Radeonシリーズの最上位モデルとして、10万円を優に超える価格ながらも、「Radeon RX 6900 XT」(以下、RX 6900 XT)の人気は高い。今回は、そんなRX 6900 XTを採用したPowerColor製「Red Devil AMD Radeon RX 6900 XT 16GB GDDR6」(以下、Red Devil RX 6900 XT)を紹介したい。
同社のRed Devilシリーズというと、高品質かつ高いオーバークロック設定を施した最上位モデルというイメージが強いが、果たしてこのRed Devil RX 6900 XTはどのような製品に仕上がっているのだろうか。ゲーマーが満足のいくパフォーマンスを備えているのかどうか、テストにより明らかにしてみたい。
320mmクラスのGPUクーラーはかなり大きめ
GPUや電源部など冷却にはかなり注力している印象
まずは、Red Devil RX 6900 XTの動作クロック設定から紹介していこう。Red Devil RX 6900 XTは、ゲームクロックが2105MHz、ブーストクロックが2340MHzと、リファレンス比で両者ともに90MHz引き上げられたクロックアップモデルだ。なお、メモリクロックは16Gbpsで、こちらはリファレンスから変わりはない。
なお、Red Devil RX 6900 XTは、OCモードとSilentモードの2つのVBIOSを搭載している。工場出荷時設定はOCモードで、前述の動作クロック設定はこのモードでのものだ。一方のSilentモードでは、ゲームクロックが2015MHz、ブーストクロックが2250MHzと、OCモードから90MHz下がり、リファレンススペックと同じになる。
つまり、Silentモードは動作クロックを低くすることで消費電力を抑え、静音性を高めるモードと言ってよいだろう。なお、Silentモードでもメモリクロックは16Gbpsのままだ。
それでは、カードそのものについて見ていこう。カード長は実測で約320mm(※突起部含まず)で、RX 6900 XTリファレンスカードが同266mmであったのに比べるとかなり長めだ。なお、基板自体は266mmほどしかないので、GPUクーラーがカード後方に50mm強はみ出た格好だ。
そのGPUクーラーは3スロット占有タイプで、かなり厚みがある。100mm角相当のファンを2基、90mm角相当のファンを1基搭載し、GPUへの負荷が少ないアイドル時などにはファンの回転を停止する機能も用意されている。PowerColorによると、これらの冷却ファンは新設計したもので、エアフローと風圧が従来モデルから最大60%向上しているとのこと。
なお、これらのファンの動作音は、筆者の主観であることを断ったうえで述べると、ハイエンドモデルにしてはかなり静かな印象を受けた。少なくとも、RX 6900 XTリファレンスカードより静かなことは間違いない。
GPUクーラーの銅製ベースプレートは、GPUだけでなくメモリチップにも接しており、メモリの冷却にも抜かりはない。そのベースプレートから、8mm径が3本、6mm径が4本のヒートパイプが、直上に位置する2ブロック構造の放熱フィンへと延びる構造だ。基板に目を移すと、電源部にはドライバICとMOS FETを1つのパッケージに収めたDr.MOSを採用し、それを14+2フェーズ構成にするなど豪華な仕様を誇っている。
GPUクーラーには、半透明の樹脂製のパーツが用いられ、それがLEDの色を透過してかなり派手に点灯する。これらのLEDは、付属アプリケーションの「DevilZone FAN RGB control utility」(Version 1.1.0)を用いることで、色や光り方を変更できる。また、付属するアドレサブルRGBケーブルで本製品とマザーボードを接続すると、マザーボードのLEDとRed Devil RX 6900 XTとで同期を図ることも可能だ。
補助電源コネクタは8ピン×3構成。RX 6900 XTリファレンスカードが8ピン×2だったので、1本分電力供給量が強化されているわけだ。映像出力インタフェースは、DisplayPort 1.4×3とHDMI 2.1×1の4系統。ユーザーの使用頻度を考慮し、RX 6900 XTリファレンスカードにあったUSB Type-C(DisplayPort)×1が省略され、通常のDisplayPortを配置している。