高解像度で真価を発揮するRed Devil 5700 XT
GPUクーラーの動作音はかなり静かめ
それでは、Red Devil 5700 XTのゲームにおけるパフォーマンスを確認してみよう。今回は、比較対象に競合製品である「GeForce RTX 2070 SUPER Founders Edition」(以下、RTX 2070 SUPER)を用意した。また、Red Devil 5700 XTは、2つあるVBIOSのうち、高いパフォーマンスが期待できるOC modeを利用している。
【テスト環境】 | |
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CPU | Intel「Core i7-8086K」(6コア/12スレッド、4.0~5.0GHz) |
ビデオカード | PowerColor「Red Devil Radeon RX 5700 XT(Limited Edition)」(Radeon RX 5700 XT)、GeForce RTX 2070 SUPER Founders Edition |
マザーボード | MSI「MPG Z390 GAMING PLUS」(Intel Z390) |
メモリー | 16GB(DDR4-2666 8GB×2) |
ストレージ | SAMSUNG「SSD 850 EVO」(Serial ATA 3.0、500GB) |
電源ユニット | SilverStone「SST-ST1200-G Evolution」(1200W、80PLUS Gold) |
OS | Windows 10 Pro 64bit版 |
まずは、「3DMark」(Version 2.10.6771)の結果からだが、Red Devil 5700 XTは、Fire StrikeのすべてにおいてRTX 2070 SUPERを上回るスコアを発揮。その差は1~4%とさほど大きくはないものの、安定して上回っている点は評価できよう。その一方で、DirectX 12のテストであるTime Spyでは逆に12~15%離される結果となってしまった。これは、RTX 2070 SUPERなどTuring世代のGPUが、DirectX 12で高いスコアを発揮する傾向によるものだが、このあたりはAMDの最適化が足りていない印象を受ける。
続いて、レースシム「F1 2019」のテスト結果を見てみよう。今回は、プリセットを「超高」に設定したうえで、ゲームに用意されているベンチマークモードを実行してみた。すると、Red Devil 5700 XTは2560×1440ドットまでの低い解像度ではRTX 2070 SUPERに若干の差を付けられてしまっているものの、3840×2160ドットでは逆転を果たし、平均フレームレートと最小フレームレートともに11~14%の差を付けた。とくに、最小フレームレートは、RTX 2070 SUPERが60fpsを下回っているのに対して、Red Devil 5700 Xは常時60fps以上を維持しており、4Kにおけるゲームの快適性ではRed Devil 5700 Xに軍配が挙がる。
一方、人気のTPS[PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」(以下、PUBG)では、それとは逆の傾向が見られた。PUBGにおいては、「ウルトラ」プリセットに指定したうえで、実際にプレイし、1分間のフレームレートを「Fraps」(Version 3.5.99)で取得した。Red Devil 5700 XTは、RTX 2070 SUPERに対して1920×1080ドットにおいて平均フレームレートで5%ほど、最小フレームレートで6%ほどの差を付けた。
しかし、解像度が高まるとその立ち位置が入れ替わっており、3840×2160ドットでは逆に5%ほどの溝を開けられてしまっている。とはいえ、PUBGのようなeスポーツと呼ばれるタイトルでは、解像度を1920×1080ドット程度に留めて、フレームレートを高めてプレイするのが一般的となっている。そういった用途では、Red Devil 5700 XTのほうに一日の長があると言えるだろう。
「Far Cry New Dawn」の結果もチェックしておこう。今回は、プリセットから「最高」を選択し、ゲームに用意されたベンチマークモードを利用している。その結果だが、Red Devil 5700 XTは、1920×1080ドットの平均フレームレートでRTX 2070 SUPERに3%ほどの溝を開けられてしまっているが、3840×2160ドットでは逆転を果たしており、F1 2019と似た傾向が得られた。とはいえ、実フレームレートベースで結果を見ていくと、両者の差は最大で2fpsしかなく、Far Cry New Dawnにおいては両者は肩を並べていると言ってしまってもよいだろう。
GeForceシリーズへの最適化が進んでいる「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」では、Red Devil 5700 XTは苦しい戦いを強いられる結果となった。とはいえ、Red Devil 5700 XTは3840×2160ドットで、スクウェア・エニックスが指標において最高評価とするスコア7000にあとわずかなところまで迫り、2560×1440ドットでそれを大きく上回っている点は立派。RTX 2070 SUPERに離される結果になってしまったが、Red Devil 5700 XTでも、快適にプレイできる点に疑いの余地はない。
最後に、3DMarkを30分間連続実行した状態のGPUの温度を、「GPU-Z」(Version 2.25.0)で確認しておきたい。その結果だが、Red Devil 5700 XTでは73℃までしか上がっていなかった。実際これはリファレンスカードより温度が高いのだが、特筆すべきはファンの動作音である。筆者の主観となってしまう点をお断りしておくが、Red Devil 5700 XTの動作音は静かな印象を受けた。リファレンスカードの動作音は正直かなり大きめで、それに比べるとRed Devil 5700 XTはかなり静かで、静音性を重要視するユーザーでにも満足のいく出来だ。
競合製品より若干安めの6万6000円前後
GPUクーラーの静音性だけでも選ぶ価値あり
Red Devil 5700 XTの価格は実売で6万6000円前後。それに対して、RTX 2070 SUPER搭載製品は、モデルによって開きがあるものの6万5000円~7万6000円ほど。つまり、Red Devil 5700 XTは競合製品より若干安価でお買い得感は高い。さらに、Limited Editionの名前が示す通り、マウスパッドが同梱される限定モデルで他人と違った“オンリーワン”が欲しいというユーザーにとっては魅力的な製品ではないだろうか。
とくに、Red Devil 5700 XTのGPUの静音性はかなり優秀で、RX 5700 XTリファレンスデザインでネックとなっていたファンの動作音に対する懸念が解消されている点は好評価。“静かで速い”グラフィックスカードを探しているのであれば、このRed Devil 5700 XTは有力な選択肢であることは間違いない。