AMDファンから渇望されていたトップエンドに位置するGPUとして、「Radeon RX 6900 XT」(以下、RX 6900 XT)がリリースされた。このRX 6900 XTは、RDNA 2アーキテクチャに基づき、GPUコアには「Navi 2X」を採用。そのNavi 2Xのフルスペックとなる5120基のStream Processorを持つほか、新しいキャッシュシステムである「Infinity Cache」を128MB内蔵。さらに、リアルタイムレイトレーシング処理を担う「Ray Accelerator」を80基有するなど特筆すべき点は多い。
今回紹介するASRockの「Radeon RX 6900 XT Phantom Gaming D 16G OC」(以下、RX 6900 XT Phantom Gaming)は、そんなRX 6900 XTを採用したオリジナルデザインモデルである。では、RX 6900 XT Phantom Gamingはゲームにおいてどの程度のパフォーマンスを発揮するのか、テストにより明らかにしてみたい。
ブーストクロックは2340MHz
Phantom Gaming 3X Cooling Systemを採用
まずは、RX 6900 XT Phantom Gamingの動作クロック設定から紹介していこう。RX 6900 XT Phantom Gamingのベースクロックが1925MHz、ゲームクロックが2105MHz、ブーストクロックが2340MHzとなっている。RX 6900 XTのリファレンスカードのベースクロックは未公開になっているものの、ゲームクロックとブーストクロックはともに、リファレンスから90MHz引き上げられた形だ。なお、メモリクロックは16Gbpsと、こちらはリファレンスから変わりはない。
さらに、付属アプリケーションの「ASRock Tweak」(Version 2.0.11)を用いることで、「OC Mode」と「Silent Mode」というクロック設定が異なる2つの動作モードが利用可能だ。
各モードのクロック設定は公開されていないものの、「GPU-Z」(Version 2.36.0)で確認すると、OC Modeではゲームクロックが1575MHzに低下する一方で、ブーストクロックは2650MHzに上昇。Silent Modeでは、ゲームクロックが1412MHz、ブーストクロックが2325MHzにそれぞれ低下した。
GPU-Z読みなので正確かどうかは判断しかねるが、この通りであればかなりクロック設定にメリハリが付けられているようだ。なお、どの動作モードでもメモリクロックは16Gbpsのままになっている。
また、このASRock Tweakではオーバークロック関連の設定も用意されており、「GPU Target Clock」という項目ではブーストクロックを1MHzきざみで500~3000MHzに変更できるほか、「Memory Target Clock」では実クロック表記で、1MHzきざみに2001~2150MHzまで設定可能だ。
それでは、カードそのものについて見て行こう。カード長は実測で約315mm(※突起部含まず)で、RX 6900 XTリファレンスカードが同266mmであったのに比べると、それより50mm近く長い計算になる。なお、マザーボードに装着した際、ブラケットから30mmほどはみ出ているうえ、3基用意された8ピンの補助電源コネクタも垂直方向に実装されているため、ケースに干渉しないようカード上方にある程度の余裕が必要だ。
GPUクーラーは2.8スロット占有タイプで「Phantom Gaming 3X Cooling System」と呼ばれるオリジナルクーラーを採用。100mm角相当のファンを3基搭載し、そのうち中央の1基のみ羽根が透明で、搭載したLEDが羽根を透過して光る仕様だ。
また、その羽根は「Striped Axial Fan」と呼ばれるもので、羽根の途中から角度が変えられているほか、3本の線状の突起物が設けられている。ASRockによると、このStriped Axial Fanを採用したことで、エアフローの向上を実現しているという。
これらのファンは、GPUの負荷が低い、いわゆるアイドル状態には回転を停止する機能を搭載。さらに、ASRock Tweakを利用すると、回転数を1%きざみで20~100%の一定に設定できるほか、温度と回転数のグラフから、各温度における回転数を任意に設定可能だ。また、カード側面と中央ファンのLEDは、付属アプリケーション「Polychrome SYNC」(Version 1.0.14)を用いて、色や光り方を変更できる。
なお、補助電源コネクタのすぐ側に搭載されたディップスイッチで、LEDを常時オフに設定することも可能だ。ちなみに、筆者の主観であることを断ったうえで、ファンの動作音について述べると、非常に静かな印象を受けた。GPUに負荷がかかっても、ケースに入れてしまえば動作音は聞こえないレベルなのは立派だ。
GPUクーラーには8本のヒートパイプが用いられ、電源部にはMOD FETとドライバICを1つのパッケージに収めたDr.MOSを採用。さらに、電源部のパワーチョークは90Aまで対応し、ニチコン製のブラックコンデンサを利用するなど、かなり豪勢な仕様を誇っている。