ミドルレンジ向けグラフィックスカードであっても、GPUクーラーの冷却性能に注力しているメーカーは少なくない。GIGABYTEもその1つで、GPUに「Radeon RX 5600 XT」(以下、RX 5600 XT)を採用し、3連ファンから成るオリジナルクーラー「WINDFORCE 3X」を搭載した「Radeon RX 5600 XT GAMING OC 6G」(以下、RX 5600 XT GAMING OC)をラインアップに用意している。
では、このRX 5600 XT GAMING OCはどのような製品なのか、どの程度のパフォーマンスを発揮するのか、詳しく見ていきたい。
ブーストクロック1750MHzのクロックアップモデル
さらにオーバークロック用のVBIOSも別途用意
まずは、RX 5600 XT GAMING OCの動作クロック設定から紹介していこう。RX 5600 XT GAMING OCのベースクロックは非公開ながらも、ゲームクロックが1560MHz、ブーストクロックが1620MHzと、リファレンスから前者は185MHz、後者は60MHz引き上げられたクロックアップモデルとなっている。
ユニークなのは、同社のWebサイトにバージョンFA0のオーバークロック用VBIOSが用意されている点で、このVBIOSを適用するとゲームクロックが1670MHz、ブーストクロックが1750MHzに向上する。また、工場出荷時設定では、メモリクロックは12Gbpsだが、このFA0を適用するとメモリクロックも14Gbpsに引き上げられる。
なお、FA0のVBIOSを利用するとTGP(Total Graphics Power:カード全体の消費電力)は150Wから180Wに上昇してしまう点は注意が必要だ。VBIOSの更新はユーザーが自分で行なう必要があるが、大幅に動作クロックが上昇するVBIOSが用意されている点は、パフォーマンスを重要視するユーザーにとってありがたい配慮だ。
カード長は実測で約282mm(※突起部除く)だが、基板自体は23mmほどしかなく、GPUクーラーがカード後方に50mm弱はみ出た格好だ。そのGPUクーラーは、冒頭でも述べたように同社オリジナルのWINDFORCE 3Xを採用。このWINDFORCE 3Xは、2.5スロット占有タイプで80mm角相当のファンを3基搭載。これらのファンに5本の線状の突起物が施され、エッジも独特な形状にすることでエアフローの向上を実現している。
さらに、「オルタネートスピニング」と呼ばれる機能により、中央の1基を逆回転させることで整流性と風圧が高められている。そのほか、GPU負荷の低いアイドル時にはファンの回転を停止する機能も用意されている。
GPUクーラーには6mm径のヒートパイプが用いられ、GPUに直接触れる構造を採用。また、電源部のMOSFETやメモリチップにはヒートシンクが密接し、かなり冷却に力を入れていることが伺い知れる。その電源部には、同社の独自規格である「Ultra Durable」の認定を受けた高品質な部材を使用し、同社によると性能向上と製品寿命の長期化を果たしているという。
補助電源コネクタは8ピン×1という構成で、映像出力インタフェースには、DisplayPort 1.4×3、HDMI 2.0b×1が用意されている。