この先数年、不足しないほどの拡張性
Gen 5対応M.2が6スロット!
VRMでもド肝を抜かれるが、それ以上に狂気を感じるのがインターフェースだ。まず、3本ある拡張スロットはすべてPCI Express Gen 5対応で、CPU直結とされている。レーン数は上からx16、x8、x4。PCI Express Gen 5対応グラフィックスカードもまだ出ていないなか、x8やx4スロットまでGen 5だ。なおx8スロットに関しては、同梱されるM.2 XPANDER-Z GEN5 DUALを使うことでPCI Express Gen 5×4対応のM.2スロットが2基追加できる。
M.2スロットは、本体にPCI Express Gen 5×4対応×1基、そしてPCI Express Gen 4×4対応×3基がある。これだけでもトータル4基だ。なお、M.2_1とされるPCI Express Gen 5×4対応M.2スロットはメモリースロット横にある。このスロットのヒートシンクは、同社のほかのマザーボードでも一部採用されている、着脱がラッチで可能なタイプだ。
また、4つのスロットはすべてM.2 SSDをスクリューレスで取り付けられる。SSDの表面はShield Frozr、裏面はサーマルパッドを介して放熱と、冷却性能も申し分ない。
なお、M.2_3とM.2_4上のShield FrozrヒートシンクにはLEDが搭載されている。一般的にこの種のLEDは小さなピンヘッダーで接続されるため、LEDを搭載するのはVRMやチップセットのヒートシンクのように決して取り外さない部品に限られていた。
M.2ヒートシンクのように着脱するヒートシンクにLEDを搭載するのは異例だ。これを実現しているのは、マグネットM.2 Shield Frozr。ピンヘッダーの代わりに某Magsafe的な磁石でくっ付く信号端子を設けることで、手間なく着脱できる。
また、Serial ATA 3.0も8ポートある。先の最大6基のM.2スロットと合わせ、これを使い切ることはなかなか無いのではないだろうか。
次にネットワーク。フラグシップモデルではよくあるが、10GbEと2.5GbE、そしてWi-Fi 6Eと、3系統のLANを持つ。10GbEはMarvell、2.5GbEはIntel I225-V、Wi-Fi 6EはAMD製と、すべて異なるメーカーというのも興味深い。
そしてUSB。本製品はUSB 3.2 Gen 2×2 Type-Cが2ポート、USB 3.2 Gen 2 Type-Aも7ポートある。逆にUSB 3.2 Gen 1やUSB 2.0は内部ヘッダーを介してポートを増設するしかない。高速I/F重視のスペックである。
なお、PCI Express x16スロット用に6ピン補助電源を備えているが、そのほかにもう1つ6ピンコネクタがある。これはUSB Type-CのUSB PD用に給電するものだ。こうした電源供給端子までフル活用するとなると、PCI Express補助電源が5、6系統必要になるだろう。ただ、安定性や利便性が得られるはずだ。
OC用にはサーマルセンサー×2、Vチェックポイント、チューニング用コントローラ接続コネクタ、LN2用だろう低温時ブートジャンパ、マルチBIOSスイッチ、オンボード電源/リセットボタン、M-Visonと呼ぶミニLCD(USB接続)用のスイッチ、EZ Debug LED、POSTコード表示LCD……等々と非常に充実した機能を備えている。
自作PCユーザーの夢、100万円超高性能PCのベースとなるモデル
このように、AMD X670チップセットでこんなことが実現できるのか……というものをまざまざと見せつけてくるのがMEG X670E GODLIKEだ。一般ユーザーには過剰でしかない。理解できないかもしれない。
なにしろMPG X670E CARBON WIFIの約2.5倍の価格、エントリーのPRO X670-P WIFIからすれば5倍近い価格だ。ただ、ハイエンドユーザーの中のさらにごく限られた人、オーバークロック目的であったり予算に糸目をつけず最高の性能を求めたり……といった方には唯一無二の製品ということになるだろう。
フルスペックで100万円近くなるだろうPCの世界だ。それがフラグシップの存在する理由でもある。夢を見させてくれっ! そう思うマザーボードだ。