制約のあるAMD A520の中でも
A520M Pro4は拡張性高め
A520M Pro4はAMD A520としては拡張性が高めの設計だ。その際たるところがメモリスロット。MicroATXでもコストを抑えた製品では2スロットのものも多いが、本製品は4スロット備えている。4スロットならメモリの最大容量も128GBになり、拡張性という点で余裕が生まれる。
A520チップセットの場合、PCI Expressの速度がGen3に制限される。ビデオカード用のx16スロットはもちろん最大PCI Express 3.0 x16で、M.2スロットでも最大PCI Express 3.0 x4となる。最新GPUやSSDがPCI Express 4.0に対応しはじめているが、A520搭載マザーボードではPCI Express 3.0接続のため、帯域で言えば半分になる。とはいえ、低コストという縛りの中では十分に高性能PCを組めるのがAMD A520チップセットの魅力だ。
A520M Pro4の拡張スロットは2本。MicroATXというフォームファクタからすれば少ないが、ビデオカード+αが可能と考えれば、ある程度柔軟に拡張できる。もっとも、2本目の拡張スロットの帯域はPCI Express 3.0 x2になるため、x4接続を必要とする高解像度キャプチャカードなどでは、性能を引き出せないどころか動作しない可能性もある。そうした意味では、使用用途を明確にしたうえでコストを取ることが前提の製品だ。
M.2スロットも2つ備えている。こちらも多少の制約があり、#1はPCI Express 3.0 x4対応だが、#2はPCI Express 3.0 x2またはSerial ATA 3.0対応になる。高速の#1はシステム用として、#2はデータ用といった具合で割り切るのがよいだろう。実際、NVMe対応でも低コスト向けのSSDではPCI Express 3.0 x2接続のものも多いし、Serial ATA SSDであればさらに容量コストが安く済む。
A520M Pro4のスペックで、USB 3.2 Gen1(USB 3.0)が意外と多い点にお気づきだろうか。バックパネルにはType-Cを含め6ポート、ピンヘッダも2つ(最大4ポート)ある。その理由はUSBハブチップのASMedia「ASM1074」を搭載しているためだ。コスト重視のエントリー向けマザーボードで追加チップを搭載しているのはめずらしい。とはいえ、今や周辺機器の多くもUSB 3.2 Gen1対応になっているので、USB 2.0よりも重要度が増している。本体側でこれだけ搭載していれば、しばらくは不足せずに済むだろう。
ネットワークやオーディオはオーソドックス
ネットワークは有線LANのみで、1GbpsのRealtek「RTL8111H」だ。無線LANアンテナ用の取り付け穴がバックパネルにあるものの、実装されてはいない。Wi-Fiカード用のM.2 2230スロット(Key E)は搭載されているので、必要であれば追加可能だ。
オーディオはRealtek「ALC1200」チップを搭載。エントリー向けモデルでは定番のチップだ。回路部分を見ると、デジタル・アナログ回路を分離する構造をとっているように見える。オーディオ用コンデンサも、ほかのコンデンサ同様にAPAQ製のものを5つ搭載している。
ほか、LEDは搭載していないが、ヘッダピンはARGB用2つ、RGB LED用2つを用意している。
予算を切り詰めつつも1つ上の
長期使用、発展性を狙いたい方に最適
A520M Pro4のポイントは、AMD A520チップセット搭載マザーボードの中では拡張性が高い点にある。そのため、より長く愛用できるところはメリットだろう。VRMヒートシンクはなくても動作には問題ないにせよ、付いていることで使用時の温度上昇を抑制し、半導体寿命を縮める要因を抑えられる。また、メモリスロットが多いので、将来的に大容量メモリを要求するアプリケーションを使いたくなったとしても、それに対応できる余力がある。
デメリットは、AMD A520搭載マザーボードの中ではやや高価なところだろう。最廉価のものと比べて3000円程度の差だが、徹底的に低価格狙いの場合は大きな金額でもある。ここは先に述べた点と自分の使用プランを天秤にかけて検討してみてほしい。