気になる“Ryzen Embedded”の性能は!?
2種類の「4X4 BOX」で基本性能をチェックしてみた
4X4 BOXは外見こそ同じだが、CPU(APU)の違いで2つのモデルがある。ひとつは4コア/8スレッドの“Ryzen Embedded V1605B”を搭載した「4X4 BOX-V1000M/JP」。グラフィックは“Radeon Vega 8 Graphics”内蔵となる。
もうひとつは2コア4スレッドの“Ryzen Embedded R1606G”を搭載した「4X4 BOX-R1000M/JP」。グラフィックは“Radeon Vega 3 Graphics”内蔵と、コア数だけでなくグラフィックにも差が出ている。
ちなみに実売価格は「4X4 BOX-V1000M/JP」が4万5000円前後、「4X4 BOX-R1000M/JP」が3万2000円前後だ。
製品スペック | ||
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型番 | 4X4 BOX-V1000M/JP | 4X4 BOX-R1000M/JP |
CPU | AMD Ryzen Embedded V-Series V1605B(4コア/8スレッド) | AMD Ryzen Embedded R-Series R1606G(2コア/4スレッド) |
グラフィックス | Radeon Vega 8 | Radeon Vega 3 |
サイズ | 110(W)×118.5(D)×67.3(H)mm | |
重量 | 0.7kg | |
インターフェース | USB3.2 Gen2×3、USB2.0×2、HDMI、DisplayPort×2、ギガビットLAN×2 |
さて、気になる性能をチェックしていこう。
まずはCPU性能を定番の「CINEBENCH R20」でチェック。これはCGレンダリング速度から性能を独自のスコアーで表示してくれるベンチマークソフトで、マルチスレッドの効果が出やすく、純粋なCPUの最大性能比較に向いているものだ。
どのくらいの性能なのか比較するため、参考までに手元のデータからCore i7(レッツノートSV9、SV8)のスコアーも加えたのが下のグラフとなる。
“Ryzen”の名前があるものの組み込み(Embedded)用途向けということもあり、性能はかなり抑えられたものになるだろうと予想していたのだが、4コアのV1605BはCore i7に迫るほどの高性能。R1606Gも2コアながら862ptsと高めのスコアを叩き出していることに驚いた。
これだけの性能があるなら、R1606G搭載の下位モデルであっても一般用途で困ることはまずないだろう。いい意味で、期待を裏切られた結果となった。
もうひとつ、気になるグラフィック性能を見てみよう。こちらはDirectX 11世代のベンチマークとなる「漆黒のヴィランズ ベンチマーク – ファイナルファンタジーXIV」(FF14ベンチ)でチェックしてみた。
なお、解像度は「1920×1080ドット」、画質は「標準品質(デスクトップPC)」とした。
フルHD(1920×1080ドット)は荷が重いかなと少々心配していたのだが、驚くことに評価は「快適」と「やや快適」と予想以上。このままでは重たいシーンでコマ落ちが目立ちそうなので、実際にゲームを楽しむときは1280×720ドットに解像度を落としておきたいとはいえ、曲がりなりにもフルHDでのプレーも視野に入るというのは感心してしまった。
これだけの性能があれば、低スペックPC向けの「PUBG LITE」や、Steamで手に入る軽めのインディーズゲーム程度であれば遊べるだろう。
インテルNUCの半額程度で同等性能が手に入るのが魅力
インテルのCore i7-8565Uを搭載したNUC「BXNUC8I7INHX」の価格は9万円を切る程度なのに対し、同等性能の「4X4 BOX-V1000M/JP」は4万5000円前後とほぼ半額。超小型PCは特殊で割高になりやすいのだが、これだけの性能を持ちながらここまで価格が抑えられていることに素直に驚いてしまう。
超小型PCが欲しかったAMD派の人はもちろん、インテルNUCに惹かれながらも価格面から手が出せなかった人にも、4X4 BOXシリーズは間違いなく魅力的な製品。小さくて高性能なPCへと乗り換えたい、もしくは、セカンドPCとして小型PCが欲しいというのであれば、候補の筆頭にあげておきたい。