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Radeon RX 5700XTのワットパフォーマンスを劇的に向上させる「低電圧運用」のすすめ (5/6)

加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラハッチ

RX 5700 XTの定格は電圧とクロックが高めに設定されている

 では低電圧運用時のキモであるGPUの消費電力(GPU ASIC Power)の最大値と平均値を確認しよう(最小値はロード画面中に記録されるので比較する意味はない)。計測は同じTime Spyのテスト中(もっと正確に言えばGraphics Testの間)にHWiNFO64で実施した。

Time Spy実行中のGPU ASIC Powerの比較。平均値の算出にはローディング画面時(アイドルなので当然低くなる)の値も含めているので、実際はもう少し高くなる

 まず、Time Spy実行中における最大値や平均値をチェックすると、定格およびクロック2054MHz設定と、クロック1900MHz以下の2グループにはっきりと別れた。GPU ASIC Powerの最大値を見ると、定格が一番高く、電圧を下げるほど低くなることが分かる。

 平均値は若干のブレはあるが、低電圧設定の方がスコアーが低いというようなわかりづらさはない。定格時とスコアーは1%程度しか変わらないのにGPUの消費電力ピークで15W、平均で見ると実に32Wも低下しているのだ。明らかにRX 5700 XTの定格は、電圧とクロック設定を高めにしすぎていると言わざるを得ない。

GPU ASIC Powerの推移を追跡したもの

 上のグラフはTime Spy実行中のGPU ASIC Powerの推移を追跡したものだ。先のグラフと同様にTime SpyのGraphics Test実行中の値のみプロットしている。前掲のGPU ASIC Powerグラフと同様に、クロックを動かさない(2054MHz)組と、1900MHz以下にした組とでは、かなり明確にGPUの消費電力が変わっていることが分かる。

 ただ谷を挟んでグラフ後半、具体的にはGraphics Test 2に入ってからしばらくの間は、クロックを1900MHz以下に下げた組でもGPU ASIC Powerは一時的にかなり上がっている。むしろクロック定格組は見えない天井に頭打ちにされている印象だ。

 ではこの時のGPUクロックはどんな感じになっているのかも調べてみよう。

Time Spy実行中に観測されたGPUのクロック

 まずざっくりと最大と平均値を比べてみよう。クロックを1900MHzにすると最大クロックが1882MHz〜1859MHz、1880MHzにすると1881MHz〜1875MHzと、V-Fカーブで最大クロックを押さえ込めば、その設定値をやや下回る感じで動作する、という雰囲気が読み取れる。

Time Spy実行中のGPUクロックの推移
Time Spy実行中のGPUクロックの推移。見やすいようにY軸の範囲を狭めてみた

 GPUクロックの推移を遠目で見るとほとんど差がないようにも見えるが、Y軸の範囲を狭めて見てみると、クロックを1900MHz以下にした組は概ね平坦なクロック推移が見られる(特にグラフ左側、Graphics Test 1の領域)一方で、クロックを2054MHzのままにした組では、テスト全期間を通じて変動が激しい。

 特に中央の谷を超えGraphics Test 2に入ってからしばらくの間は、2054MHzのままにした組のクロックの落ち込みが激しい。GPU ASIC Powerは1900MHz以下にした組の方が激しく変動していたのと対象的だ。恐らくTime SpyのGraphics Test 2の前半はGPUの処理能力が特に要求されるのでGPUはそれに応えようとするが、クロックが定格2054MHzのままだと元々限界近くで動いているせいで、GPU側の何らかのリミッターに引っかかってしまいクロックは上げられない。だが頑張って動かそうとするのでその分クロックが下がる……という説明が考えられる。

 クロックを下げて電力制限の下で動いている1900MHz以下の組だとGraphics Test 2前半の処理で余裕があるため、GPUの消費電力を上げてガンガン処理できる、ということになる。定格だとむしろTime Spyのスコアーが下がってしまうのも、この理屈で説明がつけられそうだ。

 続いてはGPUコア電圧も見てみよう。

Time Spy実行中のGPUコア電圧
Time Spy実行中のGPUコア電圧の推移

 Wattman上でクロックは変えずに電圧だけ下げた場合と、クロックも電圧も下げた場合ではコア電圧にも大きな違いが出た。クロックを定格2054MHzのままにした組ではコア電圧は激しく上下し、Graphics Test 2前半では特に大きく下がるシーンも見られたのに対し、クロックを1900MHz以下にした組のGPUコア電圧はほぼ一定ラインをキープしている。明らかにRX 5700 XTリファレンスカードでは、ベンチマークのスコアで1%も変わらない領域を攻めるために、電圧を限界まで盛っていることが伺える。

 GPUクロックも下げた方がコア電圧が安定し、GPU ASIC Powerにも余裕が生まれることが分かったが、では定格からどこまで下げればコア電圧が一定ラインをキープできるのか、までについては時間切れで調べることができなかった。今後の課題としたい。

Time Spy実行中のGPU Core Current

 コア電圧と同じようにコアに流れ込む電力(GPU Core Current)もチェックしてみたのが上のグラフだ。入り混じりすぎてよく分からない感じになってしまったが、定格時(赤で示した)は電力がむしろ低めに出ている点に注目したい。高いクロック設定を達成するためになんとか頑張ろうとするが、GPU ASIC Powerで頭打ちになっているため結果的に電力やクロック等でGPU ASIC Powerの制限に帳尻を合わせることを強いられている印象がある。

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