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【AMDチップセットマザーボードレビュー第6回】

Mini-ITXなのにThunderbolt 3もWi-Fi 6もある! ASRock「X570 Phantom Gaming-ITX/TB3」(1/2)

文● 石川ひさよし 編集● AMD HEROES編集部

最新インターフェースを貪欲に取り込み、設計もハイエンド寄りのMini-ITX

製品名:X570 Phantom Gaming-ITX/TB3
メーカー:ASRock
実売価格:3万8000円前後

最近ではセカンドPCだけでなく、メインのPCもMini-ITXマザーボードでコンパクトに、それでいて高性能にする人も多い。それと言うのも、Mini-ITXという拡張性の限られたフォームファクタながら、最近では多機能なモデルが登場しており、同時にCPUクーラーやケース側も製品が充実してきたという背景がある。そうした中でもAMD Ryzenファンにとって注目なのが「X570 Phantom Gaming-ITX/TB3」だ。

「X570 Phantom Gaming-ITX/TB3」の主なスペック
対応ソケット Socket AM4
チップセット AMD X570
フォームファクター Mini-ITX
メモリースロット DDR4×2(最大64GB)
対応メモリークロック DDR4-4533(OC)~3466(OC)、DDR4-3200~2133
拡張スロット PCI Express 4.0 x16×1
ストレージインターフェース SATA3(6Gbps)×4、M.2(PCIe4.0x4)×1
ネットワーク ギガビットLAN(Intel I211AT)
サウンド 7.1ch HDオーディオ(Realtek ALC1220)
リアインターフェース PS/2×1、Thunderbolt 3(Type-C)×1、USB3.2 Gen2 Type-A×2、USB3.2 Gen1 Type-A×2、オーディオ端子×5、SPDIF端子×1、DisplayPort 1.4(入力)×1、HDMI 2.0×1、CMOSクリアスイッチなど
M/B上インターフェース RGB LEDヘッダー×1、アドレサブルLEDヘッダー×1、USB2.0ヘッダー×1、USB3.2 Gen1ヘッダー×1など

Mini-ITXマザーボードとしては一般的なレイアウトに見えるが、よく見ると少し「?」があるX570 Phantom Gaming-ITX/TB3

高機能という点でもっとも特徴的なのが「X570 Phantom Gaming-ITX/TB3」の型番にもある「TB3」、つまりThunderbolt 3を搭載している点だろう。Thunderbolt 3は今後登場する予定のUSB 4.0のベースとなる技術であるとともに、40Gbpsの速度を先取りしている。

そもそも、よく考えればAMDチップセットのマザーボードに、Intelの技術であるThunderbolt 3が搭載されている点で、Thunderbolt 3が次世代インターフェースとしてどれだけ注目されているのか分かるだろう。Thunderbot 3へビデオカードからの映像出力を引き込むための映像入力端子は、DisplayPort入力を備えている。

Thunderbolt 3の実装にはTitan RidgeことJHL7340チップを採用

Type-C形状のThunderbolt 3と、ビデオカードの映像出力からDPケーブルを通じて映像を引き込むDP IN(DisplayPort入力)を備えている

Thunderbolt 3が搭載されるバックパネルは、一体型シールドバックパネルを採用している。組立時の手間を解消しつつデザイン的にも盛り上げてくれるのが一体型バックパネルだ。一般的にはハイエンドの証とも言え、安価なモデルでは省かれる。もちろん、X570 Phantom Gaming-ITX/TB3はAMD X570マザーボード全体を見渡してもけっして安い部類ではない。Mini-ITXマザーボードでも、セカンドPCとしてコストを抑えて組み立てるというニーズからは異なる趣向のポジショニングだ。

バックパネルは一体型。Thunderbolt 3端子が顕著だが、端子と比べてやや開口部を大きくとり、基板背面のネジを緩めることで位置調節できる

そしてそのバックパネル上にあるのが2×2の無線LANアンテナ用端子だ。Mini-ITXマザーボードでは無線LANを搭載するものも多いが、デスクトップPCという性質上、より高帯域を求めて有線LANを利用していた方のほうが多いのではないだろうか。

