AMDのCPU「Ryzenシリーズ」は、同価格帯であればライバルであるIntelのCPUよりもコア数が多く、自作PCファンの間で人気が高まった。また、最近はIntleのCPUが不足していることもあり、BTOパソコンからメーカー製PCまで、採用例がどんどん増えてきている。
たとえば、小型PCにおいてもIntel製CPU搭載機が多かったが、昨年2月にASRockから小型PCベアボーンの「DeskMini A300」が登場。わずか155×155×80mm(約2リットル)ほどの本体ながらTDP65WまでのAPU(GPU内蔵のCPU)を搭載可能とし、Ryzenの高い処理性能と高いGPU性能により、ベアボーンとしては異例の大ヒットとなった。
編集部内でも全ギ研(全日本ギャルゲー研究所)所長の南田氏が購入しているほか、ドスパラやツクモ、サイコムなどが扱うBTOパソコンのベースとしても人気が高い。
しかし、IntelはNUCと呼ばれるDeskMiniよりも小型なPCを販売しており、「小さい片手サイズのPCはIntel」というイメージが強い。一方で、AMD製品搭載のコンシューマーに向けた超小型PCの選択肢はほぼ無かった。BtoBではRyzen搭載の超小型PCは販売されているが、一般ユーザー向けの販路が無かったり、機能が限定されていて一般の用途には向かなかったりもしていた。
そんななか登場したのが、ASRockの「4×4 BOX」シリーズだ。
“Ryzen Embedded”の採用で状況が大きく変化
ASRockから「4X4 BOX」シリーズが登場!
小型PCではIntelという、「ある種の常識」を打ち破ってくれたのが、今回紹介するASRockの「4X4 BOX」シリーズだ。これはCPUに組み込み向けとなる“Ryzen Embedded”を採用したベアボーンで、フットプリントはインテルのNUCとほぼ同じ。高さは若干あるものの、Ryzen搭載機としては驚くほどコンパクトなボディとなっているのが特徴だ。
DeskMini A300でもそうだったが、ASRockのベアボーンは隙間があれば積極的に埋めてくるといっても過言ではないほど、機能を追加してくるのが恒例だ。4X4 BOXもこの例に倣ったのか、フロントとリア合わせて、USB3.2 Gen2×3、USB2.0×2、HDMI、DisplayPort×2、ギガビットLAN×2と多くのインターフェースを搭載している。
3つのディスプレー出力を持っているため、マルチディスプレーで広いデスクトップを使いたいという人も満足できる構成なのが面白い。またユニークなのが、これだけ小さいのにギガビットLANを2つ装備していること。ルーターやサーバー自作といった用途にも活躍してくれそうだ。
さらにうれしいことに、VESAマウンターが標準で付属。液晶ディスプレーの背面に4X4 BOXを装着すれば、省スペースな一体型PCが完成する。こういったことができるのも、小型PCならではだ。
なお、液晶ディスプレーの背面に装着するとUSBなどへのアクセスが難しくなるので、別途USBハブを装着するといいだろう。