のそれぞれで平均、最小、最大フレームレートを「MSI Afterburner」で計測している。
今回のテスト用PCには、8コア/16スレッドCPUのRyzen 7 5700Xと、ミドルレンジクラスのビデオカードであるRadeon RX 6700 XTを搭載しているが、平均フレームレートはフルHDが144.5fps、WQHDが110.7fps、4Kが53.6fpsとなった。
Strayはサイバーシティーを非常に緻密な3Dグラフィックで構築し、また超可愛い猫の姿を具現化するために、高いPCスペックを要求するゲームだ。4Kでもプレイできなくはないが、時折かくつきが気になった。今回のAMDプラットフォームでStrayをプレイするのなら、精細さと滑らかさのバランスが取れたWQHD解像度を選択することをオススメする。
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