Sapphire Technologyはゲーミングブランドとして「Nitro」シリーズを展開しているが、そのNitroシリーズの中でも最高性能を目指したハイエンドモデルとしてNitro+シリーズを用意している。そのNitor+シリーズのラインナップに、GPUに「Radeon RX 5700 XT」を搭載した「SAPPHIRE NITRO+ RADEON RX 5700 XT 8G GDDR6」(以下、NITRO+ RX 5700 XT)が加わった。
このNITRO+ RX 5700 XTは、ハイエンドモデルらしく、動作クロックの高さやGPUクーラーの豪華さが特徴的なカードなのだが、果たしてそのパフォーマンスはどの程度なのだろうか。そこで、NITRO+ RX 5700 XTの特徴を紹介しつつ、テストによりそのパフォーマンスに迫ってみたい。
ブーストクロックは2GHz超えを実現
カード長は300mmクラスでかなり大きめ
まずは、NITRO+ RX 5700 XTの動作クロック設定から紹介していこう。NITRO+ RX 5700 XTは、ベースクロックが1770MHz、ゲームクロックが1905MHz、ブーストクロックが2010MHzと、順にリファレンスから165MHz、150MHz、105MHz引き上げられたクロックアップモデルである。特に、ブーストクロックが標準で2GHzを超えている点はインパクトがかなり大きい。その一方で、メモリクロックは14Gbpsと、リファレンスから変わりはない。
本製品では2つのVBIOSを搭載し、ブラケットに近いカード側面に実装されたディップスイッチでそのVBIOSを切り替え可能。ちなみに、VBIOSを実際に切り替え、Radeon Softwareでその動作クロック設定を確認してみたところ、両者に違いは見られなかった。2つのVBIOSを搭載することで冗長性を持たし、安全性の向上を果たしているということなのだろう。
カード長は実測で約306mm(※突起部除く)だが、基板自体は260mmほどしかなく、GPUクーラーがカード後方に50mm近くはみ出た格好だ。さらに、マザーボードに装着した際に、ブラケットから垂直方向に24mmほどはみ出ており、長さと厚さともに、その見た目はかなり大きな印象を受ける。
そのGPUクーラーは100mm角相当のファンを3基備えた2.5スロット占有タイプのオリジナルデザインのもの。「Tri-X」と呼ばれるこのクーラーは、3基のファンのうち両端の2基が反時計周り、中央の1基が時計周りと回転の向きが異なっている点がユニーク。同社によると、この仕様によりエアフローの最適化が実現できるとのこと。また、アイドル時にファンの回転を停止する「Intelligent Fan Control」といった機能や、ネジを1本でファンを着脱できる「Quick Connect」といった機能も用意されている。
また、同社によると電源部は8+1+2フェーズ構成で、部材には電源効率の高いブラックダイヤモンドチョークを採用しているという。その電源部にはしっかりとヒートシンクが装着され、十分な冷却が行えるようになっている点も見逃せないポイントだ。
さらにオリジナルユーティリティの「TriXX」(Version 7.0.0)が付属。このTriXXでは、GPU温度やコア電圧などのモニタリングが行えるほか、ファンの動作チェックや、「TriXXブースト」と呼ばれるブースト機能が利用可能。
このTriXXブーストは、レンダリング解像度を調整することでパフォーマンスを向上させる「Dynamic Resolution Rendering」を利用したもので、スライドバーでレンダリング解像度を適宜設定できる。また、TriXXから画質の向上を図る「Radeon Image Sharpening」の有効/無効を切り替えることができる点もおもしろい。そのほか、TriXXではLEDの色や光り方などを変更することも可能だ。