AMDのハイエンド向け新型GPU「Radeon RX 6800 XT」(以下、RX 6800 XT)は、前世代まで苦しい戦いを強いられてきたライバルNVIDIAの、最新世代での競合製品「GeForce RTX 3080」(以下、RTX 3080)に対して、十分対抗できるパフォーマンスを備えている。市場における注目度は高く、ゲーマーの中には、RX 6800 XTとRTX 3080とで、どちらにするか選択を迷っている人もいるのではないだろうか。
SAPPHIREが新たにリリースした「NITRO+ Radeon RX 6800 XT OC 16G GDDR6 SPECIAL EDITION」(以下、NITRO+ RX 6800 XT OC SE)は、そんなRX 6800 XTを採用しつつ、GPUクーラーの冷却性能に注力したモデルである。“SPECIAL EDITION”というだけに、そのパフォーマンスも気になるところだ。そこで、実際にゲームをプレイし、NITRO+ RX 6800 XT OC SEのポテンシャルを明らかにしてみたい。
ブーストクロックは2360MHzに向上
PerformanceとSilentの2つのVBIOSを搭載
まずは、NITRO+ RX 6800 XT OC SEの動作クロック設定から紹介していこう。NITRO+ RX 6800 XT OC SEのゲームクロックは2110MHz、ブーストクロックは2360MHzと、これはリファレンス比で前者が95MHz、後者が110MHz、それぞれ引き上げられている。なお、メモリクロックは16Gbpsで、こちらはリファレンスから変わりがない。
さらに、NITRO+ RX 6800 XT OC SEでは、Performance ModeとSilent Modeの2つのVBIOSを搭載。工場出荷時設定はPerformance Modeで、その動作クロック設定は前述のとおり。一方のSilent Modeでは、ゲームクロックが2045MHz、ブーストクロックが2285MHzに変化する。
つまり、Performance Modeからゲームクロックが65MHz、ブーストクロックが75MHz抑えられた格好だが、それでもリファレンスよりそれぞれ30MHz以上高い仕様は抑えておきたいポイントだ。なお、Silent Modeでもメモリクロックは16Gbpsと変化はない。
これらのVBIOSは、カード側面のブラケットのすぐ側に設置されたディップスイッチで切り替えられるのだが、ユニークなのは「Software Switch Mode」が用意されている点だ。このモードは、付属アプリケーションの「SAPPHIRE TriXX」(Version 8.0.0)からVBIOSの切り替えが有効になるモードで、いちいちPCケースを開けてカードのディップスイッチを操作する必要がないわけだ。
SAPPHIRE TriXXについて少し触れておくと、このアプリケーションではGPUの各種ステータスを表示できるほか、GPUクロックやGPU温度などをリアルタイムでモニタリング可能だ。そのほか、解像度が低い映像をクリアにする「Radeon Image Sharpening」の設定が用意されていたり、ファンの動作チェックが行なえたりする点は、あまりほかのメーカーのアプリケーションでは見られない仕様だ。