ASUSがゲーミング向けブランドとして展開している「ROG」。その中でもSTRIXシリーズは、PCゲームを始めたいというライトゲーマーから日々の戦いに明け暮れているというコアゲーマーに至るまで、幅広い層をターゲットにした製品で、ユーザーからも高い定評を得ている。
ASUSは、そのSTRIXシリーズに、「Radeon RX 5700 XT」(以下、RX 5700 XT)を搭載したオリジナルデザインモデル「ROG-STRIX-RX5700XT-O8G-GAMING」(以下、STRIX 5700 XT)を市場に投入している。では、このSTRIX 5700 XTはどのような製品なのか、ゲームにおけるパフォーマンスを含めて詳しく見ていこう。
3つの動作モードと2つのVBIOSを搭載
計6通りの動作クロック設定を利用可能
まずは、STRIX 5700 XTの動作クロック設定から紹介していこう。STRIX 5700 XTのベースクロックは1770MHzとリファレンスから165MHz高いほか、Gameクロックは1905MHz、ブーストクロックは2010MHzと、前者は150MHz、後者は105MHzそれぞれ引き上げられたクロックアップモデルである。さらに、付属アプリケーションの「GPU TweakⅡ」(Version 2.0.7.2)を利用することで、動作モードを「OC mode」「Gaming mode」「Silent mode」の3つに切り替え可能だ。
デフォルトはGaming modeで、その動作クロック設定は前述したとおり。OC modeでは、ベースクロックが1840MHz、Gameクロックが1965MHzとGaming modeから60~70MHz上昇し、ブーストクロックも2035MHzと25MHz高くなる。また、電力設定のPower Targetも110%へと向上する。一方のSilent modeは、動作クロック設定の詳細は公開されていないもののブーストクロックが20MHz低下するほか、Power Targetも90%に抑えられている。
STRIX 5700 XTがユニークなのは、これらの動作モードのほかに、Performanceモード(以下、Pモード)とQuietモード(以下、Qモード)という2つのVBIOSを搭載している点だ。デフォルトはPモードで、Qモードに変更するとGaming modeにおけるGameクロックが1870MHzとPモードから35MHz低下する。
この35MHz低下する点は、すべての動作モードにおいても同じで、Qモードに変更することで、消費電力の低減と静音性の向上が期待できる。つまり、3つの動作モードと2つのVBIOSにより、STRIX 5700 XTは、計6通りの動作クロック設定を有しているというわけだ。なお、動作モードはWindows上から簡単に切り替えることができるのに対して、PモードとQモードの変更はVBIOSを切り替える都合上、システムの再起動が必要となる点は注意したい。
カードそのものを見ていくと、カード長は実測で約303mm(※突起部除く)で、リファレンスカードが同273mmだったので、それよりも30mmほど長い計算だ。GPUクーラーは2.7スロット占有タイプと少々厚みがあるもので、90㎜角相当のファンを3基搭載する。これらのファンは、外枠と羽が一体成型された「Axial-techファン」と呼ばれるもので、ASUSによると従来のものと比べて下向きの風圧に優れているという。
また、GPUの温度が60℃を下回るとファンの回転を停止する「0dBテクノロジー」も搭載。なお、この0dBテクノロジーは、先ほどのGPU TweakⅡから無効にし、常時回転するように設定することも可能だ。
また、GPUクーラーには6本のヒートパイプが用いられているほか、MaxContactテクノロジーによりヒートスプレッダとGPUの接触面は2倍以上となり熱伝導の向上が図られている。さらに、Aura Syncにより、GPUクーラーのLEDをWindows上から制御可能で、ステルスモードを利用するとLEDを一切点灯しないように変更することもできる。
そのほか、基板の電源部には、ASUS自慢の品質規格「Super Alloy PowerⅡ」を満たした品質の高い部材が用いられ、MOS FETにはドライバICと統合されたDrMOSを採用している。なお、補助電源コネクタは8ピン×2の構成で、8ピン+6ピンだったリファレンスカードと比べると、電力供給の面でも強化が図られていることになる。