AMDのミドルレンジ向け新型GPU「Radeon RX 5500 XT」(以下、RX 5500 XT)を搭載したグラフィックスカードがようやく市場に姿を見せてきている。RX 5500 XTは開発コードネーム「Navi 14」と呼ばれていたGPUで、ようやくRadeonシリーズのミドルレンジ帯が、TSMCの7nmプロセスで製造されたNavi世代のGPUに置き換わっていくことになる。
さて、そのRX 5500 XTを搭載したグラフィックスカードの実力はどの程度のものなのだろうか。今回はASRockの「Radeon RX 5500 XT 8GB Challenger D OC」(以下、RX 5500 XT 8GB Challenger)を取り上げ、いくつかのテストにより、そのポテンシャルを確かめてみたい。
ベースクロックとゲームクロックが向上
カード長は実測で約230mmと短め
まずは、RX 5500 XT 8GB Challengerの動作クロック設定から説明しておこう。RX 5500 XT 8GB Challengerは、製品名に“OC”と入っていることからも明らかなとおり、動作クロックが引き上げられたクロックアップモデルである。12月12日時点でのメーカーの発表では、発売は12月18日11時で、予想実売価格が税込2万8578円と、3万円を切る値段で販売される予定。
具体的にはベースクロックが1685MHzとリファレンスの1670MHzから15MHz引き上げられ、ゲームクロックも1737MHzとリファレンスの1717MHzから20MHz高い設定となっている。ただ、ブースト最大クロックは1845MHzとリファレンスと変わらない。なお、メモリにはGDDR6を8GB搭載し、その動作クロックは14Gbpsで、こちらもリファレンスと同じだ。
カード長は実測で約230mm。ただ、基板自体は179mmほどしかないので、51mmほどGPUクーラーがカード後方に大きくはみ出た格好だ。なお、今回比較対象に用いたMSI製「GeForce GTX 1660 GAMING X 6G」が実測約244mmなので、それよりカード長は若干短い計算になる。
そのGPUクーラーは2スロット占有タイプで、90mm角相当のファンを2基搭載。GPUに負荷が掛かっていない、いわゆるアイドル時にはファンの回転を停止する流行りの機能も用意されており、静音性の向上に一役買っている。さらに、GPUクーラーを側面からのぞき込むと、8㎜径のヒートパイプが3本用いられているほか、メモリチップや電源部にもしっかりヒートシンクが接している点が確認できる。
補助電源コネクタはリファレンスどおり8ピン×1。前述のとおり基板自体が短いため、コネクタの実装位置はカードの端から内側寄りとなっている。そのほか、外部出力インタフェースはDisplayPort 1.4a×3,HDMI 2.0b(Type A)×1という構成。DVI-Dが省略されている点は、もはや時代の流れだろう。