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新Ryzenで強いとされる「F1 22」では本当に強いのか?
AMDのRyzen 7000の性能をアピールする資料にたびたび登場していたのがF1 22だ。画質“超高”と“超低”でフレームレートを計測するが、超高設定はレイトレーシングは全てオフとした。また異方性フィルタリングは x16に加えFideltyFX CASによるシャープニングを追加、アンチエイリアスはTAA、アップスケーラーはオフとした。計測に使用したシーンはゲーム内ベンチマーク(モナコ+ウエット)である。
このシリーズはCPUの処理性能の他にメモリー帯域や巨大なL3キャッシュの恩恵を受けやすい設計をしているため、DDR5-5200で動かしているRyzen 7000シリーズが最強なのは当然の帰結といえる。ただF1 22では第12世代CoreはRyzen 5000シリーズより同等~やや低い程度のフレームレートに落ち着いている。
今回の検証ではRyzen 7 7700XがRyzen 9 7900Xを上回るケースが度々見られたが、F1 22でも観測されている。中途半端なコア数とブーストクロックのRyzen 9 7900Xよりも、CCDまたぎがなく内部レイテンシーの小さいRyzen 7 7700Xが優越するケースは十分考えられるが、断言するにはエビデンスと時間が足りない。
インテルが力を入れる「Mount & Blade II: Bannerlord」では?
インテルが力を入れていたタイトルの一つがMount & Blade II: Bannerlordだ。画質は“Very High”と“Very Low”の2通りとしたが、ベンチに登場させる兵士の数は上限の1000体、アニメーションの質も“High”とした。またアップスケーラーも無効としている。計測に使用したシーンはゲーム内ベンチマークである。
さすがインテル肝いりのゲームだけあって第12世代Coreは高いフレームレートを出しているが、最高画質設定ではRyzen 9 7950Xが平均フレームレートにおいてトップを獲得。最低画質設定ではRyzen 7000シリーズの上位3モデルが最低/平均フレームレートともに第12世代Coreを上回った。ライバルメーカーのハードに最適化されたゲームを最適化度の低そうな後発のハードが抜く、これこそ技術革新というものだ。
「Microsoft Flight Simulator」もRyzen 7000シリーズが強い
最後に試すのはMicrosoft Flight Simulatorだ。もとよりCPUのボトルネックが強烈に高いゲームだったため、Ryzen 7000シリーズのパワーに期待が集まる。APIはDirectX 12とし、画質“ULTRA”と“LOW-END”でフレームレートを比較する。衛星画像と連動してシーナリーをリアルにする機能はネット回線がボトルネックになるのを防ぐためオフとした。ベンチマークに使ったシーンはランディングチャレンジの“シドニー”である。
このゲームではRyzen 5000シリーズの上位モデルがRyzen 7000シリーズに肉迫しているが、トップはRyzen 7000シリーズの上位2モデルだ。最低画質設定ではRyzen 5000シリーズが伸び悩むことでRyzen 7000シリーズがトップに立っている。ここでもRyzen 9 7950Xよりも7900Xの方がわずかに高いフレームレートを示している。
まとめ:画質を下げるeスポーツスタイルのユーザーには、Ryzen 7000シリーズは強い
今回の検証はGPU負荷の高い状況と低い状況で各CPUがどのようなパフォーマンスを見せるかに注目したが、最高画質設定ではCPUごとの差は見えない状況でも、GPU負荷を下げるとRyzen 7000シリーズが他を圧倒するシーンが多々見られた。
Rainbow Six Siegeのように性能差がついても表示する液晶や眼が付いていかないケースもあるが、高フレームレートをCPUパワーで支えるという点においては、Ryzen 7000シリーズは強い傾向があることを確認できた。ただMarvel's Spider-Man Remasteredのようにまだインテル系が強いゲームもあるため、ゲームでどう輝くかはゲームエンジンとの噛み合わせ次第といった所ではないだろうか。
次回はクリエイティブ系アプリ、そしてTDPの高いCPUに付いて回る発熱について検証してみることとしたい。