しかし、X570 Phantom Gaming-ITX/TB3が搭載しているのは最新のWi-Fi 6(IEEE802.11ax)。もちろん2.4GHz/5GHzのデュアルバンドやMU-MIMOにも対応する。その速度は有線の1000BASE-Tを超えてくるので、むしろこちらのほうが速いこともある。有線LANにこだわっていた方も、Wi-Fi 6対応ルータとX570 Phantom Gaming-ITX/TB3でLANケーブルに縛られない無線LAN環境に移行することができるわけだ。

2×2のWi-Fi 6アンテナも装備。理論値では有線LANの1000Mbpsを上回る

そのほか、バックパネルにはCMOSクリアスイッチも搭載されている。Mini-ITXでCMOSクリアスイッチを搭載するものはそもそもあまり多くない

電源フェーズ数は10。通常、スペースに余裕のないMini-ITXではVRM回路もCPUを動かすための最小限に抑えられがちだ。AMD X570なら8フェーズあたりになる。しかしX570 Phantom Gaming-ITX/TB3は少し余裕を持たせた10フェーズのVRM回路を採用している。うち8フェーズはフェーズダブラーを用いていることが確認でき、8+2フェーズ構成と見られる。

VRMは10フェーズ。スペースの都合、フェーズ数を抑えたいMini-ITXマザーボードとしては多い

PWMコントローラはIntersilの「ISL69147」を採用。フェーズダブラーはマザーボード裏面に「ISL6617」を採用していることが確認できた。なお、スペースの小さいMini-ITXということもあり、マザーボード裏面に実装されるチップもATXマザーボードと比べて多い。また、MOSFETはドライバーICを統合した効率のよいDr.MOSを採用していると言う。

PWMコントローラはIntersilの「ISL69147」

フェーズダブラーは「ISL6617」。4つ実装されており8フェースを生成する

チョークコイルのそばに実装されたDr.MOSとみられるチップ。白い部分はおそらく放熱のための塗装だろう

VRMまわりのコンデンサは、ニチコン製とされる12Kグレードのブラックコンデンサ。型番にFPとあるのでFPCAPの特別品と思われる。VRM以外の部分ではいわゆるアルミ電解コンデンサが見られない。小型で実装面積の小さいタンタルコンデンサと思われるものが無数に実装されていた。一般的なアルミ固体電解コンデンサと比べてコストがかかっているだろう。

ほか、チョークコイルは背の低いタイプで60A対応、PCB基板は2オンス銅箔層を設けるとともに、湿度による短絡をふせぐ高密度ガラス繊維のものが採用されている。ASRockではほかDr.MOSや一体型シールドパネルを含めて「Super Alloy」と呼び、品質基準としている。

タンタルコンデンサと思われるコンデンサが各所に用いられていた。表面では実装面積を節約でき、裏面では高さを抑えられる

CPU用のEPS12Vは8ピン1基のみだ。マザーボード上を見渡しても、さらに4ピン、8ピンを追加するのは難しかっただろう。この点で、CPUに関してはおもに定格、OCをするにしても消費電力が増えすぎないよう軽めの範囲で楽しむのがよさそうさだ。

EPS12Vは8ピン1基のみなので過度なOCには向かないだろう

統合ユーティリティは「Phantom Gaming Tuning」

X570 Phantom Gaming-ITX/TB3で唯一の拡張スロットがPCI Express 4.0 x16。スロットにはスチール製カバーが装着されており、6つのアンカーでマザーボード裏面からハンダ付けされている。X570 Phantom Gaming-ITX/TB3のようにハイエンドのMini-ITXマザーボードには、ハイエンドビデオカードを搭載する方の割合が多いだろう。さらに言えば、ATXと比べて実装密度が高く、ビデオカードをロックするツメへのアクセスも難しい。そうした負荷に対してスチール製カバーが活躍する。

スロット全面を覆うするタイプのスチール製カバーが装着されている。アンカーは前寄りに4つ、後部に2つ。PCBを貫通して裏面からハンダ付けされている

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