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【AMDチップセットマザーボードレビュー第5回】

“タフさ”全フリでその名に恥じない耐久性&安定性を実現する「TUF GAMING X570-PLUS」(2/2)

文● 石川ひさよし 編集● AMD HEROES編集部

ミリタリーテイストを受け継ぐシブめのデザインでLEDはユーザー任せ

ASUSTeKの高耐久マザーと言えば「Sabretooth」からスタートし、ミリタリーテイストを受け継いできた。最近のTUFはそこまでミリタリーしていないものの、ヒートシンクの一部にデジタル迷彩パターンが残る程度に意識しているようだ。配色は全体的にブラック/グレー/ホワイトのモノトーンに、差し色としてイエローを用いている。メモリースロットもブラック/グレーで並び分けるなど、細かなところまでこだわりが見られる。

メモリースロットもブラック/グレーの色分け

M.2ヒートシンクはデジタル迷彩柄。チップセット側の#2スロットのみに装着できる。#1には最近のスタンダードであるヒートシンク付きSSDを組み合わせる想定だろう。

デジタル迷彩柄のM.2ヒートシンク。22110対応で裏面に熱伝導パッドが貼られている。また、ネジが外れない仕組みで紛失を予防する

チップセットヒートシンクも単体の構造。プラカバーの下にヒートシンクとファンが搭載されている。ファンの給気口が小さく見えるものの、内部を見るともう少し径が大きかった。マザーボードから見て下方向に向けて排気を行なう。全体として見ると小さめのヒートシンクである。その代わりに排気口部分にフィンを並べて冷却する、まずまず効率のよさそうな構造と言える。

AMD X570チップセット

M.2やVRMとは別れた単体ヒートシンクだが、このクラスではやや大きめ

風の出口を一辺に集約し、そこにフィンを設けて冷却効率を高めている

PCMark 10のベンチマーク実行中の温度を見ると、チップセット周辺が50℃弱のほかは、全体的に黄緑~黄色の30℃台前半が多く、VRMも40℃以下だった。なお、M.2ヒートシンクがないため、SSDがもっとも熱く50.2℃だった。チップセットはセンサー上では最大65.3℃。少し高めだろうか。チップセットファンの回転数は2500~2800rpmで、かなり高回転だ。しかし、動作音はあまり気にならない印象。あと少しヒートシンクが大きければ、という気もする。ここはケースファンのエアフローを与えることで補うのがよい。

室温27℃、床など青い部分は31.4℃でもっとも高温の白い部分が50.2℃。DIGI + VRM回路は発熱が少なめなのか、ヒートシンクが良好なのか、VRMの温度は低めだった


ASUSTeKマザーボードと言えばFanXpert 4によるファンの制御なども分かりやすいUI、豊富なセンサーで、設定が簡単かつ効果的に行なえる

TUFシリーズはあまりLEDでハデに光るマザーボードではなく、1箇所アクセント的に光るのみだ。それはマザーボード右下のSerial ATAポートの下部分で、半透明PCBを用いてボード両面が光るタイプだ。いちおうLED用ヘッダーは3つ用意されており、1つはアドレッサブルRGB LED(第2世代)用のもの、残り2つがRGB LED用とされる。RGB LED制御のユーティリティはお馴染みの「Aura Sync」。比較的早くからLED制御を進め、パートナーを募っていたことで対応するLED搭載パーツも多く、とくにAURAは発光パターンも豊富で人気が高い。おそらくこれを制御していると思われるAURA刻印のチップも搭載されている。

LED発行箇所は1箇所で、右下Serial ATAポートの下部分だけだ

CPUファン用ヘッダーの横にRGB LED用ヘッダーを用意

マザーボード右下部にもRGB LED用ヘッダーを搭載

ATX24ピン端子横にアドレッサブルRGB LED(第2世代)対応ヘッダーを搭載

ASUSTeKのLED制御技術であるAURA刻印のチップも搭載されている

Aura Syncソフトウェア上からLEDを制御。対応パーツ、可能な発光パターンとも充実している

オーディオ回路は、上位グレードのものと比べると面積も小さめ。搭載されているチップはRealtek S1200Aで、末尾「A」は先の有線LANチップ同様、Realtek製チップをベースにASUSTeKが別注したカスタムチップと見られる。これにニチコンのオーディオグレードのコンデンサを組み合わせ、SN比108dBを実現していると言う。

オーディオ回路は多少小さめだが、チップはEMIシールド内にRealtek S1200Aを搭載。S1200AはRealtekと連携して設計された独自のものでSN比は108dBとされる

コンデンサはニチコンのオーディオグレード品を採用

水冷ポンプ用のヘッダーはCPUソケットの左下に用意

耐久性に全フリと言ってよい設計バランスで抜群のコスパを実現

TUF GAMING X570-PLUSは、ある程度機能や実装を絞り込みつつも高耐久という一点にこだわった製品だ。2万円台のAMD X570マザーボードを3枚続けて見てきたが、GIGABYTE X570 AORUS ELITE (rev. 1.0)はゲーミングにフォーカス、ASRockのX570 Steel Legendは高耐久という点では本製品と被るが機能を充実させているといった具合だ。それぞれに特徴がある。どこを省き、どこを盛るのか、そこを見極めることが確かな製品選びの鍵となるだろう。

TUF GAMING X570-PLUSの魅力としてもう一つ挙げられるのがTUFゲーミングアライアンスの存在だ。ASUSTeKはROGに代表されるようにブランディング化が上手い。TUFもこれを軸とし共通のカラーコンセプトで作られたメモリやCPUクーラー、電源、ケースといった製品が各社から登場している。それもハイエンドというよりTUFに合わせた価格帯のモデルからラインナップされている。ビデオカードに関しても、ASUSTeK自体がTUFブランドのモデル「」を投入した。このように「TUFゲーミング」でコンセプト統一されたPCを組むことが可能になっている。ここが大きなアドバンテージであることは確かだ。


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