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RDNA 3ではチップレットデザインに
Radeon RX 7000シリーズは今年8月末、AMDがRyzen 7000シリーズを発表した際にチラ見せ的に存在を明かしていた(参考記事:https://ascii.jp/elem/000/004/103/4103393/)。
基本的な設計については8月時点で明らかになっているが、RDNA 3はGPUでは初の「チップレット・デザイン」となる。メモリーコントローラーとInfinity Cacheの部分を「MCD(Memory Cache Die)」として独立させ、それ以外の部分は「GCD(Graphcs Compute Die)」となる。
わざわざ分離させた理由は、貴重な5nmのシリコンを節約するためである。つまり、単一のGCDが5nmで製造され、MCDは64bit幅のInfinity Cache+64bitのメモリーコントローラーが一体化したチップ(それが6個ないし5個実装される)が6nmとなる。
シュリンクしづらいInfinity Cacheを含んだMCDを6nmで製造することで、貴重な5nmのシリコンを有効活用できる。さらにMCDをモジュール化することで、メモリーバス幅を増減したとしても、柔軟に変更できて設計コストも安い、ということだろう。
メモリーバス幅は冒頭部分で述べた通りだが、MCDを6基備えるRX 7900 XTXは384bit、MCDが5基のRX 7900 XTは320bitとなる。Infinity Cacheのおかげでメモリーバス幅が狭くても性能が出るというのがRX 6000シリーズだったが、同時に4K領域ではパワー不足に陥った。RX 7000シリーズではメモリーバス幅を増やすことで、RX 6000シリーズの弱点を解消したのだ。結果として4Kでも高フレームレートが出るようになった、とAMDは主張している。
また、RX 7000シリーズではレイトレーシング処理の要となるRay Acceleratorが第2世代となったほか、新たにAIの処置専用となる新たなユニットも追加された。後者は「AI Accelerator」と呼ばれるが、これはFSR(AMD FidelityFX Super Resolution)を補助するものではない。今の時点では、将来のために作ったというレベルで、特定の機能に紐付いているわけではない(動画の高画質化ということを当初書いたが、Radeon Media Engine側に実装された機能を使っているだけで、AI Acceleratorではない。お詫びして訂正したい)。
DP2.1やAV1エンコードのサポートも
さらにグラフィックの入出力部分を司る「Radeon Media Engine」も強化された。GPUコア部分がパワーアップされても、それを画面に出せなければ意味がないからだ。RX 7000シリーズではデスクトップ向けGPUとしては初めて(世界初はRyzen 6000Mシリーズだ)DisplayPprt 2.1に対応し、8Kならリフレッシュレート165Hz、4Kなら480Hzの出力が可能になる。これをフルサポートするディスプレーはまだ存在しないが、ライバルのRTX 40シリーズに先んじた点は評価したいところだ。
また、動画のハードウェアエンコーダーに関しては、AV1のデコードおよびエンコードにも対応。インテルのArc Aシリーズ、NVIDIAのRTX 40シリーズに続くAV1ハードウェアエンコーダー搭載GPUが出現したことになる。対応アプリは「FFmpeg」や「HandBrake」「OBS Studio」などが予定されている。