ミリタリーテイストを受け継ぐシブめのデザインでLEDはユーザー任せ
ASUSTeKの高耐久マザーと言えば「Sabretooth」からスタートし、ミリタリーテイストを受け継いできた。最近のTUFはそこまでミリタリーしていないものの、ヒートシンクの一部にデジタル迷彩パターンが残る程度に意識しているようだ。配色は全体的にブラック/グレー/ホワイトのモノトーンに、差し色としてイエローを用いている。メモリースロットもブラック/グレーで並び分けるなど、細かなところまでこだわりが見られる。
M.2ヒートシンクはデジタル迷彩柄。チップセット側の#2スロットのみに装着できる。#1には最近のスタンダードであるヒートシンク付きSSDを組み合わせる想定だろう。
チップセットヒートシンクも単体の構造。プラカバーの下にヒートシンクとファンが搭載されている。ファンの給気口が小さく見えるものの、内部を見るともう少し径が大きかった。マザーボードから見て下方向に向けて排気を行なう。全体として見ると小さめのヒートシンクである。その代わりに排気口部分にフィンを並べて冷却する、まずまず効率のよさそうな構造と言える。
PCMark 10のベンチマーク実行中の温度を見ると、チップセット周辺が50℃弱のほかは、全体的に黄緑~黄色の30℃台前半が多く、VRMも40℃以下だった。なお、M.2ヒートシンクがないため、SSDがもっとも熱く50.2℃だった。チップセットはセンサー上では最大65.3℃。少し高めだろうか。チップセットファンの回転数は2500~2800rpmで、かなり高回転だ。しかし、動作音はあまり気にならない印象。あと少しヒートシンクが大きければ、という気もする。ここはケースファンのエアフローを与えることで補うのがよい。
TUFシリーズはあまりLEDでハデに光るマザーボードではなく、1箇所アクセント的に光るのみだ。それはマザーボード右下のSerial ATAポートの下部分で、半透明PCBを用いてボード両面が光るタイプだ。いちおうLED用ヘッダーは3つ用意されており、1つはアドレッサブルRGB LED(第2世代)用のもの、残り2つがRGB LED用とされる。RGB LED制御のユーティリティはお馴染みの「Aura Sync」。比較的早くからLED制御を進め、パートナーを募っていたことで対応するLED搭載パーツも多く、とくにAURAは発光パターンも豊富で人気が高い。おそらくこれを制御していると思われるAURA刻印のチップも搭載されている。
オーディオ回路は、上位グレードのものと比べると面積も小さめ。搭載されているチップはRealtek S1200Aで、末尾「A」は先の有線LANチップ同様、Realtek製チップをベースにASUSTeKが別注したカスタムチップと見られる。これにニチコンのオーディオグレードのコンデンサを組み合わせ、SN比108dBを実現していると言う。
耐久性に全フリと言ってよい設計バランスで抜群のコスパを実現
TUF GAMING X570-PLUSは、ある程度機能や実装を絞り込みつつも高耐久という一点にこだわった製品だ。2万円台のAMD X570マザーボードを3枚続けて見てきたが、GIGABYTE X570 AORUS ELITE (rev. 1.0)はゲーミングにフォーカス、ASRockのX570 Steel Legendは高耐久という点では本製品と被るが機能を充実させているといった具合だ。それぞれに特徴がある。どこを省き、どこを盛るのか、そこを見極めることが確かな製品選びの鍵となるだろう。
TUF GAMING X570-PLUSの魅力としてもう一つ挙げられるのがTUFゲーミングアライアンスの存在だ。ASUSTeKはROGに代表されるようにブランディング化が上手い。TUFもこれを軸とし共通のカラーコンセプトで作られたメモリやCPUクーラー、電源、ケースといった製品が各社から登場している。それもハイエンドというよりTUFに合わせた価格帯のモデルからラインナップされている。ビデオカードに関しても、ASUSTeK自体がTUFブランドのモデル「」を投入した。このように「TUFゲーミング」でコンセプト統一されたPCを組むことが可能になっている。ここが大きなアドバンテージであることは確かだ。