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RX 6800 XTは温度やや高め
ゲームによってはRTX 30シリーズを大幅に上回るパフォーマンスを、より低い消費電力で出せるRX 6000シリーズだが、リファレンスカードの冷却性能はどうなのかも検証してみたい。
室温約25℃の環境において、「Watch Dogs: Legion」を約20分間プレイ状態で放置した時のGPU温度およびGPUホットスポット温度、さらにGPUクロックを「HWiNFO」で追跡した。Radeonにおける“GPUホットスポット温度”とは、GPUの回路の中で局所的に熱くなっている部分の温度(文字通りホットスポット)であり、通常GPU温度管理に使う“GPU温度”とは別モノである。
まずGPUクロックの推移をみると、どちらもゲーム中は2300MHz台を非常に安定した状態でキープできているのは脅威的。特にRX 6800のゲームクロックは1815MHzとやや低めに設定されているにも関わらず、実測値はそれより500MHzは高い値を維持できているのは驚くしかない。
RX 6800とRX 6800 XTのGPUクロック実測値の差は70MHzもない一方で、GPU温度には大きな差が出た。RX 6800 XTは81℃付近で安定したのに対し、RX 6800は68℃付近で安定している。前者の方がクーラーも分厚いものが使われているのにここまで差が出るのは、CUの規模とゲームクロックが高めに設定されているためだろう。
TBP(Total Board Power:カード単体の消費電力)を考えても、RX 6800 XTの方がRX 6800より50Wも上に設定されているのだから、それだけ熱を発することを想定したデザインであるといえる。RX 6800 XTを使うなら、今後出てくるであろうAICパートナーカード(いわゆる“オリジナルクーラー搭載”モデル)の性能も見た方が良さそうだ。
ワットパフォーマンスは?
最後にRX 6000シリーズのワットパフォーマンスを再検証しよう。以下は前回の記事でも示したカード全体の消費電力、即ちTBP(Total Board Power)をNVIDIAの「PCAT」を用いて計測した結果。
このグラフが示す通り、各GPUの消費電力の平均は、各GPUの公式スペックにあるTBPの値とほぼ等しい。ある瞬間では大きく上下にブレることはあるが、RTX 3080 FEは平均320W、RX 6800 XTは300W(このデータだと平均294W)近辺に落ち着く。
だが今回はある一定の負荷をかけた時に消費されるTBPと、その時算出されたフレームレートから、TBP1Wあたりのフレームレートを考えてみる。NVIDIAの「PCAT」を利用してTBPを測定しつつ、そのデータをNVIDIAの「FrameView」と連携させることで算出できる。
ちなみに、GeForceだとドライバーのAPI経由でかなり正確なTBPが取得できるのでPCATは必要ないが、RadeonはAPIで取得できる電力(GPU ASIC Power)は実際のTBPよりかなり低い値しか取得できない。だがPCATを使うことでGPUメーカーを問わず正確なTBPとワットパフォーマンスが取得できるのだ。
ここでは「Assassin’s Creed Valhara」「Dirt 5(ベータ版)」「Rainbow Six Siege」「Watch Dogs: Legion」の4つのゲームについてそれぞれ検証する。全て解像度はフルHD設定のみとし、ゲーム内ベンチマーク機能を走らせた瞬間から終了までの間のフレームレートを出した時に、どれだけ電力を使ったかを「PCAT」で計測しつつ「FrameView」でフレームレートを計測し、そこからワットパフォーマンスを算出する。画質設定等は前掲の検証時と同じ設定にしている。
TBPは高いほど「消費電力が多い」ことを示し、fps/TBPは高いほどワットパフォーマンスが良いことを示している。この4つのデータを見ると、Assassin’s Creed Valhara以外のゲームにおけるTBPは基本的にRTX 3080 FEが300~310W弱でダントツで高く、続いてRX 6800 XTが260~280W、そしてRX 6800とRTX 3070 FEが200~220Wといった感じになった。
全体的にRX 6000シリーズのワットパフォーマンスは全般的に良好だが、RTX 3070 FEもかなり良い線を行っている。ただしRTX 3080 FEはややパワーに不利すぎてワットパフォーマンスは悪くなっているようだ。
そして4ゲーム中で唯一違った傾向を見せたのがAssassin’s Creed Valharaだった。RTX 3080 FEでも230W程度しか出ていない。原因をは絞り込めていないが、RTX 30シリーズでは何らかの理由でGPUパワーが出し切れてないために、RX 6000シリーズに対しフレームレートで負けたのではないかと考えられる。今後の改善に期待したいところだ。