ジェネレーター建設に奔走する「最後の秋」
一方で、1月にリリースされたDLCシナリオ「最後の秋」は、本編開始以前の時代を舞台に、ロンドンから遠く離れた「113番地区」で大型ジェネレーターを建設するまでの過程が描かれる。大寒波の到来を控えているものの、ゲーム開始時点での気温は10度を超えており、本タイトルの代名詞とも言える「寒さによる脅威」は(少なくともしばらくの間は)考える必要はない。代わりに大きな問題となるのが、「ジェネレーター建設の工期の順守」および「過酷な労働環境への対応」だ。
プレイヤーは労働者やエンジニア達のリーダーとなり、ジェネレーター建設の計画を立てていくわけだが、建設自体は「シャフト構造のセットアップ」「基礎の建設」といったいくつかのマイルストーンに分かれており、それぞれのマイルストーンには達成までの時間制限が設定されている。
これを守れなかった場合、プレイヤーは追放されてしまうため、常に残り時間を意識しながら建設を進めていくことになるわけだ。別途、キャンプの建設や食料の調達も並行して進めていかなければならないが、住居と食事の充実に気を取られていると、あっという間に期限が来てしまうので注意する必要がある。
工期の順守の難しさに拍車をかけるのが、ジェネレーター建設現場の厳しい労働環境だ。プレイヤーは建設現場に労働者を配置し、あらかじめ設定した時間だけ働かせることが可能だが、現場には環境の充実度によって「ベース安全性レベル」が設定されており、これが低い場合には大きな事故が起こるリスクや、病気になる労働者が増えるリスクが高まってしまう。
安全性の問題は「安全工程」などの制度を導入することで改善できるが、そのぶん建設までの時間が伸びてしまうため、労働者の安全と工期のバランスを取り、作業を進めていかなければならない。現場では有毒ガスが発生することもあるため、これも気にする必要があるなど、常に悩ましい選択を迫られることになるだろう。
労働環境を厳しいままで放置しておくと、労働者がストライキを起こしてしまうこともある。こうなると、ストライキを終結させるまでに多くの時間が取られてしまうため、可能な限り避けておきたい。最初のストライキ後は労働者とエンジニアの対立問題なども発生するため、これをどのように乗り切るかも大きな課題だ。
労働者に発言力を与えるのか、技術的に信頼できるエンジニアを重視するのかは、プレイヤーの選択にかかっている。無論、どちらが正解ということはないので、その時点で最善と思う選択を重ねていくしかないのだが……。
そのほか、本編にはない施設が登場するのもDLCシナリオの特徴だ。代表的なものとしては、マップ上に港があるため、船が行き来するドックを作れることが挙げられるだろう。これにより資材をほかの地域から仕入れてくることが可能になっており、本編に登場する大型の掘削施設などの代わりとなる。
また、電信局を建てることで、イギリス本土から追加の労働者やエンジニアも呼び寄せられる。本編と違い、難民が押し寄せることはないため、どのタイミングで労働者を呼び寄せるかはプレイヤーの一存にかかっているわけだ。
極端に労働者を増やせば食糧問題や居住スペースの問題にも繋がりかねないが、人手が足りなくなるよりは、受け入れ態勢を整えつつ人を増やしていくほうがいいだろう。このシナリオでは子供を労働力として利用できないため、急場をしのぐ労働力を確保するのが困難なことは覚えておくといい。
プレイヤーがすべての権限を握るリーダーだった本編シナリオと異なり、上司からは工期をせっつかれ、労働者やエンジニアからは不平不満を言われるなど、中間管理職の悲哀を存分に感じられるのがDLCのシナリオと言える。本編とは少し勝手が異なるため、既にプレイ済みでも一味違った難しさを堪能できるはずだ。