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2023年3月3日11時(日本時間)、AMDはZen 4世代かつ3D V-Cache搭載のCPU「Ryzen 9 7950X3D」および「Ryzen 9 7900X3D」の国内販売を解禁する。気になる国内価格はRyzen 9 7950X3Dが税込11万1800円、Ryzen 9 7900X3Dが9万5800円と、昨年9月時点におけるRyzen 9 7950X/7900Xの販売価格とほぼ同じだが、現時点での実売価格は2万円(以上)上に設定されている。また、「Ryzen 7 7800X3D」の販売は4月6日とやや遅いことが確定しているが、こちらは北米予想価格449ドルとアナウンスされた。
製品名 | 国内予想/初出価格(税込) | 実売価格 | 北米予想価格 |
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Ryzen 9 7950X3D | 11万1800円 | — | USD699 |
Ryzen 9 7950X | 11万7800円 | 9万円前後 | — |
Ryzen 9 7900X3D | 9万5800円 | — | USD599 |
Ryzen 9 7950X | 9万2500円 | 7万2000円前後 | — |
3D V-Cache、平たくいえば巨大なL3キャッシュを備えたRyzenといえば、昨年4月に発売された「Ryzen 7 5800X3D」がデビュー作だ。3D V-Cacheは動画エンコードや写真編集などの作業には通常版(Ryzen 7 5800X)に対し、ほとんどアドバンテージがない一方で、ゲームに関しては通常版どころか、第12世代Coreプロセッサーの最上位(Core i9-12900K)をも圧倒する性能を発揮する「こともあった」。
この辺の検証は概要編(https://ascii.jp/elem/000/004/089/4089321/)、ゲーム&Radeon編(https://ascii.jp/elem/000/004/097/4097394/)、ゲーム&GeForce編(https://ascii.jp/elem/000/004/098/4098516/)で解説しているのでご覧頂きたい。
Ryzen 7 5800X3DはSocket AM4プラットフォームにおける最強のゲーミングCPUだが、CPUコア数が8基しかないという点は、メガタスクな状況(ゲーム+OBS+Discord等)でゲームを楽しみたいエンスージアストにはやや物足らない点は否定できない。いくら巨大なL3キャッシュを備えていても、8コアCPUでは並列度に限界がある。
さらにAM4プラットフォームは最新ではなくなったため、8コア以上の上位モデルはもう出てこない。ゲームだけを遊ぶなら良いが、プラスαで動画編集などを快適にしたいという人にはやや辛いCPUだ。
そこでAMDは、Ryzen 7000シリーズの3D V-Cache搭載版を出すにあたり、8コアの「Ryzen 7 7800X3D」のみならず、12コアの「Ryzen 9 7900X3D」、さらに16コアの「Ryzen 9 7950X3D」を投入したという訳だ。
今回筆者は幸運にもRyzen 9 7950X3Dをテストする機会に恵まれた。テスト可能な時間が1週間ないというシビアな状況であったが、既存の「Ryzen 9 7950X」や、ライバルである「Core i9-13900K」と比べて、どのようなパフォーマンスを発揮するのか、さまざまな確度から検証を試みる。今回の前編はRyzen 9 7950X3Dの技術的な解説を中心に、定番かつクリエイティブ系アプリでの検証とし、ゲーム編は後編としたい。