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最適化前だが「The Last of Us Part 1」でも検証
本検証とほぼ同時に封切られた「The Last of Us Part 1」も試してみよう。画質“低”設定とし、開始序盤、街を逃げ回るシーンにおけるフレームレートを計測した。ご存じの通りこのゲームはPCへの最適化に問題を抱えており、本稿はデベロッパーが対策パッチを出す前に計測されたものである。ただGPUドライバーはThe Last of Us Part 1のためだけに先行リリースされたバージョン(22.40.43.05)を使用しているので、ドライバー側の問題は緩和されている。
このゲームは全体的に3D V-Cache搭載Ryzenのパフォーマンスはよろしくないが、Ryzen 7 7800X3DとRyzen 9 7950X3Dのパフォーマンスは非常に小さく、Ryzen 9 7900X3Dに対してはコア数の分Ryzen 7 7800X3Dが優越するという結果が観測できる。本稿公開後に配布されるであろうアップデートでどう変わるかが見ものだ。
このゲームで3D V-Cacheが効いてない理由のひとつとして考えられているのは、CPUが占有するコア数が8を超えているという点である。FrameViewのログからコアごとの占有率を見ると、CCD0側の論理コア0~コア15まで(物理コア8基分)が80~90%と高く、さらに論理2コア分の負荷がCCD1側にも常時かかっている。
CPU処理の並列度を高めすぎて3D V-Cacheのメリットを活かせなかったと言うべきだろう。Ryzen 9 7950X3DやRyzen 9 7900X3DにおけるCPU負荷はCCD0側に強く偏っているため、ゲームが新しすぎてWindowsゲームモードが効いてないという仮説は否定される。
フレームレートが伸びなくても消費電力はCore i9-13900Kなどに比べると明らかに小さくなっている。
ゲームモード未対応だったから輝いた「BIOHAZARD RE:4」
次も直近封切りの「BIOHAZARD RE:4」で検証する。画質は最低に設定。ゲーム序盤で訪れる教会のある村〜次の集落へ続く道を移動した際のレームレートを計測した。
ここではRyzen 9 7950X3DとRyzen 9 7900X3Dが大幅に失速。最も高い平均フレームレートを出したのはRyzen 7 7800X3Dだった。この理由は検証時点ではWindowsゲームモードがBIOHAZARD RE:4をゲームだと認識しなかったためである。
下図はベンチマーク中のコア別CPU占有率を記録したFrameViewのログの抜粋だが、3D V-Cacheのあるコア0~15までにはほとんど負荷がかかっておらず、3D V-Cacheのない(クロックの高い)コア16以降に強い負荷がかかっている。こういう状態だとRyzen 9 7950X3DやRyzen 9 7900X3Dは非常に弱いのだ。
しかし、3D V-Cacheを搭載したコアだけしか持たないRyzen 7 7800X3Dでは、このような結果にはならない。今回の検証ではRyzen 7 7800X3Dだけが突出しているのはこういった理由だ。
けれども、本稿を読むタイミングによってはWindowsゲームモード側の情報アップデートが済んでいる可能性ある。その場合はこのような結果にはならない。時間があれば“理想的な”状態でのパフォーマンスもお見せしたかったところだが、検証時間が非常に限られていることと、イレギュラーな状態でのRyzen 7 7800X3Dの強みを紹介したいという観点からアップデート前の情報で評価していることをご承知頂きたい。
ゲームにおいては電力効率の悪いCCD1側だけを使う状況にあっても、Ryzen 9 7950X3DやRyzen 9 7900X3Dはそれほど電力を使っていないようだ。
3D V-Cacheの効果がない「Returnal」
「Returnal」では画質“低”、レイトレーシングはオフ(SSRはオン)に設定。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。
このReturnalはRyzen 9 7950X3D検証の時でもRyzen 9 7950X3Dの完封勝利を止めたゲームである。あれから1ヶ月程度時間が経過しているが、今回もCore i9-13900KやCore i7-13700Kがより高いフレームレートを出した。ゲームの中には、3D V-Cacheがまるで効果を発揮しない
Core i9-13900Kの消費電力は高いが、これまでのテストに比べるとかなり大人しい。ReturnalのCPU負荷が低いことと符合する。