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【AMDチップセットマザーボードレビュー第6回】

Mini-ITXなのにThunderbolt 3もWi-Fi 6もある! ASRock「X570 Phantom Gaming-ITX/TB3」 (2/2)

文● 石川ひさよし 編集● AMD HEROES編集部

Mini-ITXという制約と、それにより生まれたとりわけユニークな設計

 一つクセがあるのがCPUクーラーのマウントホールだ。Socket AM4マザーボードでは、それ用のツメのついたマウントフレームが装着されているものだが、X570 Phantom Gaming-ITX/TB3はライバルIntelのLGA115x互換マウントホールという形に置き換えられている。一つ重要なのが、AMD Ryzenに付属するリテールクーラー(ツメ式、ネジ式とも)が装着できない点だ。純正ということもあり多くのファンがいるWrithクーラーだが、X570 Phantom Gaming-ITX/TB3では楽しめない。

よく見るとX570 Phantom Gaming-ITX/TB3のソケット上下にはネジがあるだけで通常見かけるツメのついた樹脂パーツがない。その換わりとして四隅にLGA115x互換マウントホールがある

 その上で、LGA115x用CPUクーラーのすべてがサポートされるわけでもない。マウントホールは互換でも、ソケット周辺の設計までは完全に保証するわけにはいかなかったようだ。ソケット周辺の設計に関してはLGA115xとSocket AM4、IntelとAMDのデザインガイドは異なる。たとえばコンデンサの位置などで、ヒートシンクが干渉してしま恐れもあるわけだ。そのため同社ではCPUクーラー対応リスト(https://www.asrock.com/mb/AMD/X570%20Phantom%20Gaming-ITXTB3/index.jp.asp#CPUCoolerList)を掲載しているので、パーツ選考の際はこうした情報も参考に選びたい。

写真のとおり、マウントホールのすぐ横に一体型シールド、メモリがあり、LGA115x互換のCPUクーラーでも物を選ぶ。ソケット直上にあまり突起物のない簡易水冷CPUクーラーなら比較的対応しやすい

 AMD X570ではチップセットヒートシンクにファンを搭載することが一般的だ。ところがサイズの小さなMini-ITXではここが課題になる。X570 Phantom Gaming-ITX/TB3では、Socket AM4の下部分にチップセットを搭載し、そこに小ぶりのヒートシンクを、そして斜めになる形でファンを搭載している。ただしこれだけではAMD X570チップセットを冷却するには小さい印象。そこで、チップセットヒートシンクから、バックパネル下のVRM用ヒートシンク(ソケットの左のもの)にヒートパイプで連結することで、放熱面積を拡大している。

AMD X570チップセット
ソケット上部のヒートシンクは単体。かなり高さがあり形状も複雑。Dr.MOS上だけでなく、チョークコイルの上にも薄い突き出しを設け、熱伝導シートで放熱している
チップセットヒートシンクは横から見て三角形とすることで面積を拡大。カバーを外せばファンも斜めに搭載され、加えてヒートパイプをVRMヒートシンク側に伸ばしている

 室温が24℃まで下がってきたこともあり、白い部分の最大温度は47.4℃。CPUソケット左側のVRMヒートシンクからその周辺の基板部分がもっとも高温だ。M.2スロットがマザーボード裏面、そしてMini-ITXケースは容積的に冷却が難しいことと合わせてX570 Phantom Gaming-ITX/TB3を運用する場合、冷却は重視すべきだろう。センサー温度についても、チップセットは60℃超、また、裏面に装着するM.2 SSDも58℃に達した。

もっとも高温なおがVRMやチップセットに近いPCB部分。室温24℃で47.4℃なのでそこまで発熱が大きくは感じないが、それは高効率で発熱の少ない部品の採用もあるだろう
チップセットや裏面のM.2 SSDはやや高めになる傾向。ケースファンでしっかり風を当てるべきだろう

 ストレージはM.2スロットを裏面に、Serial ATAはマザーボードでは一般的な右下部分に4ポート搭載している。一般的な用途であれば十分と思われるが、ATXマザーボードではM.2も2スロット、Serial ATAは8ポート搭載するものが多い。それらと比べると1/2であることを念頭にストレージ構成をプランニングしよう。

M.2ソケットは裏面。対応するサイズは2280のみだ。より長いものはもちろんより短いものにも対応しない。おそらくホールを設けるスペースがなかったのだろう
Serial ATAポートは4つ。一般的なMini-ITXケースであれば十分だろう。より大きなケースでストレージPCを組む際には不向きか

 LEDは、3ピンのアドレッサブルLED対応ヘッダーと、4ピンのRGB LEDヘッダーを各1基備えている。ATXのゲーミングマザーボードと比べると少ないが、電飾PCを組み立てることも可能だ。これで足りないという場合はRGB LED用のハブコントローラを別途用意するのがよいだろう。

ATX24ピン横にアドレッサブルLED用のヘッダーを、CPUファン用ヘッダー横にRGB LED用ヘッダーを搭載
ボード自体のLEDは、拡張スロットの下に6つあるのみ。カードを装着してしまうと案外目立たない
LED制御は「POLYCHROME SYNC」

 そのほか、オーディオチップはRealtek「ALC1220」を採用、ギガビットLANはIntel「I211-AT」を採用と、実績のあるチップを採用していてこのあたりのコストダウンは見られない。Phantom GamingシリーズのMini-ITXとして、ゲーマー向けのチップ選択と言えるだろう。

オーディオチップはRealtekのALC1220。オーディオ用コンデンサはATXマザーボードほど潤沢には搭載されていなかった
ギガビットLANはIntel I211-AT

現行Mini-ITXマザーボードのなかでもとりわけ次世代I/Fが豊富で長期使用向き

 Mini-ITXマザーボードのため、メモリが2本、M.2スロットが1基、Serial ATAも4ポート、拡張スロットがx16×1のみと、制限があることは間違いない。ただし、X570 Phantom Gaming-ITX/TB3の場合、非搭載ということはなく必ず1基は搭載している。必要な機能を絞り込み、可能なものはUSBの外部接続機器を活用することで、ゲーミングをはじめさまざまな用途のPCへと組み立てられるのがX570 Phantom Gaming-ITX/TB3の魅力だ。パーツ選択が重要となる分、自作PCスキルも問われる。ここは腕の見せどころとして楽しんでいただきたい。

 そのうえで、Thunderbolt 3やWi-Fi 6など、Mini-ITXでは見送られがちな次世代規格を搭載することで、次世代規格が本格普及をはじめても使い続けられるスペックとなっている。そもそも拡張スロットが少ないMini-ITXでは、ここが非常に重要なのではないだろうか。Mini-ITXでも長きに渡って現役であり続けられるPCを望む方にオススメしたい。

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