AMD X570マザーボードの中でも指折りのコスト追求型設計
製品名:X570GT
メーカー:BIOSTAR
実売価格:1万8000円前後
比較的高価なAMD X570マザーボードだが、少ない予算でGen4のSSDを使いたい、第3世代Ryzen搭載PCを組みたいというニーズはある。比較的安価なマザーボードを探していくと、目にするのがBIOSTAR製品。BIOSTARは歴史あるマザーボードメーカーで、1990~2000年代の戦国時代を生き抜き今も日本市場で展開している。
少し前なら、マイニング専用マザーボードで耐久性とともに「変態度」でも有名になったところだ。そのBIOSTARのAMD X570マザーボードで、とくに安価なモデルが今回紹介する「X570GT」だ。
「X570GT」の主なスペック | |
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対応ソケット | Socket AM4 |
チップセット | AMD X570 |
フォームファクター | MicroATX |
メモリースロット | DDR4×4(最大128GB) |
対応メモリークロック | DDR4-4000(OC)~3600(OC)、DDR4-3200~1866 |
拡張スロット | PCI Express 4.0 x16×1、PCI Express 3.0 x1×2 |
ストレージインターフェース | SATA3(6Gbps)×4、M.2(PCIe4.0x4)×1 |
ネットワーク | ギガビットLAN(Realtek RTL8111H) |
サウンド | 7.1ch HDオーディオ(Realtek ALC 887) |
リアインターフェース | PS/2×1、USB3.1 Gen1 Type-A×4、USB2.0×2、オーディオ端子×3、HDMI×1、Dsub15ピン×1 |
M/B上インターフェース | LEDヘッダー×2(5V×1、12V×1)、USB3.1 Gen1ヘッダー×1、USB2.0ヘッダー×2など |
AMD X570マザーボードの価格を抑えるにはどうしたらよいのか。X570GTは非常に分かりやすい製品だ。VRM回路は7フェーズ。これは第3世代Ryzenを利用する上で最小限と思われる。とはいえCPUサポートリストにはRyzen 9 3900Xも含まれているので大丈夫。ただ、オーバークロックでのマージンはほとんどないのではないだろうか。
PWM制御はRenesas(旧Intersil)「ISL95712」を用い、MOSFETは台湾Sinopower Semiconductorの「SM4377」と「SM4364」を用いている。比較的安価なモデルで用いられる構成だ。フェーズダブラーなども用いられていない。見たところ4+3フェーズ構成で、CPU側の4フェーズはSM4377を1つ、SM4364を2つで構成、アンコア側はSM4377を1つ、SM4364を1つで構成されていた。また、CPUソケット周辺を含め、コンデンサはAPAQ製のものを採用している。
APAQは台湾のコンデンサメーカーで、マザーボード以外にも安価な電源ユニットなどで見かけることが多い。ある意味電源で実績を重ねているため、価格に見合った耐久性という点では安心できるだろう。型番から見ると耐熱105℃で5000時間品だ。
一つ注意したいのは、見てのとおりヒートシンクを搭載していない点だ。ヒートシンクはもちろん冷却を行なうものだが、ヒートシンク全体に熱を分散させることで、ゆるやかに上昇、ゆるやかに冷却するバッファの役割も果たす。ところがX570GTはそれを搭載していない。温度は急激に変化する。その点でケース内のエアフローは通常よりも強めに設定しておくのが安心だ。
チップセット側はVRMよりもシビアだったようで、ファン付きのヒートシンクを搭載している。小ぶりでシンプルな構造だが、これまでの製品を見てきたように、このサイズでも通常動作させる上では問題なく冷却できる。動作音もそこまで大きいとは感じなかった。
さて、先にFLIRによる負荷時のマザーボード温度を紹介しておこう。高温の白い部分はVRMの、とくにCPU側の4フェーズに集中している。こちらの情報では最大60.7℃だったが、温度の変動は激しく、PCMark 10でCPU負荷中心のテストに移るとそれまで50℃台前半だった温度が60℃までみるみる上がり、終わればすみやかに温度を下げていく。
HWiNFOから見た温度センサー情報では名前が付いてないのでどの値がどの位置のセンサーを示しているのか不明。ただ、おそらくTemperature 1がVRMではないかと思われる。その情報によれば負荷時にCPUに次いで高温となり、最大72℃を記録した。これは室温22℃と、真夏に計測した時ほど周辺温度が高くない点、バラック状態である点を考慮するとやや高めだろう。
そのほかコストを抑えていると見られるのは、オンボード機能を実装するためのチップだ。LANはGbEだがRealtek「RTL8111H」、オーディオはRealtek「ALC887」を採用している。どちらも安価なチップであり、とくに後者はやや古い。そしてバックパネルを見ると、オーディオ端子はアナログがライン入力、ライン出力、マイク入力/センター兼用端子の3つで、つまり2.1chまでしかサポートされていない。
加えてS/PDIFがないためデジタル出力はできない。オーディオに重きを置かない方ならよいが、後々になってオーディオの強化を図りたい場合はサウンドカードやUSB DACなどを追加することになる。
HWiNFOから見た温度センサー情報では名前が付いてないのでどの値がどの位置のセンサーを示しているのか不明。ただ、おそらくTemperature 1がVRMではないかと思われる。その情報によれば負荷時にCPUに次いで高温となり、最大72℃を記録した。これは室温22℃と、真夏に計測した時ほど周辺温度が高くない点、バラック状態である点を考慮するとやや高めだろう。
そのほかコストを抑えていると見られるのは、オンボード機能を実装するためのチップだ。LANはGbEだがRealtek「RTL8111H」、オーディオはRealtek「ALC887」を採用している。どちらも安価なチップであり、とくに後者はやや古い。そしてバックパネルを見ると、オーディオ端子はアナログがライン入力、ライン出力、マイク入力/センター兼用端子の3つで、つまり2.1chまでしかサポートされていない。
加えてS/PDIFがないためデジタル出力はできない。オーディオに重きを置かない方ならよいが、後々になってオーディオの強化を図りたい場合はサウンドカードやUSB DACなどを追加することになる。