1899年 某月某日
嵐が去り、俺達が次の目的地に移ってから数週間が経った。生活は随分ましになり、みんなも落ち着きを取り戻してきたようだ。仲間たちはそれぞれ、拠点での雑用か、外で用事をこなしているか、近くの町に稼ぎに出ている。ようやく、俺も自由に行動できるようだ。
仲間から求められる用事をこなすのもいいだろう。しかし俺は酒場に行きたい。カウボーイの憩いの場と言えば酒場だ。酔っ払いのならず者たちを眺めたり、別室で賭けポーカーをやったり、酒を飲みながらピアノ弾きの演奏を聞いたり……。とにかく、酒場にいればこの荒れた時代の雰囲気を存分に楽しめる。窮屈な生活が続いたので、羽を伸ばしたくもなるというものだ。俺は地図を見て、近くの町に向かった。
途中、獣に襲われている男を助けたせいで全身傷だらけになったものの、手持ちの缶詰を食べて事なきを得た。俺達は食事さえ持っておけば瀕死の重傷からでも回復できる。なぜなら屈強なギャングだからだ。噛み煙草や酒も持っておけば、万全だろう。
ようやく、あまり栄えているとは言えない様子の町に着くと、俺はまっすぐ酒場に入る。そこにはすでにギャングの仲間の何人かがいた。奴らも俺と同じ気分なのだろう。このまま酒でも一杯ひっかけたいところだ
と思っていたのもつかの間、仲間が喧嘩をふっかけたせいでいきなり店の客を巻き込んでの大乱闘が始まってしまった。この治安の悪さ、いかにも場末の酒場といった感じでたまらない。最終的に、俺たちは店にいた奴らを全員ぶちのめした。俺は途中で窓から放り出されたが、放り出した奴もしっかり殴り倒した。店はボロボロだし、俺は泥だらけだ。しばらく酒場が再開できそうにないので、その日はホテルに泊まることにした。
ホテルでは風呂に入ることができる。泥だらけで、みっともない身なりになっていたので多少の金を使うのはやむを得ないだろう。浴室では声をかけてきた女性にチップを渡して体を洗ってもらった。なけなしの生活費だが、つい好奇心をそそられたのでこれもやむを得ない。借りた部屋では着替えもできるため、泥まみれの服を着替えて眠る。
翌朝、そのまま酒場に行くと俺達にぶちのめされた男たちがまだ転がっていてびっくりした。この町の奴らはかなり薄情らしい。一日経てば営業再開していると思ったが、甘かったようだ。町を出て、しばらく時間をつぶすことにした。
このあたりは実に治安が悪い。町を出ると、すぐに怪しい光景に遭遇する。馬車の上で御者がうなだれており、すぐそばに女性が投げ出されている。女性のすぐそばに男がいて、彼女の荷物をあさっているようだ。近づくと銃を向けてきた。間違いなくこいつは悪党だ。
こういうときは投げ縄の出番と相場が決まっている。俺は嬉々として投げ縄を放って、男を縛り上げた。そのまま馬に乗せて保安官に突き出してもよかったが、喧嘩で酒場をメチャメチャにした後なのでばつが悪い。仕方がないので、そのまま馬に乗って男を引きずり回すことにする。悪党にはちょうどいい罰だ。しかし、運悪くその様子を通りすがりの人に見られ、通報されてしまった。
とりあえずその場から馬で逃走したものの、その間引きずりまわし続けたせいで男はすでに帰らぬ人になっている。とりあえず証拠を隠滅しようと男を川に沈めたが、遺体はプカプカ浮いたまま川下へ流れていった。どうやら、この地方でもいきなり犯罪者になってしまったようだ。
その後も、脅してきたコルム一味を返り討ちにして別の人に通報されたり、強盗から御者を救ったあとに金庫を漁っているところを見られたり、コルム一味のキャンプを一人で襲って死にかけたり、刺激的なイベントが続いた。馬に乗って道を行くだけで色々なものに出くわすのが、カウボーイ生活の醍醐味とも言えるだろう。最初からスマートに物事をこなすのは難しく、何事にも経験は要る。いろいろやってみることだ。
俺は時間をつぶして酒場に戻ろうとしたが、町に入るとすぐに保安官に見つかってブタ箱に入れられてしまった。罰金を取られたが、これも経験のうちだ。
独房を出ると、酒場が営業を再開していた。待ちに待った娯楽の時間だ! 店に入った途端、全員がこちらを振り返ってじろじろと見てきたが、それは些細なことだ。俺はカウンターで酒を注文し、3杯ほど飲み干した。そろそろ無一文に近づいてきたが、金がなくなったら稼ぎに行けばいい。それがギャングというものだ。
そのあと店の中をふらふらして客と会話を楽しんでいたら、うっかり行動を間違えて女の首を絞めてしまい、けっきょくまた殴り合いの喧嘩になってしまった。取れる行動が非常に多いので、ときには間違えてしまうこともある。
これを読んでいる奴がもしもカウボーイとして生活するつもりなら、その地方の駅の場所は確認しておくべきだろう。犯罪行為を犯したときは、その地方の駅で懸賞金を払えば罪をチャラにできる。払わなければ、町の人々から延々とイヤミを言われ続けることになるだろう。これだけ覚えて、あとは金さえ稼げばすべては何とかなるはずだ。
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